□18 修学旅行編デンキ誘拐まで[10p]
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さてとそんなこんなあった自然公園散策も終わりの時間。
再び集合のち、次の目的地へと出発した。
そうしてぞろぞろとやってきましたるは、霧隠れタワー。
この霧隠れの里で一番の高さを誇る建造物であり、雨雲より上に展望台がある事から『雨知らず』という別称までついているのだという。
スカイツリーかよ。
とか、
この辺の積乱雲は低めなんやな。
とか。
うん。そういう感想しか浮かばん。驚きも新鮮味もない。
それがし、東京タワーにスカイツリーにと、日本一高き塔からの景色を見届けてきた前々世でしたので…。
そもそも現代日本において手指の数じゃ足らないほどガタンゴトン海行ったりビュンビュン飛行機乗ってた身としてはこんな海原や高所くらいどうでも…。
ってそんなクソ三次元のことはどうでもいいんだわ。
何が何でも還りたくない世界ではあるが良い思い出が何もないわけではない。全てに躓き始める前の、少なくとも稚児の頃は良かった。ただそれだけだ。
とにかく。
「す、すっごい高い!」
眼下の光景に歓声を上げるのはワサビちゃんだけではないってことだ。
「すごい…絶景ですね…!號さん!燈夜さん!」
意外にもマギレ君がこの高さに夢中になったようで。
「ああ。ここまで上空高くまで来た事は俺も無い」
「そうね」
「楽しそうだな、マギレ」
「はい!」
展望フロアで自由行動となってからも、マギレ君は目を輝かせ、ひときわはしゃいでいた。
スミレちゃんの方を気に留めることも忘れて、よっぽど。
……ふむ。
「マギレ君は」
「?」
「超高い所を怖いとか思わないんだね?落ちる想像とかして怖がるタイプかと思ってた」
「あはは…そんなことないですよ。むしろ落ち着くくらいです」
「そりゃいいね」
「?」
「落ち着く?」
マギレ君が私の言葉に反応しきる前に、燈夜が口を開いた。
「その気持ちはわからないな。恐怖は無いが、ここまで地面から遠いと落ち着かなくないか?」
「そうですか?」
マギレ君は小首を傾げていた。
うん。いいな。
というのも、考えていたことがあってさ。
私は人間仙人と関わりがあり、燈夜は蟻仙人と。
そして、そんな私達と仲良くしてるマギレ君。
彼には是非とも、象仙人を…と。
こちらの三竦みに入れてみたいという気持ちが湧くのは当然のことではあるまいか。
ただしそれに伴っての課題と言えば、その修行地である秘境。
彼方上空に存在する浮島、天裾島。
修業地はそこにある高原…天裾原。
『天』の文字通り、そこは死ぬほど高い。
特殊な磁力を帯びている影響で移動時などは宙に浮かぶのが常。
高所恐怖症ならショック死するわって感じのとこ。
それは酸欠極寒標高五千~一万メートルの世界。固有植物が空気と熱を発しているので島に上がりさえすればその辺の心配はないが…。
そんな感じなので、修業はまず地に足付かぬ高所で落ち着くところから始めるのだが。
うん、つまりマギレ君、もしや素質あるのでは?
だったらいいね!って感じな。
とか…なんとか思案していたところ。
ガラスに反射して見える背後の様子の端に、小説の展開を見つけた。
「あ、サラダちゃんだ」
よって私は、外を見ながら話しこんでいるマギレ君と燈夜を尻目に、サラダちゃんの元へ歩いたのだった。
…ちゃんと離れたこと気付かせるためにわざと足音大きめに立てて離れたので、ちゃんと二人も気付いてるよ。心配無用な。
それよりそれより。
少し離れたところでその様子を見守る。
サラダちゃんに声を掛けようとしたけど取り込み中っぽいから様子を伺っている風を装って。
ハンカチを拾ったと声を掛ける女性とサラダちゃんのグループのやり取りを。
「あ、それ私の!」
「気をつけなさい」
「ありがとうございます」
なみだちゃんにそっと屈んでハンカチを手渡すのは、…そうかそうか。彼女がね。文淡ね。
「あの……、あなたも忍者なんですか?」
「ええ、そうよ」
彼女の身のこなしの優雅さとそこからうかがえる実力に、聡く気付いたサラダちゃん。
聞かれた彼女はあっさりと頷いて微笑んだ。
「あなたたちは、もしかして木ノ葉隠れの里から来た子かしら?」
「はい。私は、うちはサラダといいます」
「うちは……。そう」
ハオリさんに話を聞いてから、この女はマークしてたんだ。
「私は文淡、黒鋤文淡よ」
私がサラダちゃんをそうできない代わりに、ぐちゃぐちゃにしてやりたくて。
「どうか楽しんで行ってちょうだいな」
あァ、サスケ。
お前の言う通り、私はサラダが大嫌いさ。
それに、か弱い女ふぜいが、うちはを殺せると思い上がって刀を向けてくるんだぜ?許せるか?マダラの娘としてさ。
今すぐにでも攫って、二度とうちはに反骨心なんて持たせないよう知らしめてやりたいところだが…、立場上出来ないので。
サラダちゃんに成敗された後、八つ当たりの道具くらいにはなってもらう予定だ。
「今の人、格好良かったねぇ」
「うん、ほんと」
っと。
「サッラダちゃーーん!」
「げっ!?」
「今の人誰!?浮気!?私というものがありながら浮気なの!?」
「あーもー!違うし號とそういう関係になった覚えはありません!!」
「あ、あはは…」
「相変わらずのサラダ命だね…」
スミレちゃんとなみだちゃんに苦笑されつつも。
「ところでもう移動時間近いよ。みんな出口に集まり始めてるよホラ」
「え!あ、本当だ」
「私達も行こ!」
「うん!」
てな感じで展望台を後に――
――する前にチラリと振り返れば、さっき颯爽と場を去ったはずの文淡がそこに居た。
彼女は振り返る私に反応し、瞬時に物陰に隠れたので直接目が合うことは無かったが。
ガラスに反射した彼女の姿を見れば間接的に目が合った。
真っ直ぐ視線を向けられるなんて予想外だっただろう僅かに目を見開いた彼女に対し、私はゆるりと笑んでから、何事もなくサラダちゃん達の後を追ったのだった。