□カポネさんルート
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「そうだ、思いついた。スカーフェイス。スカーフェイスと言うのはどうだろう?片割れに因んでさ」
アハハッと彼女は指を立てて嗤った。
その侮辱に思わずカポネは、苦虫を噛んだような顔をしてラップランドを睨み上げた。
「なんだいその目。気に入らない?ならマベリックにするかい?」
「……」
「さあどうする?スカーフェイスか、マベリックか。ボクはどっちでも構わないけど」
「……」
屈辱感。握り拳に力が込もる。
スカーフェイスという、まるで皮肉のような、聞くたびにこの状況を思い出しそうな、ガンビーノの抜け殻をかぶせられたような。
侮辱するような名。
「さあ、早く選びなよ。ボクを待たせないで」
「……、――」
しかし、マベリックという名称は、ループスを中心としたシラクーザマフィアに属する者にとっては、それ以上に耐え難かった。
「――スカーフェイス」
泥を飲むような選択だった。
「選んだね。
君が選んだんだ。
そう名乗って、そう呼ばれること。いいね?そうする限りはまあ、数を動かさないでおいてあげるよ。
ボクってなんて寛大なんだろう!ねえドクター!」
ラップランドはころころと嗤って両手を広げた。
楽し気な様子に反して、銀の尾は揺れないまま。
「ああ、ラップランド。」
おそらくここが限界だろう。
アルゴスは諦めるように目を伏せ、誤魔化すように横髪を払って瞼を上げた。
「譲歩してくれて、踏みとどまってくれてありがとう。」
視界の中で歯噛みするカポネに、アルゴスは静かに近付いた。
「生きましょう。屈辱を呑んででも。あなたにその気があるのなら」
カポネはアルゴスを見上げた。
柔く差し出された指先が、乞うようにピンと伸ばされた。
「カポネさん。
せめてその命だけは、私が護ります」
真っ直ぐに差し込まれた言葉と意識に目をとられる。
カポネの主観として、彼女は美しかった。
見とれて、強張った顔と身体から自然と力が抜けていくのを感じた。
意識が奪われるように。
「……あんたは、とんでもない大物だったな、『ドクター』」
カポネは、溜息と共にその手を取った。