□ わかれる
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主人公
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話はまとまり、留守番する拠点を移すことになった。
月が高いうちに訪れたのは、
より日光の入りが少ない廃工場。
綺麗な川も近い。
これからしばらくここで暮らす。
が、町には度々訪れる必要があるだろう。
ぶっちゃけ、私は免疫力が弱い。
例えば水。
日本の安全な水道で育った私が生水なんて口にした日には、腹壊して発熱し寝込むことくらい容易に想像がつく。
川の水は蒸留してから飲むか、町から飲料水を盗ってくるかの二択だ。
そんな打ち合わせをしつつ、廃工場の内装を見て回る。
掃除する必要はあるだろうが、拠点としては悪くないだろう。
モーゼスたちは日が出る前に発つという。
急ぎたい気持ちはわかるし、惜しんだりはしない。
腕のかさぶたを剥がし、出来る限りの血をイレーヌに与えた。
歯を立てられ、ぐらつき、身体が寒さを訴えながらも、今度は気を失わずに済んだが。
「ありがとう…ハゼ」
「気にしないでイレーヌ。頑張ってね…っと、」
「あっ」
傷口を押さえながらへたり込みかけたところ、そのままイレーヌが支えてくれた。
白い細腕にとてもしっかり支えられた。元気そうでよかった。
「大丈夫?」
「はい。支えてくれてありがとうイレーヌ」
「うん…」
イレーヌの腕の中でゆっくりと体勢を立て直せば、彼女の手がゆっくりと離れていった。
「それでは行こう。
皆、また」
「すぐ戻ってくるからね!それまで元気でね!」
「またな」
「待ってて」
「俺達の希望を頼んだぞ」
モーゼスの言葉を皮切りに、
次々とメンバーが夜闇へと消えていった。
その中で最後に、
「じゃあな、ハゼ」
「え、あ、はい。グドリフ。
待ってますので、よろしくお願いします、」
「おう」
グドリフだけが私に話しかけて、頭に触れてから行った。
うおぉ、びっくりした。
「俺達も動くぞ」
カルマンが言う。
ギーのみがその言葉に頷いた。
そう、これからカルマンとギーが町へ行く。
私の食料品などを盗ってくるためだ。
裕福そうな大人を狙うよう言付けてから見送った。
残る私とディスマスとゲスタス、ヤーンは廃工場の間取り確認。
よさそうな部屋があれば掃除がてら日光が入りそうな窓や亀裂がないかを把握しにかかった。
ていうか夜の廃工場クッソ怖い。
何が落ちてるのかもわかんないし私は夜目が利かない。
加えて血が足りないから歩くのそこそこしんどい。
ヤーンに腕を貸してもらって歩いている。
探索中に地下への入り口を見つけた。
階段を下れば、すっかり月の光も入らない。
壁のような黒一色。
にも拘らず三人は当然のように進んでいこうとするから怖すぎて頭おかしなるわ。
「待って待って待って」
とりあえずヤーンの腕をがっちり掴んで引き留めた。
疑問符を浮かべながらも足を止めてくれたので安堵の息が湧いても良いよね……?
「どうした?」
「明かりがないとなにも見えないんですよ。転んだり怪我すると思うと不安なんですよ」
「……しかし光が届かないからこそ、安全だ」
「分かってますよ。分かってますから、進むならせめて持ち上げてってください」
「なにを?」
「自分を。
歩くのも結構辛いですし」
「……」
ヤーンは少し考えるように沈黙した。
「なら二人はここに留まって居ればいい」
それをすぐに破ったのはゲスタスだった。
「ここから先は俺とディスマスが見てくる。
ヤーンはハゼの傍で待っていろ」
「かなり弱っていることは足音でわかる。
嫌がるなら下手に動かさないほうがいい」
「…………」
「ありがとうございます。ゲスタス、ディスマス。」
お言葉に甘えることにした。