□7 生活開始
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朝食の時間になり、ヒサキは余裕を持って大広間へとやってきた。
生徒たちの話し声や食事の音などは、こもって反響していることから室内であるということがよくわかる。
しかし、高い天井を見上げる。
その日の天気を映す魔法が掛けられているせいで、室内だというのにまるで中庭のようだった。
通行の邪魔にならない端の方に移動しつつも、食い違う視覚情報と聴覚状況にすこし脳が混乱したのか、思考が白く濁ったりしていた。
スリザリンのテーブルは一番右、グリフィンドールは一番左。
ハリー達は居るかどうか。
初日の朝に四階廊下の入り口でフィルチに捕まってクィレルに救われるって言ってたし遅れてくるか?
ヒサキが教員席へと視線を送れば、ダンブルドアと目が合った。
向こうの方から軽く手を振ってきたので、それに応じるようにヒサキは嬉しそうな顔で小刻みに素早く手を振った。
続いてスネイプとも目が合った。軽く会釈をすればシカトされてうける。
クィレルの席は空いていた。
それを確認したヒサキは、自寮スリザリンのテーブルへと向かうことにした。
テーブルの上には、パン、コーンフレーク、オートミール、卵料理、かぼちゃジュース、オレンジジュース、ベーコン、キッパー。
取り皿を取り、パン一切れとベーコン二切れだけを取って壁側の隅っこ……は、少し目立つのでハッフルパフ側の、手前隅より二~三人分ほど奥まった場所に腰を降ろした。
入口の様子を気にしつつ、すぐ席を立てるように半分ほどは急いで食べ、もう半分はハリーとロンとクィレルが来るまでゆっくり味わって食べることにした。
ふと、
向かい斜めに人が座ったので反射でチラと様子を伺った。
今朝談話室のソファに居たほっそりとした男子生徒だった。
目が合う前にヒサキは目を逸らし、自分のパンを見つめてちぎった。
視線を落とす際に、男子生徒の皿が見えた。
トーストとキッパーが一切れずつ。
ヒサキは今度その組み合わせで食べようかなと、手元のパンを見ているふりをしながら男子生徒の食べ方を盗み見た。
しばらくすると、入口に目当ての人影がやってきた。
ヒサキは欠片ほどになっていたベーコンのせトーストを口に押し込み、ハンカチで口を拭った。
咀嚼する口を腕で隠しつつ席を立った。
空の皿は席を立った瞬間、地下へしみ込む様に消えた。
きっと厨房に返却されたんだなと思いつつ、三人の元へ向かった。
ハリーとロン、それとクィレル。
ヒサキが口の中のものを全て飲み込み終えた時には、グリフィンドールのテーブルに歩き出していた三人も、やってくるヒサキの姿に気が付いていた。
ただ、他の生徒たちが軒並み「あのハリー・ポッターが来た!」と、騒ぎ始めていた。
ヒサキは顔を隠すようにテーブル側から顔を逸らしつつ、片腕を上げてあいさつしていた。
「あ、ヒサキ」
「……」
ハリーとロンは歩みを止めたがクィレルは歩みを止めない。
「先生!おはようございます!」
ヒサキは朝の挨拶を、挙動不審に丸まった背に飛ばした。
するとその背はギクリと痙攣した。
「おは、おはよう、ご、ございます」
首だけ振り向いて一声だけ返すと、クィレルはそそくさと教員テーブルまで歩いていった。
それだけで満足したので、ヒサキは特にその背を呼び止めなかった。
「ハリーとロンもおはよう!」
そして二人に振り返って笑った。
挨拶を返したのはハリーだけだった。
二人とも、ヒサキの接し方に困ったようにしていた。
「特に用はなかったんだけどね!私がスリザリンになったときの顔が面白くてね!」
それに気付いたヒサキは、視線もあるしハリーに付きまとって困らせたなどといった噂が立ったら嫌だなと考え、わははー、と考えなしな笑顔で捲し立てた。
「ハリー糖蜜パイは食べた?甘いし香ばしいし素敵な味だったね!ていうかホグワーツの校内すごいね!複雑怪奇すぎて楽しすぎるね困ったね!それだけ!じゃあね!」
返事も聞かず、ヒサキはくるりと踵を返し、スキップするように弾む速足で出口に向かった。
二人がヒサキを呼び止めようとしたとき、窓からふくろうが雪崩れ込んできた。
それに驚き気を取られた二人がハッと気がついたときには、既にその姿は大広間のどこにも無かった。