□16 緋色の花つ月編終了まで[10p]
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「とにかく、私がサラダちゃん大好きで毎日ルパンダイブのノリでアプロッてるのはですねー…」
「急に意味の分からない単語を使うな」
「つまりサラダちゃん大好き人間で通しているのはですねー…」
平原の先に再び森林地帯が見える。
そこを目指して走っているらしい。
「本当は…」
この平原でもう何本目かもわからない、雑草の花を踏みしめた。
嘘はきっと通じない。
「その背中のうちは家紋見る度にイラついてるのを誤魔化すためなんですよね」
サスケは黙って視線を向けてきた。
「ヤダよねーうちはの人達は。だいたい思い込みの自分ルール作って勝手にもがいて勝手に傷付いてふさぎ込んで勝手に誰かを憎むんだから面倒くさいったら。もちろん私もね」
「うちはを勝手な自虐に巻き込むな」
「はいはい」
レボリューションに言われてもなー。
「で…私がサラダちゃんに付きまとう理由ですが。……イラつきを誤魔化すだけじゃなくて、もう一つ……自己洗脳をするためでもあるんですよ」
「自己洗脳?」
「繰り返し自分の口から言うことで、自分で自分をそういうものだと信じ込ませることです」
そう。
楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ。
生まれる前から、ずっとやってきたこと。
「つまりお前は、サラダを好きになりたいのか?」
「ええそうです。私だって、あの子がすごくいい子なことくらい知ってるし、彼女を嫌いのままでいたくない、嫌いじゃいけないって気持ちはちゃんとあるんですよ」
「……それが真実であるという証拠は?」
「無茶振り言いますねぇ」
「無いのか?」
「サラダちゃんが無事なのが一番の証拠では?害なす気持ちがあったのなら、何度だって好機がありましたし」
「……イラつく理由は、なんだ。今の時代のうちはが憎いなら、オレにも同様の殺意が来るはずだが、最初に浮かべたのは畏怖だったな」
「ああ、初見の時ですね。あれはただサスケさんの顔がマダラに似ていたので驚いただけですよ。まだ私は父様に胸を張れるほどの力を有してないので…父様に砂利とか言われた日にゃもう破滅と地獄ですから」
「なら、サラダはどうなんだ」
「……また前提の話からになって恐縮ですが…私、せめて本気の父様と遊べるようにはなりたいんですよ。父様は平穏を求める情深い人でもありますが、筋金入りの戦闘狂でもありますから」
「……本当に、よく知っているな」
「そりゃあもう。今の私にとって父様はこの世界で一番愛しく恋しい夢見る存在であり、絶対的な神ですから」
「……」
「空前絶後のファザコンですよね。知ってます。
それで、毎日毎日血反吐を吐くくらい鍛錬して修業して稽古して…それでも届かないと実感させられる…私が勝手に到達点の象徴としてる『うちは』を。勝手でくだらない感情だと分かっていても、それでも、それを生まれながらに背負っている同年同性の天才が妬ましくて……イラつくんですよ」
「天才…か」
「ええ。サラダちゃんは天才です。技術も、頭脳も、根性も、人格も、何もかも。いつだって私の劣等感を刺激してくれる子です」
「お前の方が強いのにか」
「……あー」
私は走りながら印を結び、横に続く平原へと顔を向けた。
吹く息は、火遁・豪火滅却。
「!!」
一面が溶岩の津波に呑まれていくような規模の火炎が眼前を覆い、そして平原を飲み込んでいく。
熱で膨張した空気が地面すらを削り取る。
が、すぐにチャクラの回路を逆回転させることで火の粉ひとつ残さず消火した。ハイ、これは餓鬼道の真似事ですね。元気な輪廻眼が羨ましいよサスケ。
それはそれとして草木は犠牲となったのだ。
サスケ凄い見てくる。
「もし、今の私と同じ鍛錬をサラダちゃんにもさせたとして、絶対に今の私の何倍もの強さを得るはずです」
「何故…そう言い切れる」
「何故って、アカデミーで初めて習う知識や実技とか……なにもかも……理解力も容量も私の数倍上だからです」
「つまり、サラダが鍛錬不足だと?」
「言ってないですよ。ただ、私は……そう思い込まないとってあーーーーもーー待ってくださいちょっと話過ぎました最悪やあーもうクソクソのクソ父様の来世クソこの話終わりにしていいですか?」
「急にどうした」
「なんでも。…はあ。とにかく私は確かにサラダちゃんが羨ましくて嫌いでその気持ちを誤魔化すために好き好き言っているだけで、これが幼稚な逆恨みである自覚もあるわけで、つまり危害を加える気は毛頭ないってことです!」
「……」
「さて、とりあえず、私が今話したこと見せた事全てにおいて。秘密にしてくださいますか?サラダのパパは」
「……」
サスケは何も言わなかった。
けれど、その心はひとまず肯定で、ほっとした。
無事に長話を終えた後は、
「というか父様の来世ってことはサスケさんは実質私のパパでもあるのでは?」
「お前は何を言っているんだ?」
「戯言をば」
とか言う無駄話をしつつ、合流地点に到着した。
瞳術で確認したところ、ナルト達が到着するまで、まだ十数分はかかりそうだった。
よって。
「むしろイタチさんも一応私にとっては義父にあたるわけだしサスケさんは実質私の義叔父さんでもあるのでは?」
「戯言好きは完全に母譲りだな」
「パパ義叔父さん?」
「会話が成立しないところも母譲りか?」
「おこです?」
「何だその単語は」
普段できない雑談をしつつ過ごした。
「弱いふり知らんぷりってストレスたまるんですよ」
「そうか」
「あ、そういえば対之ハオリさんに襲撃されたらしいっすね。本人に聞きました」
「ああ……鬼鮫の子供に憑依していた、対之の先祖か」
「やっぱインドラって呼ばれるんです?」
「お前、親しいのか?あれと…」
「親しいも何も今の師匠ですけど。ほぼ蹂躙レベル超スパルタの」
「……」
「めっちゃ嫌そうな沈黙するじゃん」
「……今更だが、対之の瞳術は隠しているのか」
「んぁ、はいまあ。せめて下忍になるまでは。なってからもこそこそ使いますよ」
とかなんとか
「とりあえず私は断片的に母の記憶を随所受け継いでるんで、完璧ではないですが母が知っていることは私も知っているって思ってくださってオッケーっす」
「母親とは会ったことがあるのか?」
「ないですよ?胎内時代から産まれて間もなく物心つく前の間に色々施されたってだけで」
「……失踪中の母のことはどう思っている?」
「頭おかしいくらい強い人ってくらいですよ。会えないからって苦悩もしてなければ今どこで何をしていようとどうでもいいです」
「父親への想いとは随分違うんだな」
「そっすね。あの人ただの可哀想な空箱の中身ですから」
「空箱の中身?」
「うん」
「どういう意味だ?」
「存在してる意味の無い、なーんにでもない、なーんにもなれない人ってことです」
そんな話をしつつ。
「……あ、あと五分ちょいで来ますね」
「そうか」
「ええ」
「………」
「……」
ナルト達が近付いてからはひたすら沈黙待機。
「おーい!號ー!サスケー!」
「あ!」
そして合流したのだった。
「私達も結構急いでたのに…まさか先を越されるなんて」
「あーね。疲れたって言ったら回復するまで小脇に抱えられたりしてノンストップだったからさー」
「パパに……抱えてもらったの?」
「うん。わりとぞんざいに」
「……そう」
先に到着したことに関しては、待ってる時にサスケと適当に決めた方便で誤魔化した。