□15 緋色の花つ月編途中まで[8p]
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「行こ、チョウチョウ!號!」
「!…うん!」
「あいー」
棒立ちしてたりサラダちゃんに逆らわずに流されていれば滞りなく物事は進んだ。
サラダちゃんがボルトから弁当を預かり、錏峠の方角に向けて走り出す。
「シカマルさんボルト君ミッキー!またねー!」
ミツキだよ。っていつもの突っ込みを遥か遠方に感じながら。
「あいつあちしに気があるみたい…マジかんべん」
「……あ、あはは」
前方を走る二人の会話が耳を撫でた。
走り込む二人には決して追い付かず、息切れも忘れない。
チョウチョウちゃんの調子に合わせて、やや劣るくらいをキープした。
二人は喋る労力も回して無言で前方を走っている。
いつ振り向かれても言い訳が付くように、片目にゴミが入ったような仕草をとりつつ、覆った片目だけ瞳術を展開した。
木々に紛れて姿を現し、気付かずに通過していった私達を見下ろすうちはシンを見つけた。
骨とか視神経とか内臓とか面白い事になってんなそのゆるキャラ。
ところでうちはタジマおじいちゃまについて考えたんだけどあの人麗しすぎない?
……うん、ごめん急に。手を抜いて走るだけとか暇で邪念がこう…ふっと…。
ていうかあの人のシワ消すコラしたことあるんだけどとんでもない精悍な美形が爆誕したで…。
イズナおじさんもベリーソープリティだし、マダラ付近の血やばいよほんと。
まるで炎の精霊いや炎の神の化身いやメイド服とセーラー服どっちがいいかなぁ…あの業火の王族達には。
目を合わせる系の瞳術だから目を引く顔の良さを持つ血が生き残ってきたのはわかるけどそれにしたって……
「――聞いてるの、號!」
「聞いてるよ。この際 敬愛する祖父君に従って刈上げにしちまおうかなぁ」
「はあ?!」
「冗談」
後ろ手に差し出されたものを受け取りながら、多少息を上げたまま、私は行く手を見据えた。
「落ち着くためのね。つまりちょっとびっくりしちゃっただけ…もう平気」
「ならさっさと下がる!」
「うん!」
あ、今ですね。
チョウチョウちゃんと同じタイミングでもーむりゼーハーしてるふりしてたとこで。
つまり。
うちはシンが出現して、今サラダちゃんに名乗ってから『一緒に来い』つったので。
何かを察したサラダちゃんは私にお弁当を託してから、その返答をした。
「イヤって…言ったら?」
拒否の言葉。
シンは無感情に、口を開いた。
「父様が言った…。連れて来い言った…、それ…絶対…!」
まるで何かのルールを復唱するような、プログラムコマンドの実行確認メッセージのような。
そんな淡々とした口調で、シンは巻物から己の得物を口寄せした。
「お前をさらう…」
「え!?あちしをさらって何しよっての!?」
必要事項を述べ終えたシンは、口を閉じてそれを実行しにかかった。
鎖と連結された大手裏剣が振りかぶられ、真っ直ぐやってくる。
サラダちゃんとチョウチョウちゃんは当然飛びのいて回避した。
しかし私は。
そのままあえて手裏剣の進路上に飛び退きながら、うまいこと身体を回転させて手裏剣を避けた。
うん。
いい塩梅に切れた。
サラダちゃんは既に手裏剣を投げていて気付かない。
それに対してシンは、ピンと張った鎖を駆使して手裏剣を弾いている。
だが『サラダに続いて號も後方支援ヨロシク!』なんて目で見てきたチョウチョウちゃんの目が、驚きに見開かれていた。
そうこうしているうちに、ぴんと張っていたシンの鎖の上に着地することで、それを掴んでいたシンの体勢を崩させたサラダちゃん。
「チョウチョウ!」
サラダちゃんの合図により、チョウチョウちゃん動揺から我に返るまでの、数瞬の停止時間。
なら私は、弁当を片手に抱えたまま、良い位置に手裏剣を投げ、これを避けさせることで体勢を立て直させなくした。
そんなことで数瞬は補えた。
すでに再起動を果たしていたチョウチョウちゃんはもうシンの背後に回り込んでいる。
「部分倍化の術!」
スキ在りなシンの背中を叩き潰すべく、倍化した大手を振り下ろすも失敗。
跳躍したシンがその勢いと腕力でもって、強力に鎖をすくい上げる。
それにからめとられるようにして女子二人は尻もちついた。
「お前…イラない」
跳躍からの下降。その勢いに乗せてシンがチョウチョウちゃんへと大手裏剣を振り下ろした。
「チョウチョウ!」
親友のピンチに、サラダちゃんが叫ぶ。
「チョウチョウちゃん!」
ついでに私も叫んでみる。
が。んー……シンなぁ……。
クローンでこれぇ……なんだろう急にかわいく見えてきたな。
うちはシンの目を見ても何も感じなかった。幻術も忍術も何も帯びていない写輪眼。
須佐能乎が無いにしても、まさか身体能力においてまで想像を下回っていたとは思わなかった。
鎖付き手裏剣の軌道も、おそらく様子見の第一投だからだろうけど、あまりにも単調で。
だからこんなふうに、簡単に、切らせたい部位を切らせることができた。
――束ねていた後頭部をざっくり断たれたことで、ばらばらと自由に落ちたりはねたりする髪。
それらは前髪以外の部位も少し巻き込んで、私の右目をすっかり覆い隠したりもした。
不自然に右目の色が変わってもバレない塩梅に。
だから遠慮なく右目だけ瞳術を発動して見れば、武器とシンの瞳の『繋がり』が良く見えた。
普通の感知ではこの『繋がり』を気取る事はほぼ無理だろうが。
うーん…チャクラ糸のない傀儡使いみたいなものかなこれ。
ま、そんな感じでのんびり思考している。
「子供のケンカにしちゃあ…ちっとやりすぎだな」
ナルトが来たから。
「うちの里の子供達はしつけはいい方だと思うんだけどよ……」
「七代目!!」
チョウチョウちゃんが思わず声をあげている。
ナルトが来ること自体…、接近も感知と予備知識でわかっていたし。
そして私は後ろの方に居るからなおのことのんびりしてて平気だ。