□9 ハグリッドの小屋(2p目から一人称視点)
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教室を後にし、地上への階段を登る。
あと数段というところでヒサキは足を止めた。
見上げられた人物は、怯んだように視線を泳がせた。
「先生にご用事?」
「と、とんでもない!」
おっかなびっくり大声を出して、周囲を気にしている。
もうすっかりスネイプが怖いらしい。怒鳴られればそうだよねえ、とヒサキは目を細めた。
「すっかり綺麗になったね。肌。よかった」
「う、うん……。だからその、治ったから……お礼を言おうと思って……。」
「お礼?なんで?」ヒサキはぱちくりと瞬きをしながら階段を登りきった。
「だって、送って励ましてくれたから……」
「私が送らなくてもシェーマスが送ってきっと励ましてくれたよ」
ふくろう小屋を目指してヒサキが歩き出した。
ネビルは言葉が浮かばずそのまま見送っていたが、
小さく、歩みの遅い彼女の背中を十秒も見ているうちに歩き出していた。
「……どうしてそんなこと言うの?」
ネビルは歩幅の関係でなんら急ぐこともなく追い付いてきた。
足音に気付いていたヒサキは、既に用意していた言葉を単調に吐き出した。
「恩を売る気はなかったから。薬出来てどうせ時間が余るならって感じ」
「でも、君は最後まで残っちゃったじゃないか」
「それは別件。君が気にするようなことじゃない」
「……」
少しだけ落ち込んだ空気。
感知したヒサキはそれが嫌で、今更態度を改めた。
「でも合いに来てくれて嬉しい。
君もハリーもロンもハーマイオニーも、みんなグリフィンドールに行っちゃって、もう話しかけてくれないのかなって寂しかったから、ありがとう。
そうだね、どうせって言うよりも、寂しかったから名乗り出たの」
「スリザリンだもんね…」
「んん。そのままハッフルパフって言ってくれればよかったのに
おかげでお部屋で肩身が狭い」
「僕も、本当はハッフルパフに行きたかったけど……嫌だって言ったのに、結局…帽子は僕をグリフィンドールに入れたんだ」
「私は突然質問された。
ハッフルパフとスリザリン、どっちがいい?って。一度言いかけた帽子くんの面子もあるしってハッフルパフがいいっつったら次の瞬間スリザリンって叫ばれてた
意味わからんよね」
「それ、本当?
僕は口論くらいできたけど、そんな余地すらなかったんだね」
「うん。驚いたよ」
歩きながら大広間へ続く道をそれたところでネビルは足を止めた。
「あの、大広間はそっちじゃないよ」
「うん。ふくろう小屋に向かっているからね」
「ふくろう小屋に?」
「うん。……あ、そうだ。君さえよければ、ふくろうの送りかたを教えて欲しいんだけど、いいかな?」
「え?」
ネビルは刮目した。
ふくろうの送り方など魔法界では常識中の常識。
そんなことを聞くのは、マグル生まれか、知っていながらあえて聞いておちょくってくる生徒だけだ。
ヒサキは「うーん」と困ったように笑い、自分の首元を触って頭を傾けた。
「別にダメならいいよ。一人でもなんとかなると思ってたし、ふくろう小屋まで距離あるし、だるいもんねえ」
「ダメじゃないけど……ランチは?」
「いや別に。いつも食べないし……
あ、別にいいよいいよ。なるようになるだろうし、お腹すいてるなら満たすのが一番だよ」
「本当に食べないの?」
「食べないの。」
だから大きくならないんじゃないの?
という心の声が聞こえてきたが、ヒサキは特に気にしなかった。
「どうしてふくろうの送り方なんて聞くの?」
「ああ、それはね。私、ずっとマグル界で生きてたからだよ」
「そうだったの?!なら、つまり、君は…!」
「うん」
「それなのにスリザリンなんて…」
「うん。だから、今の秘密ね。
誤魔化しながらなんとか切り抜けてるって感じ」
「……大変なんだね」
「その言葉だけで充分救われたよ。ありがとう」
その後ネビルは、ふくろうの送り方を口頭で伝え、ヒサキと別れた。
ヒサキもランチを優先したほうがいいと快く送り出したのだった。
§
ヒサキはふくろう小屋で適当なふくろうを見繕ってハグリッドの元へ飛ばした。
それからそのままヒサキはふくろう小屋のふくろうを愛でていた。
ハグリッドのもとへ送り出したふくろうが帰ってきても、まだ居た。
小屋から出るときにスコージファイすればいいからと臭いについても全く気にしなかった。