□10 入学最初の週末
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食事の時間が終わり、面々と別れたヒサキはとある場所を目指し歩を進めていた。
(やっぱクィレルとは絡むだろ。)
目指す先は、闇の魔術に対する防衛術の教室。
(今年限定だし、演技の練習もかねて…どこまでバレないかって……そしたら敵と認識されないようなって感じでいくほうがいいな)
既に人気も少なくなった校内の雰囲気を楽しみながら、一歩一歩と。
この靴とこの床で、どう歩けば足音を殺せるか練習するように歩いた。
(……よし。懐こう。決ーめた。)
そうと決まれば念のため目的も、とヒサキはローブ下の斜め掛け鞄から教科書を取り出した。
§
いよいよ到着するぞと最後の角を曲がったところで。
丁度、クィレルが教室のドアノブを握らんとしているところが目に入った。
「おっと」
ヒサキは即座に教科書を鞄に放り込み、
息を吸った。
「クィレル先生ーーーーーーーー!!!!」
そして勢い良く床を叩き蹴った。
対するクィレルは突然の大声に「ヒィッ!?」と弾かれたように肩をちぢこめ、ヒサキの方へと顔を向けた。
お構いなしにヒサキはバッと両手を広げ、勢いまま飛びついた。
「えへへー!」
「み、み、み、Ms.ヒカサキ、ここ、これは、なな何事ですか……!?」
震える身体は、驚いて一緒にひっくり返ると思ってたヒサキの予想に反して、そのまま彼女を受け止めた。
(やっぱプライドたけーなりに床に触れるのは嫌ってことか)
ヒサキはニンニク集漂う布地を掴んだまま、声を掛けられて嬉しいといわんばかりに顔をパッと輝かせて上げた。
「突然ごめんなさい!
この前の授業でわかんないところあったんで聞いていですか先生!」
「…あ、ああ、そういうことならもも、もちろん、構いませんです…ハイ」
「優しい!嬉しい!ありがとうございますッ!」
「え、ええと…そういうわけで……は、放しても、私は逃げたりしませんから…」
「はーい!」
鬱陶しがられてる波動を感じたヒサキは、特に粘ることなくパッとクィレルを解放し、数歩下がった。
そして鞄から教科書を取り出して先ほどまで見ていたページを捲った。
§
教室内に通されたヒサキは、そのまま授業の内容をクィレルと共におさらいした。
特に何事も無く。
普通に教えを受け、そして教えられたことを理解できているか確認のために
勉強した内容を自分の言葉で復唱などしていた。
マンツーマンの特権である。
「――ってことですか?つまりは。」
「そ、そ、その通りです。Ms.ヒカサキ」
「なるほど…ばっちりです!!助かりました先生ありがとう!」
ヒサキは勢いのままクィレルの手を両手でぎゅっと握った。
「い、いえ、とと当然の、こと、ですから……」
クィレルはタジタジといった様子であった。
しかし内心では警戒しているのだろうなとヒサキは予想立てていたし、それは的中していた。
「そ、それにしても、授業のときとは、ず、ずいぶん違う態度みたいですが……」
「ご不快でしたか!?」
「い、いえそのような……ええと、も、もう少し大人しい印象だったものですから……」
「ご不快でないならよかった。ええ、まあ授業ではスリザリンの目がありますから……点数稼ぎ以外は大人しくする以外できないんですよ。いじめ怖くて。
ほら、何せ私はハッフルスリザリンですから」
「そ、そ、そうですか?しかし、先程食事をしていたとき、す、スリザリンの上級生とし、親しげにしているように見、見えましたが……」
「内心ビクビクですよ。肯定以外できないです。
ていうか見ててくれてたんですか!?私を?!」
相槌を打つ間もなく、
急に強く声をあげたヒサキに、クィレルは肩を跳ねさせた。
お構い無しにヒサキは、そのままあえて視線を落として、繋いだ手を見つめてみせた。
「嬉しいです……いままで私を見守ってくれる人なんて誰もいませんでしたから」
「そ、それはいったい……」
ヒサキは内心今だとほくそ笑み、用意していた言葉を慎重に連ねた。
「私、物心ついた頃に両親を亡くしてて……それからは義理の家族に育てられました。
それが……私にとっては、あまり良い人達ではありませんでした。全寮制のホグワーツに来れたのが嬉しくてたまらない程度には……」
「そ、それはその……すみません。ご、御愁傷さま……です」
「気にしないでください。
それでですね……クィレル先生って、なんだか、お父さんに似てる感じがするんです」
「はい……?」
「体格とか、声とか。
こんな偶然あるんだなって……いや……お父さんがどんな人だったかなんて……とてもおぼろ気ですけど、でも」
「で、でも?」
「でも、クィレル先生と一緒に居るとホッとするんです、私……。
一緒にここで勉強して、確信しました。」
「え、ええ……!?
そ、そ、そんな、困りました、私はどうしたら……!?」
突然の告白に困り果ててパニクっている様子のクィレルだったが、
ヒサキは暗に『何が狙いだ?』と、探られているような気がしていた。
「あ!困らせてごめんなさい!
ただ……そう言うわけでクィレル先生は特別というか……できるだけ一緒にいたいというか……
あの!」
「な、なんでしょう?」
「なにか手伝うこととか、ありますか!?
ええと、ほら、勉強教えていただいたお礼に!」
「……じ、事情はわかりましたが……あ、あ、あいにく、今日はもう……することは終わっていて、ですね……」
クィレルは震えながらヒサキの手をそえてゆっくり振りほどいた。
断られたがヒサキは特に動揺せず、それでよかった。