□13 ハロウィン
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物陰から耳を澄まし、グラスにあたりを確認させ、人影のないことを確信してからヒサキはグラスを下がらせ物陰を出た。
数歩歩いたところで思い出したように自分へとスコージファイをかけ、もしも染み付いていたトロールの臭いを取り去った。
そうしてヒサキは、何食わぬ顔でスリザリン寮の入り口に合言葉を発した。
スリザリンの談話室でも、原作中のグリフィンドール寮のように、パーティーの続きをしているようだった。
見慣れないテーブルとご馳走が並べられ、トロールなど忘れたようにすっかりご機嫌な生徒たちが楽しそうにしている。
ヒサキは引き続き足音と気配を出来る限り殺して、女子寮へと戻――ろうとしたが、失敗に終わった。
完全に視界の外。
背後から唐突に伸ばされた手に、肩をがっしりと掴まれ、ヒサキは思わず全身を跳ねさせた。
「ヒサキ、君はいままでいったい何をしていたんだ?」
背後からすぐにそんな声が聞こえてきた。
ヒサキは、目を見開いて振り返り、その人物を見上げた。
「て、テリー…」
大溜息を吐いてヒサキから手を離したのは、テレンス・ヒッグスだった。
なお呼び方については、双子のウィーズリーとテレンスのお見舞いがブッキングした際、気が付いたらそんなことになっていたのだが、それは今どうでもいい事だった。
「監督生に知らされた情報だと、君は夕食前に退院していたと聞くし、けどどこにもいやしなかったからもしやと思って出入口を張り込んでみたらこれだ。みんな心配していたんだぞ」
説明を促すように腰に手を当てたテレンスに、ヒサキは思考を回した。
この男にかわいがられていた自覚はあるが、まさかこのパーティーの中でわざわざ引き留められるほどとは予想外であった。
「その…退院してから大広間じゃないところに行ってて……それで見回り中のスネイプ先生に言われて急いで帰ってきたところです」
とりあえず適当に言い訳をした。
「……そうだったのか?」
「はい。ご心配おかけしました」
「うーん、そうか。まあ、それなら仕方ないか……けどさっきも言ったがみんなヒサキを心配してたんだ。女子寮に帰ろうとしてたみたいだけど、みんなに顔ぐらい見せて行ってもいいだろ」
ほら、あそこだ。とテレンスが比較的1年生の固まっているあたりを指差した。
さらに背中を軽くポンポンと押されてしまえば、ヒサキはもう抵抗のしようもなかった。
手を振って見送ってきたテレンスを置いてトコトコとそこに向かえば、まずダフネが気付いてやってきた。
「ヒサキ!」
突然のハグにヒサキは驚いた。
「よかった、怪我はない?心配していたのよ」
受け入れつつも、用意していた言葉が飛びそうになる程度にはおっかなびっくりで、しかしそういえばダフネは同性とのボディタッチが多かったことになんとなく気が付いたりした。
「大丈夫だよ、ありがとう」
とうのヒサキは果てしなく落ち着かないのでノーサンキューなのだが、それを言うわけにもいかない。
「退院したはいいけど授業遅れて大変よね、薬草学と変身術なら私教えるわ」
「本当?助かるよ」
当たり障りのない返答をしていれば、流れるように腕を引かれ、次いで気付いた同級生の輪へと飛び込まされていた。
「どこに行ってたの?」
「また気分を悪くしてはいないか?」
「ベッドから降りると相変わらず小さいな」
「夕食まだだろ?トフィーアップルを食べろよ。キープしてたんだ」
目まぐるしくかかる言葉にヒサキは目を回したくなりながら対応した。
テレンスにした説明をもう一度し、体調も気分も問題ないことなどを伝えたりした。
「――って、えっなにこれ、りんご飴じゃん!?じゃないですか!?えっ!私が貰っていいんですかグレッグ様?!」
なおゴイルに差し出されたトフィーアップルという食べ物には思わず興奮したが。
「リンゴアメ?」
「あっ日本にも似たような食べ物があるんですよ、お祭りとか特別な日に食べるお菓子で」
「そうなのか、トフィーアップルもそうだ」
「ただ私かじるの下手なので切り分けていいですか?」
「馬鹿か?かじらなきゃ美味くないだろ」
「じゃあかじります……いや無理ですよこれ」
「歯でひびを入れるんだ」
クラッブが横槍を入れた。
「むりですむりです顎外れます。表面は甘くておいしいですけど、お皿くださいあとで食べます」
トフィーを取り皿に乗せたところで、ドラコがすぐ近くのテーブルにあるケーキを指差した。
「バームブラックも選べよ、ヒサキ。僕は硬貨が出たんだ」
ヒサキはそれに従って、バームブラック占いの説明を聞きながら、こちらはすでに切り分けられているバームブラックの中から一切れ選んだ。
「ボタンでてきました。というか美味しいですねこれ」
「女性がボタンじゃ特に意味はないな、残念だ」
「ねえヒサキ、」
それを皮切りにして、他の面子もヒサキを構い始めた。
頭一つ小さく、常に朗らかなヒサキは、背伸びしたい年頃の同級生の優越感をどうにも満たすらしい。
「コルカノンも残り少ないわね、取り分けてあげるわ」
「わあ、ありがとうダフネ。じゃあ少しだけお願いします」
「ポテト美味しいわよ」
「あ!皮がおいしいんですよね!一ついただきます、ブルストロード様」
「ボクスティも食えよ、ローストビーフがくるまっててソースがうまいんだ」
「えっおいしそう!一瞬でなくなりそうなのにまだ残ってたんですか?奇跡的!後でいただきますねザビニ様」
「アップルジュース飲みなさいよ」
「ふわぁ!ありがとうございますパンジー!ちょうど何か飲みたいと思ってたところだったんですー!」
「スカンピーフライ、たしか好きって言ってたわよね」
「エビだー!やったー!サリーありがとー!」
「あなたのトフィーアップル切ってもらってきたわ」
「えぇっ!?ふぁああ!!助かります!ありがとうございますデイビーズ様ぁ!」
ヒサキは笑顔で応対した。
(ってか食べる順序めちゃくちゃで草)
「そういえばヒサキあなた、自分のベッドに何かしてるわよね?ミリセントに言われなかったら気が逸らされてることに気付かなかったわ」
「あっ……あー…まあしてますね、私が近づくと発動するタイプの気を逸らす道具使ってます。近くに人がいるとゆっくり眠れなくて…」
「ふーん?大変ね」
(ゆ…ゆるされた…!)
それなりに楽しく、ハロウィンの夜は更けていった。