□17 修学旅行編船上まで[10p]
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ちっす。
鉛分身の私です。
はい。
本体や影分身とはまた別個体です。
そんな私は今、カブトの居る孤児院…児童養護施設に居ます。
今日の10時頃に到着したら、外に座ってたでかいシンとまず目が合って。
ちょうどそのシンの相手をしていたカブトを見付けて。
目が合うことには、
「いらっしゃい。號さん」
から始まり、
「君の話は七代目から聞いているよ。古めかしいうちは装束の女の子が近々訪ねてくるかもしれないってね」
との微笑みで迎えられ…。
おやつ時が終わったのが今。
私が倒したシンに対して口止めしたいことがあるからつって、その許可をようやく貰ったところですね。
……あっちも忙しいので話せなくてとか、
お手伝いも求められてとか、
内容と詳細の説明も求められて応じたからには、
それに対する木ノ葉への黙秘をカブトにも……と、色々してな。
鉛分身さらに使って、
新宿舎の建築手伝いに、
シン関連で多忙している職員の休憩時間のために普通の子供達の相手をしたりとか、
飯の仕込み補佐をしたりとか。
大変だった……何よりも子供の相手が……いや、この私も子供だけどさ。
そして今ようやく、あの頃のシンと、盗み聞きされる恐れの無い個室で話す機会を貰ったのだった。
「や、やっと二人で話せる…すでに疲れた…」
「……」
パタンとドアを閉じた姿勢のまま、シンはこちらを見つめて黙っている。
昨日今日で姿や人格が変わるでもなく、シンは最後に見たままの様子だった。
もうしばらく月日が経てば、髪型なり髪色なり服装なり変えているのかなと無駄な想像がかき立てられて困っちゃう。
「この前はごめんね。身体の調子はどう?」
気を取り直し、私は微笑みを貼り付けて訊ねた。
「回復した」
まさに彼らしい淡々とした返答が返ってきた。
私が「それはよかった」と返せば、今度はシンの方から会話を続けてきた。
「何を話すために、この部屋に連れてこられたか。すでに聞いてる…」
「それは話が早くて助かるよ。カブトさんにお礼言わないとなぁ」
シンはドアの前から離れて、私の目の前に歩いてきた。
「……オレ、術が解けてからも、誰に何も言ってない」
「ああ、まあカブトさんと話した感じそうみたいね」
「何を黙っていればいい?」
「うん。私は私の強さを誰にも悟られたくないのね。わかる?」
ぴっと人差し指を立てれば、シンは数秒考えるような沈黙の後、こくりと頷いた。
「つまり、お前は弱い 思われたい?…手の内を仲間に、知られたくない?」
「そうそう」
「もし聞かれたら、どうしたらいい?」
「じゃあ記憶が曖昧ってことで。衰弱したところ高所落下したショックとかで」
「記憶の混濁、わかった。オレ、ずっと言わない。信じられないなら、なんでもしていい」
「ん?今なんでもって」
「言った。お前に、どんな術、かけられてもいい」
「おお…?そりゃ嬉しいけど…なんで?」
「わからない」
「わからない」
思わずオウム返ししちゃった。
え、待って、雲行き怪しくない?
「ちょっとタイム」
って両面瞑って考える素振りしつつ瞳術で感情覗いたんだけど…
好かれとるがな。
なんでや!!一目惚れかなにかしたんか私にィ?!
うちはの美貌いうて私全く似合わない涙袋モチーフ眼鏡してたり、うちは装束の下かなり着込んでて全く襟元セクシーじゃないのに!!?
もしや真面目に頭の変なトコ打ったか?!
「…そっか、わからんか…」
とりあえず私は流すことにした。
自覚しとらんようだし。
「とりあえず話が早くてほんと助かったよ…ありがとう」
そんな感じで鉛分身の私は役目を終えたのだった。
個室を出てカブトに挨拶してから、施設を後にした。
シンに引き止められたり、また来いとか言われたけど。
私はこのシンの新しい名を聞こうともしなかった。
つまり、そういうことさ。