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何かの間違いではないかと疑っていたヒサキ、そこまで確認してやっと目を見開いた。
つまり今朝、信じられないことに、不在だったヒサキの代わりにノットが手紙を受け取ってくれたということだ。
ヒサキと同じように、またノットの定番の席も初日に座った席――ヒサキの斜め向かい――であった。つまり毎日互いの視界には、一応入り合っていた。
毎朝早朝に談話室を通るときにも、入室時「おはよう」とだけ声をかけるようにしているため、いつも返事はないが、存在くらいは認知されているだろう。
しかし、だからといってまともに話したことも目も会わせたこともなかっただけに、ヒサキは驚いていた。
あとでお礼を言わないとと考えながら、ひとまずヒサキは便箋に視線を落とした。
手紙にはこう書いてあった。
親愛なるヒサキ
金曜日の午後には授業がないはずだね。よかったら三時頃お茶に来ませんか。
閉鎖的なスリザリンに振り分けられて、心配しています。ハリーも呼んでいます。
ふくろうに返事を持たせてください。
ハグリッド
返事寄越す時間もふくろうもいねえ!!!!!
朝いねえのになぜ返事を求めたのハグリッド!あれか!月曜送って金曜届くようにしたとかそんなんか!!?ゆるす!!!
という心の叫びと封筒を投げ出したい衝動とは裏腹に、ヒサキはゆっくりと目を閉じ静かに手紙を畳んだ。
ハグリッドからの手紙はショルダーバッグの中へと沈められた。
さて、こうなったら予定変更するか。
進み始めた生徒の波に従ってヒサキも歩き始めた。
元々は、ヤマアラシの針を投入しネビルに痛みを知ってもらって――忍耐や精神の成長に痛みは必要だと思う――から私が医務室まで連れていきますーって、名乗り出る予定だったが。
よし。
怪我するか一緒に。
ハグリッドに会いに行きたいしゆっくり話したいが、返事を出せなかった今、すでに気まずい。
どうせスリザリンだよ!でもスリザリン最高!
手紙が出せないなら、そうであったという口実を作れば良い。
怪我しよう一緒に!ネビル!一緒に怪我しようね!!痛いの半分こな!まかせろ!
面白おかしく自分を囃し立てながらヒサキは深く息を吐いた。
どうやらまた先頭でトラブルがあったらしく生徒の波は再び停止していた。
することのなくなったグリフィンドール生とスリザリン生が小突き合っているこの波は割と居心地が悪い。
ライバルとして高め合ってくれるのは全然好ましい。
寮に振り分けられるようになった一番の理由である特有の性格。
屈せず正々堂々のグリフィンドールと、屈したふりして暗躍するスリザリン。
グリフィンドールにとってスリザリンは臆病者でずる賢いが、
スリザリンにとってもグリフィンドールは野蛮かつ無謀で愚かしい脳無しだ。
馬が合わず衝突しやすいのだろうが、そのキッカケは明らかに代々続く憎み合うべきという伝統だ。
先輩が戦えと言うから、戦い嫌い合う。
まあ、別に人には矛先も必要だし構わないが。
ヒカサキは前方で小競合うクリスマスカラーから視線を逸らした。
そうだせっかくだしノットを探そうと思い付きヒサキはキョロキョロとあたりを見回したが分からん。全くわからん。
この一年生の集団の中でも頭一つぶん背の低いヒサキは人の波の中に入ったら最後、角度的にいろんな人の肩や胴体が邪魔して人なんぞを探せもしなかった。
それこそのっぽのロンやでっかいハグリッドみたいに看板的な身体的特徴がない限りは。
「うーん…」
そんなんだから背伸びをしようと前方で何が起きてるかだなんてのもなんも分からん。
聞こえてくる声からしてドアの仕掛けがどうたららしいけど。
あーもー外国人発育いいよガタイいいよこわいよ。
日本人のコンパクトさなめんな。
ていうかこんなチビだから後姿でも私ってわかるんだろうな。
ドラコとかノットとか。
そりゃあフリットウィック先生には負けるが、だから席にしたって結局全授業最前列だった。
最前列好きだからいいけど。
逆にあまり注目されないし、視界を妨げるものもないから授業に集中できる。
っていうか あーーーもーーーマジでノット見つかんねえ。
セッオドルドルすけでっておーいでー、でーないと君に恋しちゃうぞさあどうだいいのか嫌だろうさあでてこいどこだ。
なんて心で歌ってもノットの姿は見つからないのであった。