55 唇が乾いてたら水分補給しようね
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上着をはたいている間、ザクロは受話器を取っていた。
「桔梗、カルミアの番変えろ。この女オレには無理だ」
内線か
「おい。変われだとよ」
「え、はい」
上着を持ったまま受話器を受け取った。
耳を当てて一言発せば、桔梗の澄んだ声が聞こえてきた。
「今度はいったい何をしでかしたんですかあなたは」
「すんません」
普通に怒られた。
「大人しくしろと言いませんでしたか?」
「言いました。はいって言いました。」
「それで?今なにが起こったのですか?」
「なにがあったかですか。
……ザクロがプッツンしました」
「原因は?」
「私の戯れ言です」
「ぶん殴るぞ」
「すんません」
桔梗さん口調口調。
お怒り。
大口開けて笑いたくなってきた。
「ぃひっ…ねえ桔梗様。桔梗様も神様は素晴らしいとお思いでしょう?」
「…は?」
ここからは言い訳と茶番だ。
ザクロをどう怒らせたのか説明せねばな。
「人が神を称えるのは欲望からだ。
神とはなんだ、全知全能?少なくとも自分よりは優れているものだろう。そんなの憎むべき対象でしかないじゃないか。
妬み、羨むべき対象だ。なのになぜ人は神の前で媚びるように手を組み、祈るのか。」
「突然何を、」
「そも、傲慢に他ならない。祈るからなんだ、見返りが欲しいんだろう、授かりたいんだろう、否、授かれると確信しているのだ。
無料で。手ぶらで。捧げるはただの個人的な時間だけ。そんな時間他人にはなーーんの益にもなりゃしない。いやいや、神のため骨を砕く者も居るだろうが、まず捧げものをしたからなんだ。
人でもない存在に、愛だの見返りという人の常識を得られるという思考こそ理解不能だ。どいつもこいつも」
「……」
「つまり万人が肯定するからこそ、神様というのは慈悲深く、暇なのだ。
素晴らしい!素晴らしい!これを素晴らしいと呼ばずして何だ?」
「何がつまり、なのか。話の脈絡がつかめないのですが」
「分からないか!千人が神を悪逆非道と言おうとも神は慈悲深くあらせられるのだ!!万人にとっては。
だがしかし、千人にとっては紛れもなく神とは冷徹でサディスティックなのさ。なんと!慈悲深くないではないか。
なぜかと思う?」
「全ては神の御心のままに。試練を課し成長を与え、見守り、愛し、磨かれた魂を救済する意義があるからでしょう」
「違うさ。
神様こそが人類の最高傑作であるという証なんだよ。自分で作ったんだ。自分にとって最も都合のいい神だからこそ、心から心酔できるし、心から恨めるんだ。
マスターは言ったよ。この世で最も画期的な発明品は何か。
それは神だと!それは信仰だと!!」
「マスター?」
「今は亡き我が製作者、アルコバレーノのヴェルデだよ」
「なるほど。
…それで?無神論を解きたかったのですか?」
「まさか。主はいませり。
我らが子を否定する親など居るものか」
「……神を、子と呼びますか」
「創造主は世界を作ったが、創造主を作ったのは誰だ?我々ではないか
であるならば、個々の抱く神とやらは個々が抱く個々の赤子であろう」
「その演説を路上でしてみたらいかがです?」
「消されるわ。世界は信仰に満ちている。神への侮辱は許されていない。
教団というのは手っ取り早い軍隊であり、信徒は兵隊、教えは洗脳と士気向上目的の茶番だと認めない狂信者が多すぎる」
「侮辱と認めているではないですか」
そりゃ怒らすのが目的ですから。
「客観視は苦手という自覚があるもので。つとめて意識しておりますよ」
外国人に神への侮辱は大体アタリだろう。
「なんてことを話してたらザクロ様に合わないと言われてしまいました」
「当たり前ですお莫迦さん」
「しょもん…(´・ω・`)もっと言って」
「は?マゾなんですか」
「マゾではないです」
「では聞き違いということにいたします」
「くフフフッ…
……ん?」
そういえばザクロ、何のリアクションもないが。
と振り返ればそこに彼の姿はなく
「どうしましたカルミア?」
「あー…」
もしやと視線を向けた先に、ビンゴ
「すんません。ザクロ寝ました」
「……」
ベッドの中でこちらに背を向けていた。
「……今から行きます」
「すみませんありがとうございます。ザクロの部屋の前で待ってます、よろしくお願いいたします」
「失礼します」
「失礼いたします」
カチャトンと。
ゆっくり受話器を置いた。
「悪くねえと思うぜ。その神とやらの解釈」
間髪入れず背中越しにザクロの声が届いてきた
まあ寝たふりかもなとは思ってたぞ
「そうですか?
…それは残念ですね。気が合わないようで」
「あ?」
「私、神様信じてますし」
「はー?」