■ヒビキ
□ドリーム設定
主人公□情報
名「オニゴエ ヒビキ」
体「黒髪黒目。血色の悪い真っ白な肌。かなりの細身。身体虚弱」
装「伏し目癖が付いている。ハーフリムタイプの四角眼鏡。背中に届く髪を七三分けにして後ろで束ねている」
□設定
転生トリップ者。前世は三次元
□名前変換
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「……もう大丈夫です、すみません」
呼吸を整えたヒビキはとりあえず、顔面にかかりまくっていた長すぎる前髪を後ろに流した。
それから背筋を伸ばし、数秒の深呼吸ののち、にっこりと朗らかな愛想笑いを浮かべた。
「お騒がせして申し訳ありませんでした。遅ればせながら……ご紹介に預かりました、鬼越響と申します」
「(ん……?)」
その様子に担任は内心、首を傾げた。
先ほどとは明らかに豹変……別人とも言える態度の好転に……!
彼女の元担任から受けた引き継ぎでは、まさに先ほどの彼女のような猫背のブツブツ声で不愛想な態度しかとらないと聞いていた。
それが、今、どうだ……?
「見ての通りよわっちくて!ハハハ……!体育とかもだいたい見学か途中で具合悪くしてゴートゥー保健室するかと思いますが、まあその分キッチリ苦しい思いしてますんで、ハハハ!仲良くしてくださると嬉しいです。」
たまに気さくな感じに崩れるがその年齢にしてはかなり丁寧な言葉遣い、伸びた背筋、ハキハキとした発音、聞き取りやすい声量、そして笑顔。
こんな様子のヒビキなど聞いたことがなかった。
「趣味は、漫画とかゲームとかインターネットとか……言ってて気づいたけどなんかオタクみたいだな……ハハ!とにかく室内で出来ること一通りですね!とりあえず、これから卒業まで、よろしくお願いいたします!」
随所でささやかに笑いをとりながら、最後にヒビキは、近年珍しい姿勢の伸びた正しいお辞儀をして自己紹介を終えた。
すかさずハッとして拍手を始めた担任につられるようにして、クラスの生徒も拍手をし始めた。
拍手の中、ゆっくり頭を上げたヒビキの耳には、
「思ったより面白そうな感じだな」「入ってきた時は緊張してたとか…?」
などと言う声が届いていた。
ヒビキが頭を上げて、ほどなくして拍手は鳴り止み、担任が口を開く。
「それじゃ席は、先日転校した平田が使ってた机がまだそのままだから……そこに座ってくれ」
「(平田転校したんか)あ、はい。あっ、先生!先ほどはすみませんでした!緊張していてだいぶ態度悪くなってたと思います……本当にすみませんでした……!」
「え……!?ああ、いや……大丈夫だ。緊張してたのならしょうがないしな……」
「ありがとうございます!(まあ、するか……あんなことあったし……転校くらいする……!)」
ニコッと嬉しそうに担任に媚びてから、ヒビキは担任が今しがた指差した席に座った。
やや中央寄りの列の、一番後ろの席だった。
つまり、窓際列の中ほどに座る涯を鑑賞できる席……!
「(やったぜ)」
ヒビキは笑顔を振りまきながら着席し、周囲の席のクラスメートに改めて挨拶した。
そこでしばらくは担任の話が続き、ホームルームは終わる。
そして入れ違うように授業の時間と、教科の担当教師がやってきた。
軽い自己紹介を求められたくらいで、特に支障なく授業は終わった。
訪れる休み時間…!
当然…集合……!
わい…わい…と!
好奇心旺盛なクラスメート!!
「(ぐっ……!)」
面倒極まりないがここでうまく捌かねばならない勝負の時!
ここで決まる!
ヒエラルキーの順位!!
「すごく肌白いよね、いいなー」
「あはは、ありがとう。でも貧血だからすぐぶっ倒れちゃうし……健康的な方が私は羨ましいなー」
「そうかなぁ…」
「ほら健康美ってやつ!そっちのほうがモテると思うよー」
「やだー鬼越さんったらー」
「ていうかほんとに髪長いよね!触っていい?」
「いいよー」
「いつから切ってないのー?」
「小3くらいかなー……!いつもはまとめてるんだけど、来るときに髪ゴム切れちゃって……」
「えー!不吉…!」
「ははは…まあそんな日もあるよ。あ、それでさ、転校していい機会だし、心機一転って感じで近々切ろうと思ってるんだけど」
「えーなんか勿体無ーい」
「あはは、ありがとう。でも流石に邪魔になってきたからさ……それで、もしよければ、おすすめの美容院とか……ある?」
「美容院かあ……おーい!りっちゃん!この辺の美容院詳しかったよね!」
「なになに?」
「イメチェンするの?」
「そういえば私もそろそろ髪型変えたいなって……」
「えー…いいじゃん…」
とにかくヒビキは、接触してきた女子たちにヘラヘラと、当たり障りない応対に徹していた。
わい…わい…きゃっ…きゃっ…と。
なんだか人が増え、全体的な声量も何故か上がり…脱線したり…それぞれで話したり…姦しくなってきた。
「(うるせえなぁ……)」
ニコニコ顔の裏でヒビキは内心、うんざりと頬杖を突いた、
むこうで脱線してくれたため、いっとき会話を振られなくなったヒビキだが……。
それでも女子たちの中心に座っているため、立ち去ることも次の授業の準備を始めるわけにもいかず……笑顔で女子たちの会話を見届けていた。
そのとき。
ガタッという音がヒビキの耳に届いた。
物音のした方は窓際……!
思わずヒビキはバッと勢い良く顔を向けた。
少し首を動かせば見えた……!女子の隙間越しに……!
自席から立ち上がったらしい涯……!