□17 修学旅行編船上まで[10p]
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連休が明けた。
「號か。おはよう」
「え、あっ!號さん!おはようございます」
「おー、二人ともおはよう」
「おはよう、號」
「おはようミッキー」
「ミツキだよ」
「もはや恒例だよな、そのやり取り……」
「やあやあボルト君も…と、イワベエ君にデンキ君もか。おはようさん」
「おう、おはようだってばさ」
「おはよう」
「……はよ」
まあ、イワベエ君は少しのぎこちなさを伴ってはいた。
しかし数日もすれば、すっかり今まで通りの関係に戻ることができた。
それからサラダちゃんも。
「ちょっと、號。話があるんだけど……来てくれない」
「うん!なになに!」
一度校舎裏に呼び出されはしたが。
「結局、イワベエとはどうなったの…?!見た感じ…特に変わりないみたいだけど…」
「あーまあ、あのチッスが冗談だってことは、しっかりと伝えたよ!」
「……それだけ?」
「んー…内緒話くらいはしたけど。それは本人に聞いてくれへんか」
「それができないから號に聞いてるんだけど…イワベエとは特別仲良くしてるわけでもないし…」
「じゃあ結論だけ。『今まで通り』……ね。
サラダちゃんも、私に対して変な遠慮はいらないよ」
「!!……な、なんでそこで私の話になるわけ!?」
「そっち本題でしょ。イワベエ君ワンクッション」
「そっ!?そんなわけっ」
「フッ…私はいつだってサラダちゃんを見てるんだぜ…?それくらい見破れてトーゼンさ…」
「ウッ…ウザッ。人の顔勝手に触んないでよ」
「アハハ!その顔その顔!」
「珍しくすぐ手ぇ放したと思ったら両指差さないでくれる…?」
「えへ!」
特に変わりはなく、
「はあ……そういえば昨日、言いそびれてたんだけど」
「ん?」
「髪。元通りになってよかった」
「おん!ほら、何の心配もいらなかったでしょ?」
「いや、でも…もっとハネてた気が…?」
「ああ、ついでに多少生えたてよろしくリペアしてもらったんだよね。ま!ほっときゃまた熱気に痛んでハネていくさ!」
「熱気?…そういえば…転校してきた時は今みたいにあまり…。!、…え!?じゃ、じゃあ、あんたの髪が少しずつハネてきてたのって…!」
「そう!火遁の修業でさ!フッ努力家な私に惚れちゃったかい?まいったな~」
「……。いや…そんなこと欠片も言ってないんですけど…」
「ンフフ照れちゃって」
「はぁ、だからあ……全く照れてないんですがっ!」
「あ痛ァッ!お…おお…いいパンチだ…今までで一番痛いかもしれない…」
「ったく!號ってほんとウザい!
…けど…あんたも色々、見えないところで頑張ってんだね」
「ヤッタアアア!!サラダちゃんがデレたァーーー!」
「ちょっ!?あんた今の聞こえてたの!?」
まあ、少しだけ私を見直したような眼差しはくれるようになったかな。
そして、日はまた巡る。
扱いを変えなかったおかげで、扱いは変わらない。
アカデミーでは相変わらず、終始手加減の毎日。
クラスメートに接待する毎日。
そして、放課後の修業も。
「ぎゃあああーーッーー!!」
「ほら、叫んで体力を浪費しない」
「ウグブッ!…ひっ…ひっ…ぐ…うう…ッ」
相変わらず厳しい。
だが、やはり効果はすさまじい。
私は、水化の術をベースにした応用術を完成させた。
マギレ君も、迷彩隠れの術くらいならとっくのとうにマスターしている。
あとは……
マギレ君にハオリ考案の新術を伝授する過程で私の髪の毛何十本も持ってかれたりもしたな…伝授完了テストとしてお久しぶりにマギレ君と合同修業のちその術くらってクソ痛いめにあったり……。
……いやマジで痛かった。
拷問訓練してなかったら完全に気が狂ってたわ。
私も私で、今まで取得した術の総復習という段階に入ったりもしたよ。
イヤ…復習という名の、新たな境地へ到達するための地獄(修行)だったのだが……。
ま!とにかくだ。
そんな平和な日々を送るとある日の中で――
「里外への修学旅行は、当アカデミーにおいても初めての事。これはとても意義のある事だ。お前達には、細心の注意を払ってもらいたい」
――次のイベントが幕を開けた。
「水の国……海に…海鮮……」
「海だったら、水着買わなきゃだな!」
「きゃー!」
「水の国…霧隠れの里ねえ…。…いいイメージねえけど、大丈夫なのかよ」
当然、大丈夫じゃないんだよなぁ。
と。
シカダイ君のぼやきに心の中で返事をしつつ。
イタズラしてミノムシよろしく教室に吊るされてるボルトへ、ここぞとばかりに修学旅行委員が押し付けられていく様式美を見届けたりした。
あー…いい天気だぁ。
そして数日がまた過ぎていく。
当日がやってくる。
「號」
「なんだよかぐや君」
「向こうに着いたら…、この機会に少し抜け出して、手加減の無い手合わせをしないか?」
「やだ」
「……即答か」