□17 修学旅行編船上まで[10p]
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疲れすぎないため、本体の私は軽めの基礎運動を延々。
鉛分身には水化の術の研究をさせた。
いつもの分担。
勉強や組手、チャクラ操作系といった、経験と思考…精神的な鍛練は影分身や鉛分身の役目。
筋トレなどの肉体的鍛錬は本体の役目。
それから、身体欠損時の戦闘法や拷問訓練などといった分身体では術を解除して逃げ出すような、激しい苦痛を伴う鍛錬も、本体の役目だ。
それはそれとして。
久しぶりにハオリ無しで術の研究をしたが、やはり難航した。
新術開発にしろ既存術伝授にせよ、ハオリの協力の有り無しでは理解スピードが劇的に違う。
何故ならあの人、軽い心転身の術みたいなことするから。
よくあるパターンとしては…、
まずハオリがなんかよくわかんない術で精神?魂?を分裂させる。
その分裂体が、私の意識のみを残して私の身体と思考を乗っ取る。
あとは実際にハオリが、私の身体で思考を回したり10回くらい完璧に動作をやってみせたりする。そうして私の意識と私の身体に経験させる。
ハオリが抜けた後で、私はその感覚をたどって、ものにするまで何度も繰り返す。
そんな感じだ。
コツと感覚を得た状態でスタートするから、圧倒的なスピードでものにできる。
新術の時は、関連しそうな思考や動作一通りやってくれるから、そこから掴めることが多い。
難点としては、ハオリができないことはできないことだろうか。
もちろん、結びつきそうな動作は一通りやってくれるが、限界はある。
あと私自身の問題もある。
私、なんか器としての容量が冗談レベルにデカすぎるらしくて。
支配に対して一切無抵抗に身を委ねてないとすぐ主導権戻っちゃうんだわ。
例えば質問や無意識に口をついた感嘆みたいな、そういうのが湧くともうダメ。全部取り戻しちゃう。
イメージとして、ハオリ式の支配は、対象者が器、乗っ取ろうとしているハオリの精神が水。…で、その器を水で満たしきることができれば乗っ取り成功らしい。
普通の人がお茶碗なら私は底の見えない、コラ半島超深度掘削坑もしくはそれ以上らしい。
ええ…。
てかハオリさんよう知ってたなと思う。私前世で頭にwiki注がれた(比喩)記憶なきゃ知らんかったよ…。
それはそれとして、ほんでハオリさんはどうやってその地球上で最も深いとされる掘削坑を満たしてるかってと…浅い地点にシートを張ってそこだけを水で満たして、辛うじて支配の条件を満たしているらしい。
私が抵抗すればシートは落ち、たちまち水は落ちていき、支配は解ける。
――落ちた水については、ハオリ式支配や、心転身の術なんかはそれを呼び戻すすべがあるからいいけど、ほかの支配…例えば呼び戻しが不可能な一方通行的支配については、落ちて呑まれて溶けて霧散し消える可能性があるとか。…この辺何言ってるかよくわかんなかったけど。つまり白ゼツ変換が不可能だったり大蛇丸細胞や柱間細胞とかそういう浸食変質系に呑まれることはまずないって思っとけばいいつってた――。
つまりハオリさんといえども私の完全支配は不可能だとさ。
マギレ君はそりゃもう余裕らしいが。
身体の持ち主であるトキ姉様の器も、容量無茶苦茶にかなり大きいらしいが、やはり私の比じゃないとも。
さてそんなどうでもいい裏話は良いんだ。
とにかく時は過ぎて、日が落ち始めた。
頃合いを見て私は身だしなみを整えて駮の世界を後にした。
裏山に降り立ち、下山し、約束の場所へトコトコ。
約束の場所にイワベエ君は立っていなかった。
いや、居ることには居るが、何故か隠れていらっしゃる。
ほらそこの木の裏。姿見えずとも影が明らかなイワベエ君シルエットを抱いた形してる。瞳術やチャクラ感知を使うまでもない。
まあいいや、居ても居なくても。
イワベエ君が来てくれない限り、私は翌朝までここに居るつもりだったし、待つよ。
ってことで私は木の裏に気付かないふりをし、上から二段目の階段にハンカチを敷いて腰かけた。
じっと動かず、夕焼けた空を見上げたり、燃えるような黄金に染まる里を見降ろしたりした。
イワベエ君はまだ隠れてる。
やがて、太陽が沈む。里の建物には明かりが灯り始めた。
まだ出てこない。
星はとっくに出ていて、宵が闇の帳を引き、硬貨のような月を連れてきた。
おいイワベエお前まだ来ないの?
月が昇り、里の建物は…特に住宅地なんかには沢山の明かりが灯っている。
一緒に徹夜コースか?
星が瞬く。
こちらを見上げていた月が、こちらを見降ろす高さまでやってきた。
まあ。暇な時間は好きなので、いくらでも待つが。
風景に飽きて少し眠くなってきたので、顔を膝に伏せて休んどくことにするか。
と。
思って顔を伏せたところで、ようやく背後の気配が動いた。
ジャリ、と土を踏む音がする。