□11 体育の授業
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最初の週では毎日ひたすら早く起きるという生活を送っていたヒサキ。
それは、時間のほとんどを費やして必要の部屋でおできを治す薬を作り続けるという日課があったからである。
ネビルを助けることでグリフィンドール側に少しずつアプローチしていくという魂胆で。
そして今。次の週からできた日課は、
闇の魔術に対する防衛術の教室を訪ねることだった。
難攻不落に見えるクィレルへのアプローチが目的だ。
しかしこれについて、クィレルには特段早起きという印象もつけずに居たため、ヒサキもわざわざ早起きする必要は無くなった――――というわけではなかった。
日課はもうひとつ。
(ウェブ検索すらできないこんな時代なんて!)
新しい呪文作りだった。
月曜日。
早起きし、必要の部屋へ――――向かう道中にクィレルと接触したくなかったため、
日曜の昼、ヒッグスに――イモリ試験の勉強をするための本を借りるからと――連れられた図書室で、本を選ぶ手伝いをしたときに見付けて借りた本を手に、今回は地下牢の奥で研究を始めた。
スリザリン寮からすぐの場所にあるにしても、こんな場所に人はそうそう訪れないだろうと。
初日にひとつ驚いたことは、談話室から出て暫くして、ノットが訪れたことだった。
談話室を通るときにいつも顔を会わせていた彼との一番早い再開にヒサキは、
例のごとく癖で息を潜めた。
(談話室に人が集まるとこっちに来ていたのか)
しかし息を潜めようと色々広げていたため、すぐに見つかった。
ヒサキを認識するなりノットは黙って踵を返し、
その日からノットは地下牢に訪れない。
(追いやってしまったかね)と思いつつも、
ヒサキは知らん顔で地下牢を拠点にした。
ノットがどこに場所を移したか興味があったが、向こうは何事もなく過ごしている。
それならと、必要も意味もないことを特に聞きはしない。
朝露で湿った、寒く、暗い地下牢で石と鉄格子に冷たくされながらヒサキは研究を続けた。
見計らってか、片耳の屋敷しもべであるピーキーがホットティーを持ってきたりした。
§
水曜日
「今日も来るなんて、どういう風の吹きまわしなんだ?」
「……えーと」
クィレルに言われ、昼食に顔を出すようになったヒサキの肩を叩いてきたのはゴイルで、声を掛けたのはドラコだった。
パンジーにまた睨まれちゃうなと思いつつも、無下にはせず対応する。
「大広間が苦手なんですよ。でも、さすがに一日一食は限界だった次第で…」
「大広間が?」
「なんででしょうね。」
「まあいい、それなら、コンペートーは全部食べたんだろうな?」
脈絡のない質問にヒサキは首をかしげた。
「?
いえ、まだありますが」
「なら今日中に食べ終えろ。絶対にな」
「はあ、わかりました」
謎の指示にヒサキは首を捻ったが、納得しなくても指示を聞ける人種であるため、素直に頷いた。
ドラコは満足げに頷くと、そのまま、テーブルの真ん中まで歩いた。
クラッブとゴイルはその場にとどまってヒサキの両隣に腰を下ろしたが。
「え、なに?珍しいなお二人さん」
急に窮屈になったヒサキは両隣に座った二人を交互に見渡した。
クラッブとゴイルも、座ったまま手が届く範囲の食べ物を取り皿に盛っていた。
「別に」
クラッブが返事をした。
「用があったんだ」
続けてゴイルが喋った。
「用事ですか?」
ヒサキは手元のスコッチエッグを切り分けながら復唱した。
先に盛り終わって取り皿を置いたのはクラッブだった。
ヒサキはその皿に目を移した。
「これ、なんですか?キノコのパイ?」
「チキン&マッシュルームパイ。知らないのか?」
「こっちの料理はてんでわかんないんです」
「そうか。チップスはポテトだ、わかるよな?これは知ってるか?」
「わかんないです」
「ブラックプティングだ。簡単だろ?」
相手よりも自分が知っている、という状況に気分を良くしたクラッブは、ニヤニヤとしていた。
「ヒサキ、これはわかるか?」
「はい?」
そして、それを聞いたゴイルも同じ気持ちで割り込んだ。
「あー、食べたことありますけど、名前はわからないです」
「シェパードパイだ」ゴイルは続けて自分の取り皿を置いて指差した。「で、これはフィッシュパイ、こっちはコーニッシュパスティだ」
「こ、え?この餃子?こーにしぇ?」
「コーニッシュパスティ」
「コーニッシュパスティ。はえ~すっごい……」
ヒサキはすぐに視線を移して感嘆した。
そんなヒサキにクラッブとゴイルは満足げにしてカボチャジュースをグビグビと飲んだ。
「食べてみろよ」
「そんなちょっとしか食わないから、チビなんだろ」
「いや多いです。一人前が三人前ですよ戻しちゃいます」
「じゃあ明日食えよ。隣に座ってやるから」
「見てるからな」
「え、明日も構ってくれるんですか?わあ、ありがとうございます。ビンセント様、グレゴリー様」
「「それだ」」
「はい?」
名前を呼ばれて始めて用事を思い出した屈強な二人組は、
声を揃えてヒサキに顔を向けた。