□9 ハグリッドの小屋(2p目から一人称視点)
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ロックケーキというのは、
ドライフルーツの練り込まれた小さくて丸いクッキーのようなケーキである。
表面はカリッとしていて、中がサクッとやわらかいのが特長で、見た目が岩(ロック)に似ていることからこの名前が付けられたと。
少なくとも私にとってはそういう認識だったのだが…。
ハグリッドが出してくれたロックケーキは、まさに岩だった。
こう…冷めてカチカチになったベビーカステラみたいな。
さっすが歯が折れそうと形容されたことはある。
おそらく一度しけってから、そのあとまた中途半端に乾いたものと思われる。
あー……堅焼き煎餅食いたくなってきた。
「それで……どうだ、俺のロックケーキは?」
「美味しいです。ロックケーキというのは初めて食べましたけど、口寂しいときなんかにいいかもですね」
「気に入ったか!そりゃよかった」
笑顔になったハグリッドに私も微笑んで、
ゴリリッと、ロックケーキまじき音を立てて削る様に齧り、紅茶で解して飲み込んだ。
たった短い言葉だけで喜んでくれるなら喜ばせたくなるよなあ。
美味い不味いは個々の感想だからなんと言っても不自然ではないからさー。
「ところで、ロナン様とベイン様はお元気ですか?」
ハリー達が来るまで、彼らに聞かせられない話でもしようかなと私は切り出した。
ハグリッドは私の問いに首を振った。
「さあな。あの日から会ってねえ」
「そうでしたか」
「しかし、やっこさんたちはそうそうヤワな生物でもねえ。おそらく、元気にやっとるだろうさ」
「また会えますか?」
視線を一度ロックケーキに移してから、もう一度ハグリッドを見上げれば、彼は森の方角に顔を向けていた。
「……会ってどうするってんだ?」
「改めてお礼を言いたいんです。私を見つけてくれた…。」
「それだけなら会っちゃくれねえ。奴さんらは極力、人と関わらんようにしとる」
「質問がいくつかあれば、会ってくれるんでしょうかね」
「……それもあいつら次第だ。こっちから見つけることはまず出来ねえ」
ハグリッドはゆっくりと私を見降ろし、溜息を吐いた。
「まず森の奥地から出てくることがそうそうねえからな」
「うーん、そうですか」
紅茶を啜って天井に吊るされたお肉を視界に運んでいれば、ハグリッドの大きな手が覆い被さってきた。
思わず目を閉じる。
その大きな手は、念を押すように私の頭を掻きまわした。
「森に入ろうだなんてバカな気は起こさんでくれよ、ヒサキ。
あん時はケンタウルスが傍で見張っとったから、お前さんも無事だったんだ」
「それはもう…よくわかってますよ」
「ならええ」
素直に頷けば、手はゆっくりと離れていった。
閉じた瞼を開けて様子を伺うように見上げれば、ハグリッドが安心したように目を細めていた。
よかった。機嫌損ねてない。
「話は変わりますけど」
ハリー達はまだ来なさそうだから、乱れた髪を直しながら私はさらに質問を続けた。
「おう、なんだ?」
「私がスリザリンになったことに関して、校長先生は何か言ってましたか?」
この質問に、ハグリッドはパチパチと目を丸めた。
「そんなの、直接聞けばいいじゃねえか。義理とはいえ、親子だろうが」
「でも、立場的には、校長といち生徒ですよ。緊急時でもないのに話しかけたりなどとてもできませんよ」
「………」
え、なんでそんなショック受けたような顔すんの。
「その歳でその価値観は……、聞いてた通り…ひでえ環境で育ってきたんだな…。不満そうな顔もしねえとは……
いや、お前さんの生い立ちを知ってるってわけじゃあねえが……」
「またまた」
それを言うならハグちゃんのがひでえ環境で育ってきたくせに~。
§
なんてしばらく話していたら、ようやくノックが聞こえてきた。
私にはちっとも反応せずに眠っていたファングが跳び起きて戸口に走り寄っていた。
唸る唸る、引っ掻く引っ掻く。
「退がれ、ファング、退がれ……待て、待て、退がれ、ファング」
ハグリッドが牽制しながら戸口へ立つ。
ファングが鉄砲のように飛び出さないよう首輪をしっかりと掴み、お客を室内へと招いた。
「あ」
「あ…」
「やあ。お二人さん」
ハリーとロンがやってきた。
戸が閉まり首輪を離されたとたん、ファングはロンに飛び掛かり、なめまくって歓迎した。
その不意打ちが、困惑の空気を和らげた気がした。
ロンとハグリッドがあいさつを交わし、双子を森から追っ払うのが大変だと言う話になったり、
私がスリザリンになったとき双子はショック受けてたという話になり、
そのあと孤立してた私を気にしてニックけしかけたとか……ってあのとき来たニック双子の差し金かよ。
その流れで私の話題になったり。
「そういえば、エート、ヒサキ?」
「はーあーいっ?」
「なんか…久しぶりだね…」
「えww」私は軽く噴き出した「さっき会ったやんwww授業でwww」