□16 緋色の花つ月編終了まで[10p]
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修羅場では?
通行人の視線独り占めですよ殺す気か。
とりあえず私は「ん?」と首をかしげて、指差された先に顔を向けた。
「……」
したら、瞬時に察したらしいサラダちゃんと、水月も、無言で私を指差していた。
「……?」
首をかしげながら私はとりあえず水月を解放し、再びイワベエ君に顔を向けた。
はい。さすがの私も困惑してるので、その場しのぎのしらばっくれです。
あっ膝から崩れ落ちた。
もういっぺん振り返って二人を見たら、サラダちゃんは両手で顔を覆って俯いてるし、水月は遥か彼方に首を向けておられた。
うん。
取り敢えず。
イワベエ君の鉄棒を拾うことにした。
通行人が躓いたらあぶないし。
って思って近付いたら。
「ぅ……ッうわああああーーーっ!!!」
「Σワアアアーーーッ?!?!」
急に叫びながら走ってっちゃったんだけど。
そんで私はつられて叫んじゃったし。
鉄棒ほったらかしなんですが。
「か、影分身の術」
とりま影分身をボンッと出した。
もちろん意図を察してる私の影分身は、即座に鉄棒を拾い、イワベエ君を追い掛けた。
「サイテー……」
「何が!?」
戻るなりサラダちゃんは指の間から私を見て吐き捨て、再び両手で顔を覆った。
「今の絶対わざとでしょ……」
「何がァ?!」
「はあ…」
水月はバツが悪そうにストローを咥え、ジト目で見てくるし。
「…今の誰だか知らないけど。君さ……あれで気付かないほど天然じゃないでしょ…」
「気まずい顔もカワイイねハニー!」
「……」
水月は無言でズシュー…とシェイクをすすった。
え、血は争えない?!馬鹿言うな母は対之譲りのアレな倫理観なだけで恋した相手は生前の義父と、鬼鮫の二人だけだぞ。
…ああ、うん。義父はいちど母が6歳くらいの頃に処刑して死んでるんですよ。ペチャンコのグチャグチャで生きてるなんて考えられないくらいの死体を土葬してさ。
そんな罪悪感と幼ない寂しさと初恋の相手が、目と髪の色変質して復活したのが今のアレなんですけどね…。対之の始祖が興味と共感持っちゃったせいで…。
つまり。
最低なのは『私』だけだ。
「…いいんだよ。私はもともと愛されるに足る人間でもなければ、恋されたいとも思わないから」
ため息交じりに私は元の席に着席した。
常温の生クリームと、湿気たシリアルをすくって口に入れた。
人の食べ物は本当に美味い。ニッコリと笑ってサラダちゃんに顔を向ける。
「私ってすごく変でしょ?」
「……」
サラダちゃんは両手を降ろして、言葉を探しながら私を見た。
その視線を受けて、私はかっこつけだけの軽い頬杖を突く。
「でも、それを見せびらかして気兼ねはされたくないの。遠慮なく、里親の娘とかいう恵まれた環境と家庭で何不自由なく育った苦労知らずのバカ扱いしてね」
頬に触れていた手をパッと開いて、冗談めかして笑い飛ばした。
「それより水月」
「!」
「サラダちゃんのパパの話…水月から見たサスケさんの話でも聞かせてよ」
「ええ…この空気で?」
「うん。この空気で」
一方その頃。
やあ。鉄棒持って走る影分身の私だ。
イワベエ君のおしり絶賛追っかけ中。
いやぁ追い付くのはわけないが、追い付けるほど私は強くないことになってるので……。
そういえばイワベエ君、服が所々擦れてるね。
加えて、動揺とは別に多少の疲労を感じさせる身体運びしてるところを見るに、修業帰りといったところだろうかね。
適度に息切れしながら、通行人の注目を受けつつ知り合いに会いませんようにと祈り、追いかけ続けた。
五分くらい。
完全に追い掛けられてるの気付いて逃げてますねこれ。
動揺により乱れた呼吸でよう走ること。
顔岩の崖上に続く階段を駆け上がっているところで、ゆるゆると速度を落とし始め、まさに最後の一段目前というところでその足は止まった。
上から数えて二段目に片足をかけたまま、イワベエ君はその膝に両手をついた。
ゼッゼッと、むちゃくちゃなリズムだった呼吸を肩で整えながら、彼は振り向いた。
私はまだその手前の踊り場に居る。
フッフッと呼吸を整えるふりをしながら、鉄棒片手に、彼を見上げていた。
「……號…っ」
ほとんど息だけの、力無い呟きが風に消えた。
ひどく苦しげなのは、呼吸の乱れと疲労のせいだけではないことくらい、瞳術を使うまでまもない。
乱れたふりの呼吸を長めに吐いて、すこし多めに吸った。
「明日――」
「オレは!お前がッ!!」
――暇?時を改めない?って言おうとしたんだけど。
その言葉は、なんか唐突に吹き飛ばされた。
「~~ッ!」
バッと全身をこちらに向けて
「す!」
声を張り上げている
「き」
よく見たら虚ろに開いた瞳孔をカッぴろげて
「だッ!!」
「いや知ってますけど」
なんかもう気が動転して勢いに任せちゃってますね?
そのチョコレートスキンに生理的な汗だか冷や汗だか飛び散らせて。
とりま階段を昇る。
私が発した言葉の意味をとっさに理解できず固まるイワベエ君の横へ。
「言って来ないってことは、諦めようとしてるのかなと思って…そっとしておいたんだけど」
口も閉じきらず、弱々しい疑問符を浮かべたまま視線だけ向けてくる彼に、私は鉄棒を差し出した。
「明日暇?」