■ヒビキ
□ドリーム設定
主人公□情報
名「オニゴエ ヒビキ」
体「黒髪黒目。血色の悪い真っ白な肌。かなりの細身。身体虚弱」
装「伏し目癖が付いている。ハーフリムタイプの四角眼鏡。背中に届く髪を七三分けにして後ろで束ねている」
□設定
転生トリップ者。前世は三次元
□名前変換
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10月に入った頃、最初の金曜日。
涯……無断欠席!
少なくとも9月後半からは毎日出席していたが……今日になって再び無断欠席!
通常であれば、プリントや宿題など、誰も届けることなく、涯の机に置きっぱなし…!
だがしかし、今回は違った!
というかヒビキが動いた!
帰りの号令が終わってすぐにヒビキは担任の元へ向かい、掛け合った!
多少心配されたが、難なくOK!
「(ヤッタァァァァァアアアアアーーーーー☝ ՞ਊ ՞)☝!!!!)」
勝ち取る……!欠席した涯へ、諸々を届ける役……その許可……!
そして聞き出す……!住所……!
「簡単な地図まで書いてくださって…助かります、本当にありがとうございます、先生」
「いや。こちらこそ助かる……誰もやりたがらなくてな」
「いえいえ。それじゃあ、先生さようならー!」
「ああ、さようなら。くれぐれも気をつけてな!」
ヒビキ、今にもスキップし出しそうなほどのゴキゲン下校!!
そして向かう……!涯の住居……!
「(神よ……!!あやばい興奮で変な汗出てきたヒッヒッフー)」
真顔の内心はバカ丸出しであった。
そんなバカが無駄にキリリッとした顔で歩くことしばらく……!
「(はあはあ……ここが……涯くんのハウスね……!って私が通院してる病院のすぐ近じゃんけ)」
到着!
見るからに古い、格安アパート!!
「(たぶん平田家から諸々むしれただろうし、安めの近場に普通に入居したってところかな……。卒業まで半年、中卒で働き出すまで出費は抑える意味でこの安めアパートチョイスかな……見る限り月2~3万の和式トイレって感じな)」
などと考察を広げながら、ヒビキは目当ての部屋番号へと歩き出した。
錆の目立つ、『入居者募集中』の看板が付いた階段を登って奥……!
対面する……!目当てのドア……!!
「(インターホンない?……ないな、うん……ッアーー……緊張する)」
数度の深呼吸ののちヒビキは、意を決して腕を上げた。
がっ……震える……手!
「(ぐっ……!)」
緊張……!
緊張っ……!!緊張っ……!!!
先ほどまであれだけバカ丸出しだったにもかかわらず……!!
ヒビキ、動けないっ……!!
「……ん?涯の知り合いか?」
「ふワッ!?」
突然横からかかる声!
ビビったヒビキは思わず奇声と共に跳び上がった!
「おぅ…お…っああ!あっはい!同級生の鬼越響と申します!よろしくお願いします!(アイエエエ!池田さん!?池田さんナンデ?!)」
とっさにヒビキは頭を下げた!
何故ならそこに居たのは、涯の身元引受人こと池田!
望外!!まさか遭遇するとは思わなかった人物!
「ふーん……それでその鬼越さんが涯に何の用だ?」
「あ、はい。プリント宿題諸々届けに来ました。今日欠席されていたので」
「ああそう……なら、出直しだな」
「出直し?」
「涯ならしばらく帰って来ねえよ」
「しばらく」
池田の言葉を、ヒビキはぱちくりと復唱した。
「今日はもうってことですか?」
「いや……夜中にゃ帰ってくるだろうが、それまで待てんだろ」
「んー…連絡すればワンチャン……。工藤くんはどういったご用事で?」
「……あんた、涯の彼女か?」
「ではないですね。フラれたので」
「フラれた?」
「告ってフラれました。工藤くんに」
「……そりゃ、驚いた……!」
池田はまさかの返答に、サングラス下の目を見開いた。
食い下がられるのが面倒で、嫌がられそうな言葉を放ったはずが、まさかまさかだった。
「冗談のつもりだったんだがな……あんたみたいなのが涯に惚れたりするもんなのか?」
いかにも真面目そうな七三分けに眼鏡、真っ白な肌、か細い手足……。
確かにヒビキは、一見すると何もかもが涯とは真逆と言えるいでたちだった。
「するんですねこれが」
へらっとヒビキは笑った。
「(っと、あぶね。私はまだ池田さん知らないんだった)ところで、すみません、今更ですがどちら様でしょうか。工藤くんとのご関係お聞きしても……?」
「ああ、保護者だよ」
「なるほど。それで、工藤くんはどちらに?もしくは何時ごろ帰ってくるとか分かりますかね……?」
「……知ってどうする……?」
「ん?そうですね、行けたら行こうかなと」
「(……)ふーん」
「はい」
「じゃ……まあ……来るか?」
「はい?」
「ちょっと待ってな」
そう言うと池田は合鍵を使って涯の部屋に入ると、分厚い封筒を持って出てきた。
「(……オッ??????)」
そのまま鍵を閉め、池田はその封筒をヒビキに持たせた。
「そいつを鞄に仕舞ったら、ついて来な」
「アッハイ」
ヒビキはささっと鞄に封筒を仕舞った。
そしてすでに歩き出している池田の背中を追っかけた。