□11 体育の授業
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スリザリンのテーブルの真ん中まで連れてこられたところで、ヒサキの手首はやっと解放された。
そのままドラコの隣に座らされたのでヒサキ自身は解放されなかったが。
(居心地が悪いったらないんですねこれが)
話題はもっぱらドラコの自慢だったので、ヒサキがそうっと席を離れる機会を伺った時だった。
「ヒサキの箒捌きも僕と同じぐらい素晴らしいものだったんだ。今日の授業で――」
ドラコがヒサキのことを話題に出したことで、必然的にその場から離れられなくなり、ヒサキは内心で叫んだ。
(嫉妬ーーー!!嫉妬の対象にされることしないで!ねえ!何人か私を睨んでるの気付いてモテモテドラコくん!!しがないハッフルスリザリンはマルフォイ家ご子息御用達争奪戦に全力で関わりたくないのだが!!)
なお、その後ヒサキはフリントやテレンスを始めとしたスリザリンのクィディッチチームの席に招かれて移動し、構い倒された。
その際にヒサキはテレンスがスリザリンの現シーカーであることを聞き、感じていた謎の既視感に合点がいった。
始めて話す面子は誰も彼もヒサキの小ささと幼い顔立ちに、その年齢を疑ったりした。
しかし話せば驚くほど話題についてくるので、彼女の年齢を今度は逆の意味で疑ったりしていた。
また、テレンスが慣れたように「日本人は頭を撫でてもいいんだよな」とヒサキの頭を撫でたのをきっかけにして、その珍しい髪質のせいか、ヒサキは上級生に頭を撫でられまくった。
しかしここはイギリスなだけあって、撫でる前には一言断られるし、撫でられて髪がぐしゃぐしゃになると、杖を振って直してくれるのはさすがであった。
ヒサキはもちろんクィディッチには興味ないと伝えたが――それに落胆されはしたものの――クィディッチチームの面々は往々にして小生意気なドラコよりずっと愛嬌と知性のあるヒサキが可愛かった。
そんなこんなで自由の無い夕食を済ませ、やっと解放されたヒサキは、視線を振り切って逃げ込むように闇の魔術に対する防衛術の教室へと滑り込んだのだった。
珍しくクィレルが教室の中に居たので、先ほどの接待とはまた別種の接待用の仮面をすぐさま付け替えた。
ヒサキの笑顔と挨拶に、クィレルは相変わらず怯えた演技で応えた。
「みみみMs.ヒカサキ。飛行訓練での、お、お話、き、き、聞きました……それで夕食のと、時に囲まれて、いい、いたのですね」
「ひえー!伝わっていらっしゃった!!お恥ずかしい限りです…」
「いえ、そんなことは……そ、それより……そのせいで、ほ、ほ、ほとんど夕食を口に、出来てなかったように、見、見受けられましたが…」
「ああ!ご心配ありがとうございます!!それなら昼食時にクラッブ様とゴイル様に多少多めに食わされていたので大丈夫です。お昼に出るよう言ってくださったクィレル先生のおかげですね!ありがとうございます!」
「ひぃっ!……そ、そうですか、で、ですが、まだ食べ盛りなのですから、あまり、欠かすことの無いように、お、お願いしますよ……健康と、ぼ、防衛のために……」
「うっ、はーい……。一日一食のクセ早く無くせるように頑張ります…」
そんな軽い雑談の後、教室の奥へと引っ込んだクィレルをヒサキは見送った。
(もしや使える駒にする準備として私に体力と筋力を付けようとしていらっしゃる?)
開いた教科書を捲くりながらヒサキは思案した。
(そもそもマダム・フーチが私がダンブルドアの養子であること知ってたんだけど、これダンブルドアとスネイプとハグリッドだけの秘密じゃないのか?だとしたらクィレルは知ってんの?それとも任期が短くて警戒されてるクィレルだけ知らされてなかったり?その辺わからんな…飯時にダンブルドアと目を合わせるのも控えとくか?)
§
深夜11時半頃。
ヒサキは目くらまし呪文を纏い、八階の太った婦人の肖像画が視界に入るすぐ近くで待機していた。
ドラコには「行くなよ」と止められていたが、それはそれとしてハリーが出てこないか気になって仕方がなかった。
もし、もし出てこなかったら。
(ネビルを回収して――それから、ハリーとロンとハーマイオニーをどうやってフラッフィーのところへ押し込めと?どうやって嵌める?嫌われてでも――)
時の経過と共に思考は悪い方悪い方へと沈む。
ヒサキは焦燥と共に手の甲の皮膚を噛みながら、グリフィンドールの三人組が顔を出すのを待ちかねた。
結局のところ焦燥は杞憂であったのだが。
ヒサキはハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビルがしっかりとトロフィー室まで入ったところまで尾行し、そこで安心して寮へと戻った。
(明日の朝は出待ちして言い訳だな……じゃあその為の裏付けとってこないと)