□17 修学旅行編船上まで[10p]
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やっほー!鉛分身の私だよ!
今ね、かぐや君とマギレ君のお部屋の前の天井で液体金属になっているトコですね。
そして、
室内に対して明らかに耳をそばだてている通りすがりの水塊にのしかかったところです。
とてもゴキゲンに。
あっ隙間から逃げた。
はーい追いかけます。マジキチスマイルの顔文字の形をしながら。
ダクトを通って、無人ボイラー室までやってきた。
換気口から着地しざまに、ようやく水月は水化の術を解いた。
それに倣って私も着地しながら術を解いた。
「やっぱりお前だったよ!!」
私の顔を認めるなり、水月はビシーッと指差して叫んだ。
「ハァイハニー☆」
素敵な挨拶に応えるべく私は食い気味に二指敬礼とウィンクをバチコン☆した。
「いったいなんなんだよ今の術!!」
「ホラこの前さ、水月と鉛分身でドンパチしたじゃん?そんときいっぱい水化の術見せてもらったじゃん?」
つまりパクりました。
と、言外に告げれば、水月はキュートな冷や汗ドン引き顔をさらしてくれた。
「……うっ…ウッソ…」
「滅茶苦茶苦労したけど何とかなったよ!名付けて、鉛遁(えんとん)・鉛化の術☆」
「いや嘘つけッ!!鉛がそんな金色してるわけないでしょ!!」
「えっ詳しい…まさかハニー…私の事を調べてくれたの…?!つまりハニーは私が好き☆…!?」
「イヤ…君が鉛の薔薇つって銀色の物体渡してきたんでしょうが」
「やだ照れちゃって」
「もうやだこいつ」
水月はついに顔を両手で覆うとかいう可愛い仕草をしてくれた。
なのに、決して隙が見えないのは流石だよね。
「……金じゃないよね、ソレ」
顔を覆ったまま、鋭く聞いてきた。
私が「うん」と頷けば、その指の間から、刺し貫く様な常温の紫が覗いてきた。
「その光沢は、貧者の金」
目が合った。
この眩暈がするような殺気は、もうドンパチしたときに受けたよ…。
「つまり黄銅。いわゆる真鍮…でしょ?」
「うん」
私は特に動じず、ニッコリと頷いた。
刹那。
水の弾丸が私のこめかみを貫いた。
ドブンと、真鍮が撥ねた。
間髪入れず、あらかじめ後ろ手に構えていた私の人差し指から灼熱の真鍮玉を発射した。
それはまさしく、横に立つ水月の水分身の脳天をジュッと貫いた。
その真鍮玉は壁に当たる前にUターンし、私の指先に戻って同化した。
「不意打ちにも有用、温度調整に操作も自在とはね…」
バシャッと崩れた水月の水分身。
風穴から真鍮を垂らす私のこめかみ。
本体の水月は両手を降ろして私に目を向けていた。
「不意打ちにしては気配が隠しきれてなかったゾイ」
次の瞬間には、風穴開いてた私の頭はすっかり元通りだ。
「つまり不意打ちなら、怪我を負わせられるってことね」
「致命傷でなければ」
「へェ」
「私相手に不意打ちで四肢ぶった切る技術がはたして水月にあるかな」
「…相変わらず人の考えてることはお見通しってワケ」
「ハニーがわかりやすいんだゾ」
水月は舌打ちをして殺気を収めた。
「…過冷却状態の金属なんてよくやるよね」
維持大変でしょ、と水月は肩を竦めた。
まあ、そうだけど融点に達した金属なんて無理だし。
「ま、水ほどの融通と誤魔化しは利かなそうだけど」
「汎用性は完全にそうね」
「ハッ。この短期間に、よく開発から実用化までアッサリやってのけたよね。……まさに神域・対之コウの娘ってわけだ」
で、なんか煽ってきた。
「そう褒めるなってハニー。そうやって気を引かなくても、私は逃げないゾ…☆」
「……」
見事リアクションを放棄されました。
しゃーない。
「つまりだ水月。みんな出払ってる中、寝室戻ってコソコソしてるグループが変に目に付いて怪しいのはわかるけどね。
盗聴する相手は選んだ方がいいよ」
「…ご忠告ドーモ。 ……!」
「おっと」
人がボイラー室に近付く気配を感じ、私と水月は解散した。
ところで水月自分がここに居ることについて口止めしてこなかったんだけどええんか?
つって…いや、まあ。
ここまで追っかけてきた時点で、完全に気付いてて泳がせてますって言ったようなもんやしな…。
水月も水月で、私を攻撃することはあっても、私が困るような暴露はしないだろうからね。
そんなことしたら殺すってシッカリ言ったし。
ドンパチの最後…とどめの寸止めをしたとき、約束してくれたからね。