□2話・手中の一生を十にし百とする
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翌日になり、錺はそこではじめて、この屋敷の人間と顔を合わせることになった。
もちろん隠の女性付き添いのもと。
そこで話を聞いたり言葉を交わしたりするなかでいろいろなことが解ったり決まったりした。
まず、ここは、例の鬼が居た山のふもとにある村であるとか。
この屋敷は、藤の家紋を掲げている屋敷であることから始まり、当然ながら、錺はこの村の人間でないことの確認を受けた。
自然、どこから来たのか訊ねられた。
これに対し錺はこう答えることにしたいた。
「その件で、実は……一晩かけて思い出そうとしていたのですが、思い出せなくて」
「思い出せない……?」
当然聞き返されたことに、錺は視線を己の膝に置きながら答えた。
「……あの化け物と遭遇する以前の記憶が、ずっと曖昧なんです。身寄りを無くして旅をしていたことだけは覚えているのですが……きっとあまりの出来事だったから、記憶がどうにかなってしまったようで……」
記憶喪失を装うことにしたというわけだ。
それに対して、特に疑いは持たれなかった。
そのまま細々とした言葉を交わし、療養後もこの屋敷に住まい、使用人として働いてみないかと提案を受けた。
有難い提案ではあったが、これに錺は感謝の言葉を口に、首を横に振った。
ここが見知らぬ世界であるのなら、その言葉に甘えただろうが。
「(しかしここは鬼滅の世界なのだから)」
錺は、屋敷の主人に頭を下げた。
そして軋む身体や痛み突っ張る包帯をこらえ、隠の女性に向けて深々と三つ指をついた。
「どうか私にも、鬼退治を生業として生きさせてください」
そう、この世界は、恋しいキャラクターが現実となって生きる世界。
「(こうなった以上、何が何でもプリンセスに付き纏いに行く以外に選択肢などありはしないよね!)」
もちろん隠の女性付き添いのもと。
そこで話を聞いたり言葉を交わしたりするなかでいろいろなことが解ったり決まったりした。
まず、ここは、例の鬼が居た山のふもとにある村であるとか。
この屋敷は、藤の家紋を掲げている屋敷であることから始まり、当然ながら、錺はこの村の人間でないことの確認を受けた。
自然、どこから来たのか訊ねられた。
これに対し錺はこう答えることにしたいた。
「その件で、実は……一晩かけて思い出そうとしていたのですが、思い出せなくて」
「思い出せない……?」
当然聞き返されたことに、錺は視線を己の膝に置きながら答えた。
「……あの化け物と遭遇する以前の記憶が、ずっと曖昧なんです。身寄りを無くして旅をしていたことだけは覚えているのですが……きっとあまりの出来事だったから、記憶がどうにかなってしまったようで……」
記憶喪失を装うことにしたというわけだ。
それに対して、特に疑いは持たれなかった。
そのまま細々とした言葉を交わし、療養後もこの屋敷に住まい、使用人として働いてみないかと提案を受けた。
有難い提案ではあったが、これに錺は感謝の言葉を口に、首を横に振った。
ここが見知らぬ世界であるのなら、その言葉に甘えただろうが。
「(しかしここは鬼滅の世界なのだから)」
錺は、屋敷の主人に頭を下げた。
そして軋む身体や痛み突っ張る包帯をこらえ、隠の女性に向けて深々と三つ指をついた。
「どうか私にも、鬼退治を生業として生きさせてください」
そう、この世界は、恋しいキャラクターが現実となって生きる世界。
「(こうなった以上、何が何でもプリンセスに付き纏いに行く以外に選択肢などありはしないよね!)」