□6 仕込み(今回から三人称視点です)
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翌朝。
ヒサキは慣れない寝床で部屋の誰よりも早く目が覚めた。
なので手早く身支度を済ませて談話室へと出た。
ショルダーバッグは相変わらずローブの中に斜めがけされていたが、ヒサキの右腕には何もくくりつけられていなかった。
早朝の談話室は一際冷たいのかと思ったが、そうでもなかった。
ヒサキの耳にパチンと薪の弾ける音が聞こえてきて、暖炉に火が入っているからかと納得した。
暖炉の火に照らされた中央部に目を向ければ、大きな黒革のソファが目に入った。
一人だけ座っていた。
人影を見つけたヒサキはとっさに息を殺した。
やましいことは何もなかったが、癖の様なものだった。
人影は、どうやら教科書を読んでいるようで、
見て取れるのは、茶色い髪と、ほっそりとした腕。
彼はヒサキの登場につま先を何度か動かしたようだったが、それだけで、まるで無関心というふうに顔は伏せたままだった。
ヒサキはその様子に少しの安堵を感じて細長く息を吐いた。
そしてソファの裏側、視界に入らない範囲まで回った。
騒々しく思われないよう、いつも以上に意識して足音を殺しつつ、ヒサキは談話室を観察した。
スリザリンの談話室。
大理石に囲まれた壮大な雰囲気の談話室、何とも言えない圧迫感がたまらなくヒサキの好みに合致していた。
湖の内部が覗ける大窓は、たまにマーマンや人魚、大イカなどの生物が通ることもあるというから、期待してずっと見ていたくなってしまわないよう、ヒサキはそこを見ないようにした。
合言葉は2週間おきに変わるため、都度掲示板に張り出される事を思い出し、ヒサキは掲示板に目を向けた。
緑色で統一されているランプは早朝のうちから既に灯っていて、そのおかげで思ったより暗くもなく、掲示板の文字も難なく読み取れた。
そこに張り出されていたパスワードを確認したヒサキは、頭の中でそれを復唱しつつ、ルーズリーフとシャーペンを取り出して書き込んだ。
しばらくして外に出ようか階段に片足を乗せたところで、男子寮へつながる扉が開いた音がしてヒサキは動きを止めた。
誰かが出てきたのか、足音も聞こえてきた。
しんとした談話室内でその音はやけに響いた。
ヒサキは自分が出てきた時もこんな音を出したのだろうかと――ソファに座る男子生徒のつま先が動かされたのは耳障りの合図だったのかなと――恥ずかしくなった。
「早いな。
一年生か? 二人とも?」
背中に届いた声と足音は力強かった。
振り返れば、体格の良いスリザリンの男子生徒がヒサキとソファーに座る生徒を交互に見ていた。
黒い髪に灰色の目、浅黒い肌。
背が高く、程よく筋肉質で、大きな歯が印象的。
ヒサキはピンときた。
「一年生です。おはようございます!」
階段から足を降ろし、いつもの、嬉しそうな笑顔を貼り付けて振り返った。
そして挨拶と共に深くお辞儀をした。
「……ああ。お前か」
マーカス・フリントは丁度良かったと言って意識を完全にヒサキの方へと向けた。
「どうなんだ?」
「どう、とは」
「ハッフ……スリザリン!」
どうやら、組分けでのことを覚えていたらしかった。
「あの帽子と話ができる事は知っているが。なんと言ってスリザリンにしがみついた?」
「質問に答えただけです。残念ながら、面白いことは何もないです」
「ほう」