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【超ss闇鍋】
ぶつ切りワンシーン詰め
現在:2コ
□イフリータ
今回の戦闘は、間一髪だった。
肉薄する敵には流石にヒヤリとしたが、焦りから踏み外したおかげで、敵の攻撃を避けトドメの一撃を命中させることができた。
怪我もない。誰も、想定外の怪我はない。
「チッ」
イフリータは、作戦後の後始末指示を出すドクターをちらりと見た。
頑張ったし、あの時確かに怖かった。なのにあの白衣は何も言ってくれないのか。
「(それみろ。白衣の奴等はみんな同じだ。いや、最初から期待なんかしてなかったさ。うん)」
サイレンスはドクターを優しいと言ったのに。
少しだけ芽吹かせた期待を裏切られた気がして、それが惨めな気がして、認めたくなかった。
「伝達!間もなくロドスの送迎が到着する!それまで待機時間とする!」
変声機を介して男声となったドクターが声を張り上げた。
全ての通信機からもその声は聞こえ、場の空気が幾分か緩まった。
イフリータも、溜息と共にその場へ座り込んだ、その時だった。
アルゴスが堰を切ったように走り出し、護衛秘書の焦った声を上がるのは。
イフリータめがけて、早くもないのにどんくさく走っていた。
足音に気付いたイフリータが顔を上げた時には、既にアルゴスは彼女の前に膝をついていた。
「すまない…!」
「はァ?!なんだお前!」
彼女は祈るように震え、イフリータの手をきゅっと掴んで頭を垂れた。
「お前が、生きててよかった…!」などと言ってのけた彼女に、イフリータは困惑し、その手を振り払えないでいた。
「肝が冷えた。私の指示で、イフリータに大怪我をさせるところだった。本当にすまない…!」
「……もしかして、お、俺様の前に来たから消し炭にしてやった…あの術師のことか…?」
「そうだ。あの時イフリータが足を踏み外さなければ、きっと直撃していた。私の読みが悪かったせいだ。本当にすまない…!」
イフリータはついその時のイラつきを思い出し、罵倒しようとしたが。
俯いて震えるそれに、なんとなく、言葉が出てこなかった。
「ま…まあ、……反省してるようだし?結果としちゃ俺様は無傷だったわけだし。今回だけだからな」
「……ありがとう。イフリータ」
「だあっから!いい加減手を放せ!泣きそうにすんな!!俺様が悪いみたいじゃねえか!」
まだ認めたわけではない。
一応、裏切られては無かったから。だからチャンスをやる。ただそれだけ。
□スポット・ミッドナイト
勤務時間帯は解放されている執務室に、かしかしと特徴的な足音が届いた。
「ドクター」
「スポットか、A6の週報だな?」
「ああ」
アルゴスが顔を上げた先には、レプロバの青年が記録媒体を持って立っていた。
行動予備隊A6の重装オペレーター、感染者のスポットは、差し出されたアルゴスの手の上に媒体を置いた。
立て込んでいれば秘書が受け取るところだが、そうでもなければ直接言葉を交わすのをアルゴスは望んだ。
そのため、こういったやり取りは初めてでもないので慣れたものでもある。
なお本日の秘書は先ほど小休憩に立ったため席を外していた。
それはさておき、アルゴスは現行作業を一時中断し、端末に媒体を差し込んだ。
目に見える不足が無いか、中身をざっと確認したアルゴスは数分後スポットの方へと顔を上げた。
「問題ないか?」
聞いてきたスポットに、アルゴスは無言で画面を指差した。
媒体内部に明らかに見覚えのないテキストファイルを開いて見せれば、どう見てもそれはミッドナイトの前職を思わせる文章で、今夜アルゴスをバーへと誘う文言が記されていた。
スポットは思わず額を押さえた。
「隊長に言っとくか?」
「いや、いい。週報の内容にも問題はない。」
アルゴスは背もたれにギシと体重をかけながらスポットを見上げた。
「しかし、すまないが今夜は先約があるんだ。ミッドナイトには愛していると伝えておいてくれ」
「……は?」
「勿論、健全でプラトニックな愛だがな」
アルゴスは怪訝な顔をしているスポットから視線を外し、媒体の中身をローカルに移送しながら続けた。
「今朝、彼に気を使わせたんだ。遠回しだが優しい男だな」
「あいつが?どうだろうな。勘違いじゃないのか?」
スポットが吐いた言葉に対しアルゴスが不快感を持つことはなかった。
なぜなら彼を含むA6のメンバーは皆、ミッドナイトの本質を充分理解したうえで軽口を叩いている。
それぐらいとっくに分かっいたアルゴスはむしろ和みすらした。
「仲が良いことだな。……移送完了だ。ありがとう」
アルゴスはそう言って空になった媒体を端末から抜き取り、スポットに差し出した。
『仲が良い』との言葉を聞いて腑に落ちない顔をしたスポットは、媒体を受け取りつつ溜め息を吐いた。
「ドクターも、意外と茶番に乗るんだな」
「たまにな。とっつきどころが無かったり、堅苦しいままじゃ、息がつまるやつも居るだろう」
「そう思うなら少しぐらい笑ってみたらどうだ?」
「必要に駆られればな」
「安売りする気は無いって?」
「そんなつもりでは……いや、そうかもな」
「……まあ、安売りしすぎるよりはいいんじゃないか?誰かさんみたいに」
「そんなことないさ、彼はすごい。彼の強さを尊敬している。もし私が努力しても、きっと彼ほど愉快にはなれない」
「降参だ。悪かった。勘弁してくれ。あんたはこのままでいい」
両手を上げて見せたスポットの首元を見た
アルゴスは、何気なくそこへと手を差し入れて軽く梳き始めた。
「お前も大概だがな、優しく寛容なスポット。私はお前のことも尊敬している」
「仕事中に部下を口説こうとしないでくれるか」
スポットは、ふるるっと首を振った。
それに振り落とされるように、アルゴスの手が離れた。
「不快だったか?すまない、毛が絡まりかけていたものだから」
「ならそう言ってくれ。急に妙な所を触るもんだから、話の流れからしてミッドナイトの真似事かと思うだろ」
「悪かった」
「はぁ…もう行くからな」
「ああ、お疲れ様。次は午後の作戦で会おう。またな」
「……ああ。また」
□
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ぶつ切りワンシーン詰め
現在:2コ
□イフリータ
今回の戦闘は、間一髪だった。
肉薄する敵には流石にヒヤリとしたが、焦りから踏み外したおかげで、敵の攻撃を避けトドメの一撃を命中させることができた。
怪我もない。誰も、想定外の怪我はない。
「チッ」
イフリータは、作戦後の後始末指示を出すドクターをちらりと見た。
頑張ったし、あの時確かに怖かった。なのにあの白衣は何も言ってくれないのか。
「(それみろ。白衣の奴等はみんな同じだ。いや、最初から期待なんかしてなかったさ。うん)」
サイレンスはドクターを優しいと言ったのに。
少しだけ芽吹かせた期待を裏切られた気がして、それが惨めな気がして、認めたくなかった。
「伝達!間もなくロドスの送迎が到着する!それまで待機時間とする!」
変声機を介して男声となったドクターが声を張り上げた。
全ての通信機からもその声は聞こえ、場の空気が幾分か緩まった。
イフリータも、溜息と共にその場へ座り込んだ、その時だった。
アルゴスが堰を切ったように走り出し、護衛秘書の焦った声を上がるのは。
イフリータめがけて、早くもないのにどんくさく走っていた。
足音に気付いたイフリータが顔を上げた時には、既にアルゴスは彼女の前に膝をついていた。
「すまない…!」
「はァ?!なんだお前!」
彼女は祈るように震え、イフリータの手をきゅっと掴んで頭を垂れた。
「お前が、生きててよかった…!」などと言ってのけた彼女に、イフリータは困惑し、その手を振り払えないでいた。
「肝が冷えた。私の指示で、イフリータに大怪我をさせるところだった。本当にすまない…!」
「……もしかして、お、俺様の前に来たから消し炭にしてやった…あの術師のことか…?」
「そうだ。あの時イフリータが足を踏み外さなければ、きっと直撃していた。私の読みが悪かったせいだ。本当にすまない…!」
イフリータはついその時のイラつきを思い出し、罵倒しようとしたが。
俯いて震えるそれに、なんとなく、言葉が出てこなかった。
「ま…まあ、……反省してるようだし?結果としちゃ俺様は無傷だったわけだし。今回だけだからな」
「……ありがとう。イフリータ」
「だあっから!いい加減手を放せ!泣きそうにすんな!!俺様が悪いみたいじゃねえか!」
まだ認めたわけではない。
一応、裏切られては無かったから。だからチャンスをやる。ただそれだけ。
□スポット・ミッドナイト
勤務時間帯は解放されている執務室に、かしかしと特徴的な足音が届いた。
「ドクター」
「スポットか、A6の週報だな?」
「ああ」
アルゴスが顔を上げた先には、レプロバの青年が記録媒体を持って立っていた。
行動予備隊A6の重装オペレーター、感染者のスポットは、差し出されたアルゴスの手の上に媒体を置いた。
立て込んでいれば秘書が受け取るところだが、そうでもなければ直接言葉を交わすのをアルゴスは望んだ。
そのため、こういったやり取りは初めてでもないので慣れたものでもある。
なお本日の秘書は先ほど小休憩に立ったため席を外していた。
それはさておき、アルゴスは現行作業を一時中断し、端末に媒体を差し込んだ。
目に見える不足が無いか、中身をざっと確認したアルゴスは数分後スポットの方へと顔を上げた。
「問題ないか?」
聞いてきたスポットに、アルゴスは無言で画面を指差した。
媒体内部に明らかに見覚えのないテキストファイルを開いて見せれば、どう見てもそれはミッドナイトの前職を思わせる文章で、今夜アルゴスをバーへと誘う文言が記されていた。
スポットは思わず額を押さえた。
「隊長に言っとくか?」
「いや、いい。週報の内容にも問題はない。」
アルゴスは背もたれにギシと体重をかけながらスポットを見上げた。
「しかし、すまないが今夜は先約があるんだ。ミッドナイトには愛していると伝えておいてくれ」
「……は?」
「勿論、健全でプラトニックな愛だがな」
アルゴスは怪訝な顔をしているスポットから視線を外し、媒体の中身をローカルに移送しながら続けた。
「今朝、彼に気を使わせたんだ。遠回しだが優しい男だな」
「あいつが?どうだろうな。勘違いじゃないのか?」
スポットが吐いた言葉に対しアルゴスが不快感を持つことはなかった。
なぜなら彼を含むA6のメンバーは皆、ミッドナイトの本質を充分理解したうえで軽口を叩いている。
それぐらいとっくに分かっいたアルゴスはむしろ和みすらした。
「仲が良いことだな。……移送完了だ。ありがとう」
アルゴスはそう言って空になった媒体を端末から抜き取り、スポットに差し出した。
『仲が良い』との言葉を聞いて腑に落ちない顔をしたスポットは、媒体を受け取りつつ溜め息を吐いた。
「ドクターも、意外と茶番に乗るんだな」
「たまにな。とっつきどころが無かったり、堅苦しいままじゃ、息がつまるやつも居るだろう」
「そう思うなら少しぐらい笑ってみたらどうだ?」
「必要に駆られればな」
「安売りする気は無いって?」
「そんなつもりでは……いや、そうかもな」
「……まあ、安売りしすぎるよりはいいんじゃないか?誰かさんみたいに」
「そんなことないさ、彼はすごい。彼の強さを尊敬している。もし私が努力しても、きっと彼ほど愉快にはなれない」
「降参だ。悪かった。勘弁してくれ。あんたはこのままでいい」
両手を上げて見せたスポットの首元を見た
アルゴスは、何気なくそこへと手を差し入れて軽く梳き始めた。
「お前も大概だがな、優しく寛容なスポット。私はお前のことも尊敬している」
「仕事中に部下を口説こうとしないでくれるか」
スポットは、ふるるっと首を振った。
それに振り落とされるように、アルゴスの手が離れた。
「不快だったか?すまない、毛が絡まりかけていたものだから」
「ならそう言ってくれ。急に妙な所を触るもんだから、話の流れからしてミッドナイトの真似事かと思うだろ」
「悪かった」
「はぁ…もう行くからな」
「ああ、お疲れ様。次は午後の作戦で会おう。またな」
「……ああ。また」
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