□カポネさんルート
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「あの、声…男の人になってない、けど…いいの?」
「心配してくれるのか?ありがとう。けど、今回だけはこれでいいんだ」
起こる出来事は、一週目と全く同じ。
暴走を始めた視界が、二度目の映像をアルゴスの脳裏に映す。
焦れる。
一週目ほどではないにしろ、やはり焦燥を携えながらアルゴスは進んだ。
入った細路地の先で、声が鳴る。
数を数える声が聞こえる。
立ち向かう弱者の音が聞こえる。
既に何度隙を見せ、攻撃を見逃してもらっているのか。
男たちは理解できているのだろうか。
即座に手を取り合い逃げていればいいのに。
アルゴスはすうと息を吸った。
「――ラップランド。」
暗い細路地に響かせた声は、はっきりとその場にかぶさった。
「この声は……!?」
いち早く反応し、手を止めたのはカポネだった。
「むっつ。
やあドクター。こんなところで奇遇だね」
続いて、接近に気付いていたのであろうラップランドが、ガンビーノの斬撃をかわしながら振り返った。
「戦闘中によそ見とはな!」
ガンビーノだけがその声を気にも留めずに猛攻は止まらない。
もっとも、全て避けるか受け流されてしまっている現状ではあるが。ゆえに頭に血が上り手元が雑になり、より当たらないのかもしれないが。
「ふざけやがって!」
それにはおそらく気付きたがらないのだろう。
「しかしドクター、見ての通りお楽しみ中なんだよね
ほら、サービスしてあとよっつ」
「数を止めろ、ラップランド」
「みっつ」
「近いうちにテキサスとの激しい共闘の場を用意する。止めてくれ」
「ふたつ、カウントストップ。
よくわからないな。ドクター、キミの考えが」
今度は間に合った。
一周目に食い付いてきた条件を提示すれば、カウントは止まった。
だからと言って、ガンビーノの攻撃は止まることはないのだが。
「おい、一度止まれ、下がれガンビーノ!」
それについては、アルゴスが出てから場の様子を窺っていたカポネが声を張り上げた。
「あ?何言ってやがる、まさに今がチャンスだろうが!」
ガンビーノはその言葉を聞かず、故にカポネは構えていたボウガンを容赦なく発射した。
「――ッ!?」
「だからその『生存のチャンス』を逃すわけにはいかねえんだよ」
背後から脚を打たれ、ガンビーノは崩れ落ちた。
それにラップランドが「へーえ」と嗤う。
即座にリロードを終えたカポネは、すでに構え直していた。
照準は再びガンビーノへと向いている。
「てめえ…!!」
「俺は下がれと言ったぞ、ガンビーノ。
指示を聞かねえ馬鹿は痛みで分からせてやる必要があると、お前から教わったんだぜ」
ガンビーノに睨み上げられたカポネは、動じることなく冷徹に吐き捨てた。
そして手元をそのままに、視線のみを上げた。
唐突に表れた、黒い上着とフードなどで顔を隠す人物。
一見男にも見える身長と体格だが、今しがたそこから放たれたのは女性の声。
カポネは恐怖と警戒で強張っていた上耳を振りながら、ゆっくりとボウガンを下ろした。
「あんたなんだろ。……アルゴスさん」
「まさか声だけで気付いていただけるとは。……カポネさん」
アルゴスはバイザーを上げた。
「声と、においだ」
「その二つも覚えていただけていたとは。
とっくに忘れ去られているものと思っていましたから」
「どういう意味だ?」
「私はおそらく、入荷不可能な商品であると断定され、とうに切り捨てられていたものと考えていたので」
「――」
カポネの目が見開かれる。
その喉が何かを発する前に、視界の端でラップランドが戯れにガンビーノを蹴り飛ばした。
「ぐうっ!」
「はは!とんだとんだ」
ガンビーノはカポネの立っていた地点より奥まで飛び、転がる。
アルゴスは視線を移した。
「何をしている、ラップランド」
「蹴ったんだよ。暇だったし、いつまでも剣を手放そうとしないんだから」
「数え終わるまで手は出さない遊びじゃなかったのか?」
「ああ!記憶に褪せることなく、変わらずボクの胸を突くその翡翠は!はたしていつから観測を始めていたというのか?」
「さあな」
対するカポネは、ラップランドの行動に怖じも驚きもしないアルゴスの姿を見て、自嘲した。
まるで冗談のようだ。彼女の口ぶりがはったりでないとするなら。
まさかと立てた憶測が、もしや真実なのかと。
そのような人物を、自分などが手に入れられると一瞬でも考えたおごかましさを。
「とびかかるなよ、ガンビーノ」
カポネはボウガンを片手に持ち、道をふさぐように伸ばして、背後で立ち上がるガンビーノを諫めた。
「何の真似だ」
「いいから傷口でもなめて抑えてろ。状況を見りゃ分かんだろ。」
「……あの偉ぶった男みてえな女がどうしたって?」
「黙れ。助かりてえなら大人しくしてろ。その人がまだ、俺の知り合いでいるのかどうか、見極めてからでも遅くはねえ」
ラップランドがくわ、と鋭い歯を見せるように、わざとらしくあくびをした。
「とんだ茶番だね、ドクター。ねえ、キミは、あんな奴知らないだろ?」
「私が何のためにお前に声をかけたと思っているんだ、ラップランド?」
アルゴスはフードを取って、腕を組んだ。
ゴージットで口元はなお隠れているが、鮮やかに濃い髪がさらされた。
「カポネさん」
呼ばれたカポネの尾が、一振り揺れた。
「心配してくれるのか?ありがとう。けど、今回だけはこれでいいんだ」
起こる出来事は、一週目と全く同じ。
暴走を始めた視界が、二度目の映像をアルゴスの脳裏に映す。
焦れる。
一週目ほどではないにしろ、やはり焦燥を携えながらアルゴスは進んだ。
入った細路地の先で、声が鳴る。
数を数える声が聞こえる。
立ち向かう弱者の音が聞こえる。
既に何度隙を見せ、攻撃を見逃してもらっているのか。
男たちは理解できているのだろうか。
即座に手を取り合い逃げていればいいのに。
アルゴスはすうと息を吸った。
「――ラップランド。」
暗い細路地に響かせた声は、はっきりとその場にかぶさった。
「この声は……!?」
いち早く反応し、手を止めたのはカポネだった。
「むっつ。
やあドクター。こんなところで奇遇だね」
続いて、接近に気付いていたのであろうラップランドが、ガンビーノの斬撃をかわしながら振り返った。
「戦闘中によそ見とはな!」
ガンビーノだけがその声を気にも留めずに猛攻は止まらない。
もっとも、全て避けるか受け流されてしまっている現状ではあるが。ゆえに頭に血が上り手元が雑になり、より当たらないのかもしれないが。
「ふざけやがって!」
それにはおそらく気付きたがらないのだろう。
「しかしドクター、見ての通りお楽しみ中なんだよね
ほら、サービスしてあとよっつ」
「数を止めろ、ラップランド」
「みっつ」
「近いうちにテキサスとの激しい共闘の場を用意する。止めてくれ」
「ふたつ、カウントストップ。
よくわからないな。ドクター、キミの考えが」
今度は間に合った。
一周目に食い付いてきた条件を提示すれば、カウントは止まった。
だからと言って、ガンビーノの攻撃は止まることはないのだが。
「おい、一度止まれ、下がれガンビーノ!」
それについては、アルゴスが出てから場の様子を窺っていたカポネが声を張り上げた。
「あ?何言ってやがる、まさに今がチャンスだろうが!」
ガンビーノはその言葉を聞かず、故にカポネは構えていたボウガンを容赦なく発射した。
「――ッ!?」
「だからその『生存のチャンス』を逃すわけにはいかねえんだよ」
背後から脚を打たれ、ガンビーノは崩れ落ちた。
それにラップランドが「へーえ」と嗤う。
即座にリロードを終えたカポネは、すでに構え直していた。
照準は再びガンビーノへと向いている。
「てめえ…!!」
「俺は下がれと言ったぞ、ガンビーノ。
指示を聞かねえ馬鹿は痛みで分からせてやる必要があると、お前から教わったんだぜ」
ガンビーノに睨み上げられたカポネは、動じることなく冷徹に吐き捨てた。
そして手元をそのままに、視線のみを上げた。
唐突に表れた、黒い上着とフードなどで顔を隠す人物。
一見男にも見える身長と体格だが、今しがたそこから放たれたのは女性の声。
カポネは恐怖と警戒で強張っていた上耳を振りながら、ゆっくりとボウガンを下ろした。
「あんたなんだろ。……アルゴスさん」
「まさか声だけで気付いていただけるとは。……カポネさん」
アルゴスはバイザーを上げた。
「声と、においだ」
「その二つも覚えていただけていたとは。
とっくに忘れ去られているものと思っていましたから」
「どういう意味だ?」
「私はおそらく、入荷不可能な商品であると断定され、とうに切り捨てられていたものと考えていたので」
「――」
カポネの目が見開かれる。
その喉が何かを発する前に、視界の端でラップランドが戯れにガンビーノを蹴り飛ばした。
「ぐうっ!」
「はは!とんだとんだ」
ガンビーノはカポネの立っていた地点より奥まで飛び、転がる。
アルゴスは視線を移した。
「何をしている、ラップランド」
「蹴ったんだよ。暇だったし、いつまでも剣を手放そうとしないんだから」
「数え終わるまで手は出さない遊びじゃなかったのか?」
「ああ!記憶に褪せることなく、変わらずボクの胸を突くその翡翠は!はたしていつから観測を始めていたというのか?」
「さあな」
対するカポネは、ラップランドの行動に怖じも驚きもしないアルゴスの姿を見て、自嘲した。
まるで冗談のようだ。彼女の口ぶりがはったりでないとするなら。
まさかと立てた憶測が、もしや真実なのかと。
そのような人物を、自分などが手に入れられると一瞬でも考えたおごかましさを。
「とびかかるなよ、ガンビーノ」
カポネはボウガンを片手に持ち、道をふさぐように伸ばして、背後で立ち上がるガンビーノを諫めた。
「何の真似だ」
「いいから傷口でもなめて抑えてろ。状況を見りゃ分かんだろ。」
「……あの偉ぶった男みてえな女がどうしたって?」
「黙れ。助かりてえなら大人しくしてろ。その人がまだ、俺の知り合いでいるのかどうか、見極めてからでも遅くはねえ」
ラップランドがくわ、と鋭い歯を見せるように、わざとらしくあくびをした。
「とんだ茶番だね、ドクター。ねえ、キミは、あんな奴知らないだろ?」
「私が何のためにお前に声をかけたと思っているんだ、ラップランド?」
アルゴスはフードを取って、腕を組んだ。
ゴージットで口元はなお隠れているが、鮮やかに濃い髪がさらされた。
「カポネさん」
呼ばれたカポネの尾が、一振り揺れた。