■ヒビキ
□ドリーム設定
主人公□情報
名「オニゴエ ヒビキ」
体「黒髪黒目。血色の悪い真っ白な肌。かなりの細身。身体虚弱」
装「伏し目癖が付いている。ハーフリムタイプの四角眼鏡。背中に届く髪を七三分けにして後ろで束ねている」
□設定
転生トリップ者。前世は三次元
□名前変換
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一方、トコトコと教室の手前まで戻ってきたヒビキは、足を止めた。
「嘘ウソ……!マジ……信じられない!」
「一目惚れって……ウソだろ……~~~!?」
「告白って……」
「しかもフラれた……?!」
「にしたって早すぎだろ……!タイムアタックかっ……!?」
なんてことはない……!
お祭り騒ぎ……!
教室は、ヒビキをつけていたクラスメートが持ち帰った情報でもうお祭り騒ぎだった……!
「(……)」
そして目の前には、入るタイミングを逃したような顔で立つ……おそらく次の科目の教師……!
実に気まずそうな表情である。
10分休みの終了までまだ数分あるが、教師は教師で前もって準備もするだろう。
このまま立ち尽くして授業を遅らせるわけにもいかず、となれば反省に逃げず即行動、腹を決めるほかない。
ヒビキはとりあえず教師には笑顔で会釈をし、そして堂々と教室に入った。
「……あっ!」
「しっ!戻ってきた……!」
「……」
「(……)」
案の定、教室内は水を打ったように静まった。
しーん…と。
クラス中の注目を集めつつも、自席に歩けば、ササッと道を開けられた。
「……」
未だヒビキの席周りに居た女子たちも同様にスーッと散っていった。
「(あー……ヒエラルキー最下コースかなぁこれは……。ま……それはそれで良し。なっちまったもんはしょうがない)」
ヒビキはとりあえず目が合う生徒には笑顔を振りまきながら、次の授業の準備を始めたのだった。
少し間を開けて、教師も教室に入ってきた。
「(ああそれにしても神よありがとう……!涯くんが涯くんだった……!というか……涯くんと会話してしまった……!涯くんが私めに言葉を発し……オォッ……幸せで胸がいっぱい……破裂する……!)」
そのままクラスの沈黙は続き……気が付けば10分休み終了のチャイムが鳴り響いていた。
「あー、その前に鬼越は今日が初だったな」
「あ、はい。鬼越響と申します。よろしくお願いします(おや、涯くんフけとる)」
そして授業開始前に教師に声を掛けられたところで、我に返ったのだった。
そして授業が終わり……。
その後、涯が戻ってきた際も、ヒビキの時と同じような視線と沈黙が起きたり。
ヒビキはヒビキでこの日、授業以外で話しかけられることもなく……。
そしてヒビキも特段、涯に話しかけることはなく。
その日は終わった。
特に気にするでもなくヒビキは帰路へ着いた。
そして帰宅時、家族に頭を下げ、適当な美容院で散髪……!
余談だが、急なヒビキの人格変化に、家族にはこれ以上なくビビられた。
それについてヒビキは『好きな人ができたから』でゴリ押した。
翌日、そこそこの長さになった髪を後で縛り、前髪は七三分けという優等生ルックでヒビキ……登校!
が、この日も、必要事項伝達以外にクラスメートとの会話はなかった。
しかし、一週間も経てば、状況は軟化した。
そもそも、話しかければ常に愛想の良いヒビキ。
授業の一環などでクラスメートと最低限のやり取りをするうちに、世間話もだんだんと増えて、それなりに打ち解けた……!
特定の友人はできなかったが、居合わせたり話したりする分には笑って世間話に花を咲かせるくらいで気まずくなることもなく。
涯との交流については、
毎朝ヒビキから挨拶を一言寄越す程度で、それ以外には特段、涯と話すこともなく。
それでも目に留まるといえば留まるが、噂や関心は移り変わるものは言ったもの……!
……気付けば誰も気にしなくなった。
そもそも不気味で何をしでかすかわからない…で通っている涯を、下手に茶化したりするなどクラスメートにできるはずもなかった。
それから、
休み時間の度に自主的に黒板を綺麗にして黒板消しクリーナーも掛け、
教師を見かける度に会釈と挨拶は欠かさず、
礼儀正しく従順かつ感謝の言葉が口癖で、
放課後も必ず担任に挨拶してから教室を出るなど、
そういった行いをごく自然に行うヒビキは、教師からの評価を順調にブチ上げていった。
病弱な彼女を気遣い容易い世話をすることで自尊心を満たすことが出来る……という要素もあったであろうが。
兎にも角にも。
9月が終わる頃には、ヒビキはすっかりそのクラスに存在を溶かしていた。
END.