□2 森スタートからの待遇決め
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たすけて~へるぷみ~
あれよあれよ。
ハグリッドにだっこされて私は今城内に居ます。
ハリポターーー?
ハリポタなのーー?
よく生きてたな私。
よく生かしてくれたなケンタウロス。違うハリポタ世界だからケンタウルス。
手を開いたり閉じたりする。
小さい。
あのときの傷跡がない。
頭を整理すれば説明書きのような情報が在った。
ハリーと同じ学年の姿になっている、とか。
この過去の世界に私の居場所はなく、私の両親祖父母の段からしてそもそも生まれていないとか。
強大な魔力、魔法の才能を得たとか。
変わりに余命7年で死ぬとか。
だいぶ曖昧なハリーポッターの情報は時期が近付くにつれ色付いてくれるようになっている、だとか。
いつか空想したトリップ夢かって。
ハグリッドの逞しい腕と、乗り心地の悪い振動のなかで、これからの身の振り方について考えた。
§
校長室にやって来た。
座らされたソファはとても綺麗で、土まみれな姿で座るのが申し訳ない。
かといって言葉も通じないのに突然立ち上がって床に座りでもしようものなら不審者ですよ。
ダンブルドアとハグリッドが向こうで話し込んでいる。
服装や内装を見回す。
絵画は怖くて見られない。
見慣れない様々なものは、どれも手にとって眺めたい欲が沸く。
取らないけれど。
身繕いする不死鳥を眺めていたところで、新しい声が聞こえた。
だれだと声の方へ目を向けた。
みんなのスネちゃま!!
こと、第二の主人公スネイプ先生が、謎の瓶をダンブルドアに手渡しているところでした。
アッ目があった。
会釈と微笑みで返せば訝しげな顔をされた。
どうせ私は不審者だ知ってたあっはっは。
とっとと退室するのかなと思いきや、スネイプはまるで獲物を見定める吸血鬼のように迫力たっぷり。
微動だにせずじっとこちらを睨み立っていた。
ダンブルドアとハグリッドが近付いて来る。
話するなら応じるぞという意思を込めて私は立ち上がった。
ダンブルドアがふと手を上げた。
すると指示を受けたのだろう一枚の大きな羊皮紙が飛んできて、私の目の前を浮遊した。
羊皮紙には様々な規則、法則の文字が規則的に並んでいた。
そのなかに、『English』だとか『日本語』という文字列を見付ければそれがなんなのか分かる。
私は『日本語』の文字列に指先で触れた。
そうすれば文字が変化した。
『あなたの母国語は日本語?』
その下に、『はい』と『いいえ』
『はい』に触れるとまた文字は変化する。
『今からお渡しする薬を飲むと、一定期間、母国語に上書きされ、言葉が通じるようになります』
その下に『飲みません』と『飲みます』の文字。
なんかのセットアップをしてる気分になるわ。
『飲みます』に触れたら、羊皮紙はくるくると丸まった。
そしてダンブルドアの手元に飛んでいくと、絞られたようにねじれた。
しわだらけの手の中にある、蓋の開いた薬瓶の中に、インクのような液体がポタポタと数滴垂れた。
そうすると羊皮紙はねじれるのをやめてどこかへと飛び去った。
ダンブルドアが撹拌するように瓶を振れば、薬瓶の中にあった液体は――もとは真っ黒だったのに――透明感のある緑茶色に変化した。
ダンブルドアはニコニコしながら
「drink」
飲めと言ってその瓶を私に差し出した。
ならば私はニコニコして
「いただきます」
Let's drinkと言って受け取り、会釈してから瓶に口をつけた。
どんな地獄味かと思ったら
緑茶味やんけ。
§
なんやかんや。
座るように促され、特筆するべきでもない自己紹介と、ホグワーツのことについて教えてもらった。
トイレ行きてえなどと思いつつ、適当な相槌とリアクション…学生時代に極めた『聞く姿勢』を披露した。
それが終わると、最後に私の名前を訪ねられた。
迷わず偽名を答えた。
せっかくなんだから、もう、もとの世界に定められ生きていた私でなくてもいいだろう。
あの私も、あの名前も、嫌いだ。
名を聞いたダンブルドアは歌うようにそれを復唱した。
「ヒサキ、ヒサキ。ヒサキ・ヒカサキ。
うむ、よい響きをした、素敵な名前じゃ」
「ありがとうございます」
「さて、ではこちらのことは話した。今度は君のことを聞くとしようかの」
長くなりそうだな。
「すいませんその前に」
「?」
「御手洗いお借りしてもいいですか。ぼちぼち破裂しそうで」
さっきから膀胱が鈍痛を訴えている。
人としての尊厳が決壊寸前だ。
この場の男共は顔を見合わせて、そして私をトイレに案内した。