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あけすけ

「あー⋯⋯雲はいいよなぁ」

 任務のない、平和な日。
自宅で静かに過ごして一日を終わらせるつもりだったが、こんな日こそダラダラしていないで修行でもしてこいと朝から母ちゃんに追い出されてしまった。
 そう言われたところで、はいわかりましたと素直に修行をするような性格でないことは両親はもちろん、班員であり幼馴染の二人や担当上忍もよく知っているだろう。
 大体、二週間の任務を終わらせて一昨日帰ってきたばかりだ。昨日今日と休んでも罰は当たらないだろう。と、冒頭の台詞を公園のベンチに座り空を仰ぎながらひとりごちる。

「アンアン!」

「うおっ! なんだいった

 突然頭に降ってきた何かが視界を覆う。

「赤丸! 急にどうした⋯⋯って、このにおいはシカマルか?」

 頭に降ってきた何か──赤丸の飼い主であるキバがすぐにきたようだ。顔が隠れていても俺が誰かわかるのはさすが鼻の利く犬塚一族らしい。
 俺の顔から赤丸を引きはがすと開けた視界には申し訳ないと言わんばかりの表情でみている一人と一匹。

「わりぃ、赤丸が突然走り出したと思ったら、久しぶりにシカマルに会えて嬉しかったみたいで⋯⋯」
「クゥーン⋯⋯」

 普段はピンと張った耳や尻尾をわかりやすく下にたらす赤丸。その赤丸を抱きかかえたキバも、なぜだかないはずの耳と尻尾をたらしているようにみえる。それくらい落ち込んでいるのだろう。

「別に怒ってねーし、そんなに喜んでもらえたなら悪い気はしねぇよ」

 赤丸の頭を撫でてやると、これまたわかりやすく尻尾を振る一人と一匹。

「そっか! しっかし本当に久しぶりだな、今回はどんな任務だったんだ?」

 俺の隣に座ったキバと、ここ最近のお互いの任務からはじまり、アカデミー時代の話、挙句の果てには今日の夕飯はなんだろうかとか他愛のない話がはじまる。
 何時から話していたかは覚えていないが気がつけば日が沈む頃になっていた。

「やべぇ、もうこんな時間だ。明日も任務があるし、そろそろ帰るぞ赤丸! シカマル、話し付き合ってくれてありがとな!」

「あぁ、俺もいい気晴らしになった。⋯⋯任務頑張れよ」

「⋯⋯⋯⋯! おう! またな!!」

 俺の言葉に一度振り返ったキバの顔は夕陽のせいか紅く染まっているように見えた。駆けていくあいつの後ろ姿にはもう耳と尻尾はみえない。
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