□14 ハロウィン翌日
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「……はて。そ、そういえば……、昼食に向かう前に一つだけ、よ、よろしいでしょうか?」
「はいもちろん!」
「そそその……撃退まで行えたはずのあなたが、あ、あの時は、な、なぜあんなにも……その、Ms.グレンジャーをかばったときは、ほ、本気ではなかったのでしょうか?」
「あー。いいえ。褒めてもらった後で言うのもなんですが、私があとからトロールを倒せたのは、死角からの不意打ちだったからでして。ハーマイオニーをかばったときは最初からトロールに見つかっていて、しかも腰を抜かして動けない彼女が背中にいたので……」
「な、な、なるほど……す、少し意外でした」
「意外?」
「本来の力を存分にふ、ふ、ふるえなかった八つ当たりとしてあなたは、に、二体目のと、と、トロールを、必要以上に、き、傷付けて、倒したのでしょう?た、倒すだけなら、失神呪文だけで良かったのに」
「ンァーッ!」
「ひぃっ!?」
「あっすみません。その……ごめんなさい、その通りです」
「あ、ああ、やはり……そ、そうでしたか」
「その……はい、私……別に、全然いい子じゃないです。醜悪な感情もたくさん持ちます」
「そ、そうですか、それはその……」
「……幻滅しましたか?」
「と、と、とんでもない!だ、誰だって、そういうものです!」
「ならよかったです」
「さ、さ、さあ、も、もうこんな時間です!早く大広間に、い、行きましょう」
「はい」
§
そのまま問題なく大広間へやってきて、クィレルと別れた。
相変わらず、大広間の空気は華やいでいた。
スリザリンのテーブルに向かう途中で何気なくグリフィンドールのテーブルに目を向ければ、不思議なことにこちらに気付いていたらしいハリー達三人組と目が合った。
軽く手を振って微笑めば向こうも同じように返してくれて、ヒサキは若干感動した。
ご機嫌にスリザリンのテーブルへと着けば、まずいつもの席に座っているノットが声をかけてきた。
なんだか実に不機嫌そうだ。
「グリフィンドールなんかのテーブルに手を振るなよ」
「あははー」
見られていたようだ。
とりあえず向けられた文句を適当に流しながら、ヒサキは取り皿に料理を乗せた。
「なんでグリフィンドールの……よりによってマルフォイを侮辱するポッターに、血を裏切る一家のウィーズリーに……頭でっかちな穢れた血のグレンジャーなんかと……」
「あははー」
「聞いているのか?」
「ノット様が沢山お話ししてくれて嬉しーですよー」
「……聞いてないな?」
「三人とも組分け前からの友達なので。寮が変わったくらいで疎遠になんてならないですよ」
「いいかヒカサキ?グリフィンドールは『まともじゃない』奴らが行くところなんだ。むしろ縁を切るチャンスだろう」
「いつの時世だろうとまともな人の方が少ないですよ。そんなん気にならんです」
「僕は君のためを思って言っているんだが」
「それならご忠告をありがとうございます、ノット様。下手は打たないように気を付けてみますね」
「どの口が。下手はすでに打っているだろう」
「へ?」
「別に。……ただ、思ったより我を通す性格だったんだな」
「はえ?まあ、わりと。ワガママさんな方ですよ私」
無駄話をしながら取り分け終えた料理を置き、ポテトを口に運ぼうとしたところで、クラスメイト各位がヒサキの存在に気付いてやってきた。
「何の話だ?」
「ただの雑談ですよ、ドラコ様」
ひょこっと愛らしく首を突っ込んできたドラコにヒサキは微笑んだ。
「雑談?ヒサキとはそこまでの間柄じゃないと言ってなかったか?ノット?」
「今朝そうなった。一時間以上魔法史を教えたからそれで話しやすくなっただけだ」
「そういうことか、納得したよ」
ノットと言葉を交わしながら、ドラコはその隣――ヒサキの正面に腰かけた。
そしてさりげなくパンジーがその隣に座っていた。
さらにクラッブとゴイルもヒサキの両隣にやってきた。
「遅かったわね。どこ行ってたの、ヒサキ?」
さらにさらにダフネがヒサキの隣に滑り込むようにして腰かけてきた。
間に入られたゴイルは少しだけムッとしていたが、グリーングラス家のご令嬢に何か無体をするわけにもいかないようだった。
その様子に特に言及するでもなくヒサキは貰った質問をダフネに返すことにした。
「闇の魔術に対する防衛術の教室で預かってもらってた忘れ物取りに行ってました」
「あら、そうだったの」
「ちょっとダフネ、そんなことよりもっと聞くべきことがあるでしょ」
「おっと、そうだったわねパンジー」
「なんですなんです?」
ヒサキは首を傾げた。
そうするとダフネがそっと肩に触れてきた。
「昨日の夜……寮に帰ってくる前に――グリフィンドールの奴らの巻き添えになって――トロールに襲われてたって、本当なの?」
「あー……」
ヒサキは困ったように眉を下げて、頬に触れながらニッコリと笑った。
「この短時間のうちにいったいどこ経由でどんな噂が?」
そして、ひとまず否定および肯定から逃げ出した。