□10 入学最初の週末
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クィレルに起こされ、時刻を告げられると、
ヒサキはこれ見よがしに慌ててみせた。
ホグワーツの構造に慣れてないから、迷子になって時間過ぎたらまずいと。
そう言うことで、寮まで送るというクィレルの申し出を引き出し、有り難く受ける事に成功した。
実際には屋敷しもべの力を借りれば一瞬だったのだが、変に余裕があると思われたくなかったためである。
道中、明日なら手伝えることはないかと食い下がったりもした。
結果として、新入生に任せられる作業はないと断られたのだが、……教室の解放には成功した。
消灯間近ということもあり、誰に出くわすこともなく寮に到着。
「今日はありがとうございました!」
「え、ええと、いや……はい。そそそれでは、お、お、おやすみなさい、Ms.ヒカサキ」
「おやすみなさい、クィレル先生!」
挨拶を交わし、クィレルに見送られながらヒサキは談話室へと入っていった。
談話室に入るなり、ヒサキは外に聞こえないよう無言でスコージファイを唱え、ようやっとニンニク臭から解放されたのだった。
(しっかし良かったのかクィレル。私をニンニク臭つけたまま帰すなんて防衛術の教室に居たの分かっちゃうじゃん。
……キャラ付け上、わざわざ生徒についてる吸血鬼避けを取り去ったりしないだろうとは思ってたけどさー)
すぐに消灯の時間を迎えるところであることもあり、
談話室にはひとっこひとりおらず、がらんとしていた。
一人だけの心地よい空気を吸い、伸びをしながら女子寮へゆったりと足を向けたのだった。
§
翌朝。ヒサキは例のごとく朝食には出なかった。
それどころか、もう必要の部屋へ行くこともなかったので早起きの必要もなく。
ベッドの上でうだうだと惰眠を貪っていた。
初日の夜から設置している、ベッド周辺から意識を滑らせる魔術道具は問題なく機能している。
つまり実質一人部屋だとヒサキは寛いだ。
日が上りきった10時前ごろ、まだ寝ていたかったが、ようやくヒサキは腰を上げた。
例のごとく、防衛術の教室へ向かおうと談話室を通り――過ぎることは出来なかった。
(なにごと)
談話室に顔を出すなり体格の良いクラッブとゴイルが近付いてきたかと思えば、
すれ違いざまに両脇をがっしりと捕まれた。
「アゝ^~」
まさかの出待ちに戸惑いつつもヒサキは気の抜けた声を上げるだけで、無抵抗にかかとをすり減らしたのだった。
「なんだその発音」
「きにせんでビンス様」
「……?」
「今、クラッブの愛称にMr.を付けたのか?」
「ヒェ冗談ですグレゴリー様。ご無礼すいませんビンセント様」
「……」
突っ込まれたりしながら引きずられた先は、暖炉前のソファだった。
ドラコが同級生に自慢話をしつつ、そこそこの家柄らしい上級生に接待されてたりしているその中心地に。
そういうときのドラコと関わるのは、
ヒサキは少し嫌だった。
「――機転をきかして舵を切り、そして危うく、プロペラをかわしたってわけさ――おっと。
ごきげんよう、ヒサキ」
何度目かになる自慢話を披露していたドラコは、クラッブとゴイルに気が付くと、そのまま後ろ向きにやって来たヒサキの背中に声をかけた。
「どうもごきげんよう、ドラコ様。後ろ向きで失礼」
いまだ両脇を掴まれぶらりん状態のまま解放されないため、ヒサキは大きめの声で返事を返した。
視線が集まっていることは重々承知の上であり、そのことについて溜め息が沸いたが、鼻から静かに逃がしたりした。
「おいクラッブ、ゴイル。ヒサキを解放しろ」
パッと。
ドラコの言葉を聞くなり唐突に手放されたヒサキはビタンと尻餅。
突如ケツに訪れた衝撃にヒサキが「オウッ」と声を漏らせば、周囲からはクスクス笑いが聞こえてきた。
「……確かに見付け次第連れてこいとは言ったが、どうしてもう少し紳士的に出来ないんだ?
クラッブ?ゴイル?」
ドラコは呆れ返って肩をすくめ、当のクラッブとゴイルは顔を見合わせていた。
その間にヒサキは痛みを堪えながら立ち上がってやっと振り返ってドラコを視界に入れた。
「で、お呼びとは?私にご用事です?」
尻の鈍痛を我慢しながらヒサキが見上げて尋ねれば、ドラコは 薄っぺらな胸を張って、得意気に歯を見せた。
その仕草に対しヒサキは内心(ドヤフォイかわいい)とか思ったりした。
「父上にお前の話をしたことは以前話したな?」
「おう、そうですね」
「それでだな、今朝、僕の父上から預かったものがあるんだ」
言いながらドラコは、傍らのテーブルに置いてあったものをひょいと手に取った。