□10 入学最初の週末
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食後、ヒサキは来た道を足早に戻った。
遅れて大広間に向かう生徒と数度すれ違ったりしながら歩みを進めていたヒサキの足は、その途中で止まった。
「ォォオオ!ドーター!ドーター!穢れたドーター!!こんなお昼時に何処へいくぅー?」
「ああ、お疲れ様です。お耳の早いポルターガイスト」
昼時でひとけの無い階段を滑り台のようにすべってきたピーブズに向けて、
ヒサキは会釈と微笑みを贈った。
対するピーブズ。
怒り狂うと予想していた呼称を平然と流され、きょとん顔。
「な、なんてつまらないんだ!ドーター!ダンブルドアに口止めされてるから、ずっと我慢してたんだぞ!?」
「そうでしたか」
「穢れたドーター!バカにされても言われるがままの腰抜けだっ!」
「バカに?ただの事実じゃないですか」
「……」
あくまでも動揺なく応対するヒサキ。
次の瞬間、ピーブズは顔をしかめると、その場でぐるぐると回って地面へと消えていった。
「つまらないドーター!時間の無駄だった!」
捨て台詞を残して。
これにヒサキは首をかしげた。
意地になってちょっかいかけてくると思っていたが、
案外アッサリ関心なくされたなと。
(ピーブズちゃんに粘着されて いつ襲われても咄嗟に対応できるような瞬発力を鍛えようと思ってたのに……)
しかし、これはこれで面倒を遠ざけられたヒサキは機嫌を上げた。
(まあ、こんな脅しがいのないチビより、いい反応くれる生徒はごまんと居るものな)
§
防衛術教室の前に戻ったヒサキは、扉に触れることも入室することもなくクィレルを待った。
クィレルが教室を出るとき鍵をかけていたからだ。
肌寒い廊下でヒサキは教科書を取り出した。
都合の良い子を演じて、まんまと演技派を騙せたら。
それはとても楽しいことだ、と。
ヒサキは蹄のように爪先で地面をかいた。
愉しげに教科書のページをめくりながら。
しばらくしてやってきたクィレルに扉を開けてもらい――食っていた飯の量が少なすぎるとか、もしくは白々しく「廊下で待っていなくとも……」と言われたりしたが――
その日も消灯まで防衛術の教室内で自習をした。
またクィレルに臭いを消してもらい、寮まで送ってもらった。
日曜日も概ねそんな感じだった。
特筆するなら、またクィレルに言われ昼食に出たことか。
それから、クィレルが大広間に居るのに足早に退室するのは得策ではなかったとあとで気付いたため、実は大広間が苦手ということにした。今年限りだが。
しかし大広間に入るなりヒッグスに気付かれ絡まれ初めてしまい、食後もしばらく捕まったりした。
そうして、週末は明けていった。
(あー、箸でラーメンすすりてぇ)