□16 緋色の花つ月編終了まで[10p]
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そんなワイワイでなんとか最小限の情報でサラダちゃん誤魔化せたぞ。
じゃあ誰に教えられたのって聞かれずに済んだ。
再び戻ってきた、遺伝子鑑定装置の前。
サラダちゃんはその装置を見て、はっとして、私に向けてたいつものヒキ顔を陰らせた。
おう茶番で不安と焦燥抱えてる時間減らしたったんだから感謝せえよ。
と思いながら、サラダちゃんの遺伝子も採取して。
水月が二つの遺伝子をちゃっちゃか機械に掛けた。
固唾を呑んで画面を見つめるサラダちゃん。
暫くして、ピッと結果が表示される。
無機質な、たったの数文字。
「どうやら…君のママは…、香燐に間違いないね…」
ここの展開に変化はない。
香燐の机から拝借した遺伝子はもともとサクラとサラダのものであるのだから、一致しない方がおかしいのだ。
というかみてこれ。完全一致は流石に草。親子どころか完全に本人やんけ。
「…まあメガネも似て……、…あ…じゃあ…ボクはこれで…」
まるで、色を失ったように立ち尽くすサラダちゃん。
その様子に気付いた水月は軽口を早々に切り上げ、スッと踵を返し退室した。
そういう憎めなさと逃げ足の速さだから、助かってきたのだろうな。
私が追ってこないことに何ホッとしてんねん。
そうして水月が部屋を出てすぐ、そこに立っていたナルトと水月のボソボソ話し声とかが聞こえてきた。
んー私はどうしようか。ナルトの出番奪いたくはないんだ。
「サラダちゃん」
とりあえず、いまだ愕然と画面を見つめる小さな肩に手を乗せてみた。
「……」
秒で振り払われた。
「…いつでも声、かけてね」
ってなわけで。
これ幸いに適当な優しげ捨て台詞吐いて私も気を遣うふりしてお部屋脱出成功しました。
出てすぐ、難しい顔をしたナルトの姿が視界に入る。
「お願いします」
私は頭を下げ、ほとんど息だけで、常人なら間違いなく届かない音量で呟きながら、そのまま足を進めてすれ違った。
「…一人でここをうろつくのは危険だ」
ボンッと進路の先にナルト影分身が現れたもので思わず振り返った。
しかし後ろのナルトは、感知モードの隈取を消して、サラダの立つ部屋へ入っていったところだった。
「ちっとだけ走れるか?」
「はい」
断る理由もなく、軽めに走り出した前のナルトの背中を追った。
二回目の曲がり角を曲がったところで、水月の背中が見えた。
およよ。…いや、遠くはないが結構逃げたな。
「オイ待て!」
「!」
ぐんと速度を上げたナルトがその肩を掴んだ。
「悪いと思ってんなら、案内くらいはしろってばよ」
「……そいつを連れて合流させろってこと?」
「そうだ」
「…………」
「號に妙な真似したらただじゃ置かないからな。頼んだぞ」
ナルトの影分身はそれだけ言うと、拒否権はないと言わんばかりにボフンと消えた。
水月は眉間を押さえた。
「……、わかったよ」
そう呟いて、凄ーく嫌そうに私を見下ろした。
「…こっち」
それだけ言って歩き出したので、私は大人しく後ろについて歩いた。
すごい警戒してくるから。
「………」
数十回の靴音が響いた辺り。
一つ目の曲がり角を曲がって数歩したところで、水月の警戒が若干緩まった。
ので、
「やっーと……二人になれたねふすふふ」
ここぞとばかりにつついてみた。
「……」
「おーい」
水月はシカト決め込む方向でいくらしい。
「……んー。そういうつれないところとか母に対する鬼鮫そっくりで、まさに次世代って感じするねぇ」
「……」
「んまあ母さんは戦闘以外で鬼鮫に直で触れることはついぞなかったけども。分身はあったかもだけど、それでも数えるほどか」
「……」
「そういえば、ミツキ元気でしたよ。関係無いけど水に月とか満ちる月でもミツキって読めちゃうのは仕様だったりするんやろか?」
「……」
「ちょっと見ない数分の間によりカワイくなったね子猫ちゃん☆」
「……」
「なあ水月。大蛇丸は、私の周囲や兄姉達のことを、どこまで知ってる?」
「……」
真横まで移動し、てこてこついて話し掛けるも、頑なに無視する水月。
うーん。なめられたもんだな。
その腕にそっと手を添え、間髪入れず――
「ぎゃっ!?」
――バチンッと、水月に雷遁を流しておく。
ただの性質変化のみ。印は必要なく、わけはない。
「戯言をそうするのは構わないけど、今のは質問だったよ、水月」
手袋越しに触れた腕が暴れる前に掴み、火遁を流す。
「なっ!あっづ!!ごぼっ」
ボコボコと水月の身体のあちこちが沸騰し、高熱に火がつき、水蒸気でかき消える。
光がボッボッと断続的についたり消えたりする。
「電気で固めるのもいいが、熱で蒸発させきれば火傷くらいはするのかな?」
「わ…わがった!熱っ!わかっだからっ!!」
最初の雷遁の余韻のせいかうまく水化できずそこかしこ中途半端に溶けた様相で、沸騰エフェクトも相まって謎のモンスターみたいになってる水月から、悲痛な声が聞こえてきた。
ので、チャクラをストップした。
どちゃっと、所々半ゲル状に溶け出してシューシュー蒸気をあげながら水月は崩れ落ち込た。
ゼーハーと必死に呼吸を整えながら、溶けかけた紫の眼球が物言いたげに私を見上げてくる。
「自分まだ獣レベルの不器用者なんで。一度 力でねじ伏せて分からせる交渉しかできないんだよね」
べちゃっと、水月溜まりに手を置いてしゃがむ。
逃げようとする半固形を咎めるようにぐっと掴み押さえ付ければ、雷遁を流す前に彼は逃げるのを止めた。
わかってくれて嬉しいゾ。
チャクラを吸う。
胸元でカチリと音がして、水月に流れ込んだ。
「……な…ん…?!…っ」
触れたところから広がるように、水月は水蒸気を止めてどんどん固形となっていった。
手を離す頃にはもうすっかり元通りに立っていた。
「これって…」
「チャクラの譲渡だね。これができること秘密ね、しー、ね」
「……ミツキも大概だけど、やっぱり、あんたもバケモノらしーや」
「ふふっ」
おててグーパーしてる水月かわいい。
「ありがとう、その称号は大好きなんだ」
「……あっそう」
「私がアカデミーレベルじゃないってこと秘密ね。しー」
「御大層な脅しだね」
「うん。話が早いね。惚れ直すっき」
「惚れてるなんて大声で主張した相手を、こんな目に遭わせるなんて心底イカれてるよ、君は…」
「は。まさかこの腕が君を抱くためだけの物だとでも?」
「思ってマセン」
「それで?大蛇丸はどこまで知ってる?って聞いたんだけど」
「……はー…」
全身を使ったクソデカ溜め息かわいいゾ~これ。