□7 生活開始
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金曜日の朝。
朝食を取らず、ヒサキは目標通り短時間でおできを治す薬を完成させ、復習していた。
この手順ならば通常、角ナメクジを茹でてる最中のタイミングで完成できる。
さて。クラッブかゴイルと組もう。
そうすれば大きな身体が大鍋への目かくしになるし、やりたいと言えば全部やらせてくれそうだ。
全ては仲直くするためのとっかかりを作るため!と、ヒサキは今日の授業の展開をうっそりと思い出した。
初日から訪れていた必要の部屋には、薬の材料が山ほどあって、大釜も参考書も無数にあった。
大きな黒板がそびえていて、そこには、教科書の方法よりもずっと早く完成させる手順と解説が書かれていた。
例えば、干しイラクサはそう使うなら直前に揉んでおいた方が効率いいとか、粉にした蛇の牙を入れるとしか書いてないけど、どのようにして入れるとよりよいかとか。
例えば、角ナメクジにナイフで縦に切れ込みを入れ、茹で上がる前にあらかじめ粉末にまですりつぶしたヤマアラシの針を反時計回りに振り入れて三秒待ったら火からおろすとか。
(黒板の手順見ておどろき。沸騰させず、粉にすれば火にかけた状態でいれてもよかったんやなって。ヤマアラシの針)
ヒサキはポキッとヤマアラシの針を真っ二つに折った。
特に意味はなかった。
初日以降、ヒサキがグリフィンドールのテーブルを訪ねることはなかった。
また、水曜日以降は夕食以外に大広間を訪れることもなかった。
早朝と昼休みと放課後は必要の部屋に通っていたからということもあったが、ヒサキは元々、朝食や昼食を食べない生活をしていたためだった。
そのぶん夕食においては今のところ必ず出席していた。
生活習慣的には元に戻った。
顔色はあまり良くなかったが、それがヒサキにとっては最も心地の良い体調だった。
先客がいない限りは初日に座った席がいつもの席になった。
授業の時間が近づくとヒサキはいつものように自分に掃除呪文をかけて、ローブや髪などに染み付いた薬のにおいや、飛び散った薬品を取り去った。
そして目くらまし呪文を自分にかけて8階をあとにした。
ヒサキは物陰で目くらまし呪文を解き、何食わぬ顔で一階の廊下に出た。
そして地下牢の教室へ向かうらしいスリザリンやグリフィンドールの生徒の波を見つけたので、そこへさりげなく加わった。
ピーブズや変な罠が来ても比較的安全でいたいため、歩みを調整して、最後尾ではない、やや後尾辺りへとやって来た。
少し歩いたところで、ヒサキは肩口を何か細いものでつつかれた感覚がした。
振り返れば、ほっそりとした、あの男子生徒と目があった。
ノットだ。
最初の授業で出席を取ったときに名前を聞いてたまげたのは記憶に新しい。
あの一匹狼ノットと分かれば楽しくなって、ものは試しにその日の翌日も早朝に起きてみれば、やはりぼっちで居た。
早朝独特の清浄でしんとした空気、ちらちら揺れる緑色の光、冷気を感じそうなほどに冷たい大理石に囲まれた談話室で、一人で本を読んでいた。
確認したところ、毎朝4:00~4:30の間には完璧な身支度で談話室にやってきている。朝はっや。
また、ルームメイトにそれとなく聞いたところ、談話室に人が増えると場所を移しているようだった。
それから朝食の時間に、初日と同じ席でトーストとキッパーを一切れずつ摂っていたら、ノットもまた初日と同じ斜め向かいに座ってきた。
そのとき彼の皿には一切れのトーストと二枚のベーコンが乗っていたので、ヒサキは勝手に嬉しくなった。
(なお、キッパーはわりと好きな味であった)
さて。
そんなセオドール・ノットは、茶色の髪を揺らしながら歩幅を会わせ、その横に並んだ。
ヒサキが困惑の瞬きをしていれば、彼のほっそりとした腕が気だるげに手紙を差し出してきた。
ほぼ無意識にヒサキがそれを受け取ったのを確認すると、ノットは自らの歩幅に戻り、ヒサキから離れていった。
(え?なに?)
ヒサキは疑問符とともに封筒の表裏を改めた。
署名が見当たらない。
丁度前方でピーブズが出たらしく生徒らの足が止まったため、時間潰しもかねてヒサキは手紙を開封した。