□14 ハロウィン翌日
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楽しいハロウィンの翌日。
全く反省の色なく遅寝早起きしたヒサキは談話室へと出た。
昨日ノットと一言も交わす機会がなかったため、細々のお礼を言うべく、目的をもって彼の姿を探す。
いつも通り、彼がぽつりとソファに座っていた。
「おはようございます、ノットさん」
「眠くないのか?」
「ん?」
開口一番に言葉が返ってくるとは思っておらず、ヒサキは瞬時に理解が追い付かなかった。
「僕よりずっと遅くに寝ていると聞いた」
ノットから二言目の言葉を寄越されたところで、ヒサキは気を取り直した。
「誰からお聞きになったんです?」
「パーキンソンから」
「あらー」
ヒサキは動揺なく肩をすくめる代わりに首を傾けた。
意識を逸らす道具は、範囲内のみに適用されるため入退室は流石に誤魔化せない。
毎度消灯間近から後ぐらいに寝室に戻っているということがバレていないという確信はなかった。
つまり彼女にとってはただの案の定だった。
「僕は8時には――どんなに遅くとも必ず10時までには寝ているけど、ヒカサキは違う」
「そうですね」
「眠くないのか?」
「まあそうですね」
改めて向けられた視線に、ヒサキは少し困ったような空気で曖昧に笑って答えた。
「ならどうしていつもこの時間に起きるんだ?」
「うーん」
「地下牢の奥に行って勉強しているんだろう。一番寒い時間帯に」
「あーまあそうみたいですね」
「だから体を壊したんだろう」
「一言もない」
「どういう意味だ?」
「弁解の余地もない」
「悪いけど、なんだって?」
「言い訳しようもございません」
「つまり『はい』なんだな?」
「そうですね」
「他人事みたいに言うな」
「すみません」
お説教である。
今までで一番長く会話が続いたのがお説教である。
ノットは溜息を吐いていた。
「反省していないだろう」
そう言って開いていた本にブックマーカーを挟んで閉じると、ヒサキを手招いた。
ノットがここまで流暢かつ感情顕わにしているのはドラコと談笑しているときくらいではなかったか?と思いながらヒサキはそれに従った。
黒革張りのソファの近くまで来れば、ノットの傍らに教科書や巻物が積まれていたことに気が付いた。
ノットはそれらを越した先のスペースを顎先で示し「座れ」と言った。
「えっと?」
そこまで来てヒサキは、もしやとなんとなく意図を察した。が、ひとまず戸惑った様子で指示に従った。
ヒサキが、積まれた教科書の向こう側に座るなりノットは「薬草学と変身術はグリーングラスに教わるんだったな?課題も」と切り出した。
「そうみたいですね」
「それ以外の授業の遅れた分はマルフォイが、僕と教えることにした」
「なんと」
均一な声のトーンで空返事の様な驚愕を述べながら、ヒサキは少し驚いた顔でノットを見た。
薄らと察していたが、つまり今ここでお勉強タイムが始まってしまうらしかった。
「飛行訓練の内容と闇の魔術に対する防衛術はマルフォイが意気込んでいた。逆に気が乗らなそうだった魔法史は僕が今教える」
「はぇ」
ヒサキは正直、元から早起きを止めるつもりで、それに伴ってその旨をテオスに伝えるまで早朝の地下牢奥に毎朝通(かよ)っておきたかったのだが。
ひとまず今日は無理そうだなと悟った。