33 戦え焼け空。三人称視点
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「それでは
大空および薄明戦のルールをそれぞれ説明いたします」
大空と薄明。
「まずは大空の説明からさせていただきます」
チェルベッロの二人による説明が始まった
「この大空戦も他の守護者同様
リングを完成させることが勝利条件の1つとなります」
「ただしフィールドは 学校全体」
「広ぇな」
「…………」
「広大なフィードでの戦いを観戦できるよう
観覧席と各所に小型カメラと大型ディスプレイ
そして薄明を除く守護者の皆様にはカメラ搭載型モニター付きリストバンドを用意しました」
「えっ」
「えっ俺らにはないの?!」
「大空と聞いて一般的にイメージされる映像は昼か夜であり
薄明の時刻を思い起こされることはそうありません。
薄明とは大空そのもの…本来、公にされることのない陰たる存在であり、人の目にとまらず活動する者
だからこそ、どこで何をしようがボスおよびどの守護者からも信頼されて当然の存在であるべきと考え、このような形とさせていただきました」
片方のチェルベッロが薄明の2人に説明している間、
もう一人のチェルベッロは他の守護者らにリストバンドを配り、装着等の説明をして回っていた。
受け取ったリストバンドに各々の反応を示す守護者らには、先日それぞれが戦ったフィールドへ赴くように指示が出されていた。
失格の言葉を振りかざされ、質問権も拒否権もなく、守護者らは指示に従わされた。
「薄明のお二方のフィールドはプールです
ご案内いたしますので、ついてきてください」
「あ、ちょっと待って」
久几はタイムのジェスチャーをして、バジルのもとまで走った。
「な、何用!」
身構えるバジルに、久几は肩にかけていた上着を脱いで差し出した
「は……?」
殺気のたぐいは全く感じられなかった。
「これを、渡して欲しい」
「なぜ、敵である拙者に……?」
疑惑の目を向けるバジルに久几は笑った。
「君が一番、信用できそうだから
大事なものだから汚したくないんだ」
「……、誰に渡せと言うのですか」
久几はバジルの耳元に素早く顔を寄せ、
「ディーノが連れてくる人に」
と呟きつつ、素早くバジルの手に上着を持たせて離れ、チェルベッロの元まで走った。
「待て火下咲」
だがリボーンがそれを止めた。
久几が無表情に振り向いた。
「大切な物と言ったな。
ヴァニタを勝たせなきゃこれを燃やすといったらどうする?」
「ご自由に。なくしたらなくしたで、どうもしないよ」
言い残して久几はヴァニタとチェルベッロの元へと戻った。
「それでは、ついてきてください」
「ベッラ?……上着を、バジルに?彼とは知り合いかい?」
「初対面。汚したくなかったから預かっててって押し付けてきた」
「ええ!初対面の敵に!?胆が座ってるなあ!ベッラ!」
片方のチェルベッロに導かれるまま、久几とヴァニタは肩を並べてプールの方角まで向かった。
「わァお!」
「うわぁ」
そこも、今までの例に漏れず、改造されていた。
プールを囲うフェンスは太い鋼鉄製となり、三重に重なっていた。
高さは五倍ほどになっていて、そのうえアーチ状の天井で塞がれていた。
つまり外からパッと見るだけでは、中の様子はうかがい知れないものであった。
出入口は一か所。
屈まなければ入れない小さな扉があった。
そこを潜り抜ければ、等間隔にフットライトが埋め込まれたプールサイドと、
透明な水で満たされた、なんてことのないプールがひとつあった。
「この戦場の名は、トワイライトコフィン」
「薄明の棺桶……?」
「沈めってか?」
「その通りです」
久几の言葉に頷くチェルベッロを横目に、一方のヴァニタはプールの中を覗き見た。
「…ああ、なるほどね」
プールには、底がなかった。
いや、あるにはあるのだろうが闇に覆われていて目視ができなかった。
上から差し込む光が無いにしても、相当な深さであることは明白であった。
ヴァニタの反応を気にして久几もプールを覗きこんだ。
改造された眼球が、プールの底面を捉えた。
「………30…、や、50m?」
「55mです。」
「わあ!ベッラ目ぇ良いんだね?!」
「それから忠告として
このプールを満たしているのは海水のため、飲用のおすすめはいたしません」
「ああ!つまり海に日が沈む、日が昇る……ってやつだ!
水泳は得意だよ!」
「黄昏なだけに沈めってか私」
「フィールドの確認を終えましたら
両者、こちらをお持ちください」
「ハーイ」
「あ、はい」
チェルベッロから薄明の両者に各々手渡されたのは、守護者用ハーフボンゴレリングだった。
ただし、天候の彫られるべきところにはなにも彫られていなかった。
「これは…?」
「こちらで用意した鉄製のレプリカです。
薄明戦ではそれを使い、他の守護者同様に戦ってもらいます」
「リングの完成で勝利と…。それだけ?」
「はい。勝利条件は。」
「勝利条件 は …?」
「他の守護者戦とは違い、薄明戦では、
勝利条件のほかに、敗北条件を設けさせていただきました」
「敗北条件…?」
「はい。
このプールの底への接触です。
髪の毛一本であろうと、底面に触れた時点で敗北条件を満たしたこととします。
その場合リングの完成に関係なく、対戦相手の勝利となります
接触の確認はセンサーがいたします」
「相手の髪の毛を石ころかなんかに括り付けて落とした場合は?」
「髪の毛の持ち主が敗北条件を満たした、ということになります」
「なるほど!」
「うわぁハンデですか私に対しての当てつけですか」
「敵陣へ潜入した際に落とした髪の毛一本が、ファミリーの壊滅を招いた…という話も御座います」
「まじすか」
「片方への悪意は皆無!安心して戦えってことだね!」
「はい。
それではバトル開始とともに私は退場いたしますが、
リング完成のさいは、リングに埋め込まれた装置が誰の手によって完成させられたかを識別し
我々の端末機に知らせを入れるのでその点はご安心を」
「ボンゴレリングと違ってそっちの手作りだからそういうのもできるんだね」
チェルベッロが出入口の前まで歩いた。
「それでは両者、それぞれリングを装着しプールの両端へついてください」
薄明二人は指示に従って、プールを挟んで向かい合った。
「それから大空戦との接触に関しましても許可いたします。
ただしルールの伝達は各々で行ってください」
「あれ?ここから出ても失格にはならないと?」
「大空戦の範囲である、観覧席を除いた学校敷地内を出なければ、失格にいたしません」
「了解」
「……」
チェルベッロは通信機を取り出し、何やら確認して顔を上げた。
「大空の争奪戦がすでに開始されましたので、質問は打ち切らせていただきます。
完全に監視の目を無くしますので、対戦中、いかなる質問にもお答えすることはできません」
「はあい」
「それでは……
薄明の対戦、および
大空のリング
火下咲久几 VS ヴァニタ・マルコニーア
勝負開始!!」