□11 体育の授業
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翌日。
朝食時の大広間にヒサキが到着した時には、既にドラコはテーブルの中心に居た。
ヒサキはまず、いつもの席で朝食を摂った。
ドラコがグリフィンドールのテーブルに向かうか大広間から引き返すときに出入り口側であるこの席の近くを通るだろうから、そのときに手紙を渡そうという考えだった。
(よしごちそうさまでし……たじゃねえわ自分は馬鹿か?)
しかしヒサキは食事スピードを調整するのを忘れ、惰性で早々に食べ終えてしまった。
(追加で食べたくもない。それで具合悪くしても授業に響くしなぁ)
ふと教員席に目を向けたところ、こちらを見ていたらしいクィレルと目が合った。
ヒサキはとっさに微笑んだが、クィレルは驚いたように目を逸らした。
それから続いてダンブルドアとも目が合ったので、ヒサキは改めてニコニコすれば、ダンブルドアはニコニコと笑顔を返してきた。
スネイプとスリザリンがあまり好きではないとクィレルに印象付けてみようという試みの最中であったので、スネイプには目をやらないように気を付けながらヒサキは視線を自分の手元に戻した。
(用事が手紙だけなら、食べ終わってしまったし居座る意味も無いから後で渡すことにして退散するところだが――)
そうもいかない。というのが彼女の考えだった。
念のため時が原作通り動いているか知りたくて、ネビル騒動の発生を確認したかった。
よってヒサキは、闇の魔術に対する防衛術の教科書を読むふりをしつつ時間を潰し始めた。
いつものように斜め向かいに座るノットはといえば、いつもと違って食後早々に退室せず、ふくろうが来ても座ったまま動こうともしないヒサキを怪訝そうな目で見ていたが、特に口を開くことはなかった。
彼は変わらずいつも通り、自分宛てのふくろうがないことを確認次第、早々に席を立った。
配達のふくろうが飛び去って、届け物を話題にどの寮も大きく賑わい始めたところで。
ネビルの元に向かうのであろうドラコがヒサキの読み通り近くを通りがかった。
すかさずヒサキは教科書から視線を跳ね上げた。
「おはようございます、ドラコ様」
「ん?ああ、おはようヒサキ。ちょうどいいや、一緒に来るか?ほらアレさ。知ってるかい?僕は勿論。ただし見たことはあるんだけど、触ったことはなくってね」
ヒサキが二言目を切り出す前に、ドラコがネビルの思い出し玉を指差した。
長たらしく好奇心への言い訳がましくもある口ぶりを最後まで聞きつつ、ヒサキは心の中で(いや行かねぇよ?)と返事した。
無論おくびにも出さず、ヒサキは早々に鞄から用事を取り出した。
「遠慮しときます。それよりコレ」
「うん?…ああそれか。待ってたよ」
誘いを断った事実に対する不快感をごまかすように、昨日遠回しに催促されていたものを渡した。
あとは変に刺激しないよう、短い言葉でささっと流しにかかった。
「それじゃ、たしかに預かったからな」
「よろしくお願いします」
「うん」
うまくいったようだ。
ドラコは受け取った返信をひらりとローブの中へ仕舞い、首をひねるクラッブとゴイルを伴ってネビルの元まで向かった。
それにヒサキも一安心して、教科書に目を落とし直した。
相変わらずグリフィンドール側に背を向けたままだが、耳をよく澄ませた。
といってもグリフィンドールとはテーブルが端っこ同士のため、なかなか聞こえずヒサキは教科書を閉じた。
席を立ち、大広間から出ようとしつつ、視界を動かすことでようやく、思い出し玉キャッキャウフフらしき現場を僅かに視界端に映すことができた。
しかしながら足を止めてそれを見続けるわけにもいかないので、すぐに視界を出口に定め、ひとまず進行に問題はなさそうだと、満足気に大広間を後にした。
§
昨日の約束通り、昼食はクラッブとゴイル同伴で摂った。
ある程度薦められたものを少しずつ摂ったのだが、八分目を越えても「本当にそれっぽっちでいいのか?」「昨日食べてたスコッチエッグまだ食べてないだろ」などと、自分基準に何かと追加してこようとするのを丁重に断り続けた。
なまじ善意なぶん軽く面倒であった。
§
午後三時十五分頃。
待ちかねた飛行訓練の時間が迫ってきた。
(おそらく体育の時間に該当するのであろう)
結束が強く上級生にアドバイスを貰うことの多いスリザリンは、今回も例に漏れず上級生に貰った助言に従い、いち早く校庭まで移動していた。
ヒサキもその群れについて行き、共に到着した。
到着するや否や、それを察知したのか偶然かはわからないが、21本の箒がどこからともなく飛んできて、等間隔に並んで着地していった。
それは壮観だった。
魔法世界のイイトコの子供達にとってはこの程度取るに足らない光景だったのか、感嘆していたのは彼女だけだったのだが。
ヒサキは、早く来た甲斐に該当はしない――つまりこれを見るためにあえて苦労するほどではない――が、早く来てよかったなどと訳の分からない思考をぶら下げていた。
そんな彼女は、この後来るハリー達に、スリザリン群の一部という印象を受けさせたくなかったため――さりげなく群れから抜けて――なるべく一番遠い、端っこの箒の横へと立っていた。
(ネビル落下はある意味での成長痛ともいえるので放置するだろ。心が痛むが、今後サポートし続けることが出来ない以上、下手な救助は甘えを生む)
思考とともに視線を落とし、手の保護用に買っておいたグローブをきゅっとはめていると、近づく足音が聞こえてきた。
といってもヒサキはこの足音が自分に向かっているのかわからなかったので、顔も上げずにグローブのはまった手を開閉してみた。
ほどなくして足音はヒサキはすぐ近くで止まり、彼女をすっぽりと覆うように影が落とされた。
「やっぱり、陽の下で見るといっそう綺麗な髪だな。」
お前かい。と、ヒサキは内心で独り言ちながら笑みを張り付けて顔を上げた。
「ありがとうございます、ザビニ様!」