□14 ハロウィン翌日
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「グリフィンドールの連中が、今質問したようなことを。に決まってるだろ」
ノットが独り言のように吐き捨てた。
それに乗っかかるようにして、ドラコも頷いた。
「そうだ。ポッターにそのお友達や、双子のウィーズリーがやかましく言って回っていた……」
予想を裏切らない回答にヒサキは口を閉じたまま「うーん」と、高く柔らかい思案声を喉の奥で流した。
「マクゴナガル先生に聞いてみれば本当だって言うし、スネイプ先生も否定しなかったのよ!」
続いてやってきたパンジーの突き詰めに、そこでヒサキは「アー」とため息吐きながら俯き、両手を上げた。
「心配かけたくなかったんでぼかしてたんですが、そこまで来られちゃうと降参するしかないっすね……」
へらーと笑った。
「ああ、ヒサキ!」
次の瞬間、ダフネがヒサキの細くて小さな身体を抱きしめていた。
「そんなこと気にしなくてよかったのに!」
「ヒサキは優しすぎるんだ。こういうときこそ声をあげないと、奴ら調子に乗るばかりだぞ」
ダフネの言葉の向こうで、ドラコも続いてそう吐き捨てていた。
それに対してヒサキは笑顔のままやんわり「いやいや」と手をひらつかせた。
「大袈裟ですよ。昨日も言いましたけど怪我はなかったんですから」
「大げさなもんか」
ノットがこれ見よがしに長い溜息を吐き、パンジーも「そうよ!」と乗りかかった。
「一歩間違えば死んじゃってたかもしれないのよ!?」
「そうだ。たまたま運が良かったんだ」
「知ってるんだぞ。ヒサキは無理やり連れて行かれたんだ」
いよいよクラッブとゴイルも参戦し始め、パンジーはグリフィンドールのテーブルをにらみつけ始めた。
「グリフィンドールの連中、こんなにも小さくてか弱い、しかも病み上がりのヒサキを危険な目に巻き込むなんて……なんて忌々しい奴らなの!」
「パンジーの言う通りよ!ヒサキが優しいからって付け上がってるのよ!」
「わーわー落ち着いてくださいダフネもパンジーもビンス様もグレッグ様も。とっくにもう終わったことですし、本当に私は大丈夫だから、元気だから、ね?みんな私のために怒ってくれて、それだけで充分だから、ね?本当にありがとう」
ヒサキは両手をわさわさ動かしたり、今だ抱きついてくるダフネの背中を叩いたりしながらその場の空気を収めようとした。
「ダメよヒサキ!あなたがそんなだから……あの忌々しいやつらが好き勝手するのよ!ちゃんとしたところに抗議して、責任と罰をくだしてもらうべきだわ!」
しかし、そううまくはいってくれなかった。
まとわりついてくるダフネに気を取られて思考や観察眼が曇っていたのだ。
パンジーやドラコがグリフィンドールのテーブルをにらみつけていると思っていたのだが、それはすぐにある一点に固定されていて、そしてすぐそこまでやってきていたことにヒサキは気付けなかった。
「忌々しいのはどっちかしら。当事者であるヒサキはいいって言っているのに、寄ってたかって意見を捻じ曲げようとするのね」
ヒサキは勢いよく振り返った。
「うおぉッビックリした!ハーマイオニー?!」
「こんにちはヒサキ」
「あ、こんにちはハーマイオニー。……それにハリーもロンも、どうしたの?」
「やあ」
そこにはいつもの三人組が立っていた。
ロンはスリザリンのテーブルを威嚇するように睨み付けている。
ハリーはヒサキに声をかけてから、すぐに視線をあげてロンにならった。
ハーマイオニーもヒサキに微笑んですぐ顔を怖くしてダフネと睨み合った。
「(修羅場では?えっ怖い怖い怖い怖い)」
「ごきげんよう、ポッター。みすぼらしいお友達を引き連れて、わざわざお越しいただきどうもありがとう。いったいぜんたい、どんな不幸をもたらしにやってきたわけだ?」
キョロキョロし始めたヒサキをよそに、口火を切ったのはドラコだった。
「ありとあらゆる不幸さ」
呟くようにロンが吐き捨てていた。
ドラコはそれに気付かずにこう続けた。
「善良な僕の友達を危険な目に合わせておいて英雄気取りはさぞ気分がいい事だろうな?え?」
「え、友達だって!?まさか君に友達がいるだなんて、夢にも思わなかったよ」
ハリーがおどけたように驚き、そして同じようにしてハーマイオニーも「なんてこと、私にも知らないことがあったなんて!」と言い、ロンとプッと噴き出していた。
パンジーが「なんですって!」と立ち上がったのと、ヒサキが強めにテーブルをノックし始めたのは同時だった。
パンジーが言い終わってもゴンゴンという音は止まなかったので、全員がその音に気付いて注意を向けた。
やり取りの間に、ごく穏便にダフネの包容を抜け出していたヒサキは、最後に軽く手元をコッと鳴らして立ち上がった。
声とは違う物音は思いのほか通るようで、思ったよりもスムーズに注目が取れた。
「先生方が見てるから、あまりわいわいするとまずいよー」
ヒサキはなだめるように両手をあげて、眉を下げながらにっこり笑った。
「ごめんね。とりあえず、ハリー達は私に用事ってことでいいのかな?」
「そうだよ!僕ら、ヒサキを助けようと思って!」
「助けるですって!?」
とんでもなく心外なことだと声を上げたのはダフネだった。
すかさずヒサキは、二の句を告げようとする彼女の言葉を遮るように、バキンと両手指を同時に鳴らした。
「用事があるんだね」ヒサキは眉を下げた笑顔のまま全く調子を崩さずに続けた「グリフィンドールのテーブルまでついて行くよ」
ダフネは今何が起きたのかわからずといった風に言葉を詰まらせていた。
そんな彼女に代わってか、パンジーが声を上げた。
「ちょっと、ヒサキ!そいつらの肩を持つっていうの!?」
その時、ドラコがパンジーの袖を引っ張った。
その行為に驚いたパンジーはとっさにドラコを見た。ドラコは教員席を顎で指していた。
「すみません、パンジー。ここでは穏便にいかせてくださいね」
構わずヒサキはそう続けると、ドラコの動きに連動するように、ちらと首だけで教員席を示した。
誘導のまま視線を教員席に向けたパンジーは、まさにこちらへ歩いてくるマクゴナガルに気が付いてはっと口をつぐんだ。
「また後で、図書室で会いましょう。お勉強会楽しみにしてますね」
そう言ってヒサキは、勝ち誇った顔をしているハリー達を軽くたたくように押した。
「揉め事ですか?」
ちょうどその時、マクゴナガルが到着した。
気付いていなかったらしいハーマイオニーは驚いたように声を上げた。
「マクゴナガル先生!」
「ヒサキを僕たちのテーブルへ招待していただけです。もう行くところですから……」
「そうですか?」
「はい。行こう三人とも」
「そうね」
「うん」
「すみません先生。お騒がせしました」
そうしてヒサキは初めて、グリフィンドールのテーブルへとお邪魔することになった。