イヤイヤ期のまきちゃん
「イヤ!」
おやおや、絶賛イヤ期中のまきちゃんは、今日もイヤと叫んでいます。一体何がイヤなのでしょう?
「まき……ちゃんと歯磨きしないと虫歯になるわよ?」
お母さんも困ってしまっていますね。そう、まきちゃんは、歯磨きがイヤなのです。イヤイヤ期の子供は何を言ってもイヤ!と反応する所がありますからね。厄介なものです。
「いーや!歯磨きしない!いやなのー!!やだー!歯磨きやだー!」
床に転がってジタバタと駄々をこねるまきちゃん。そんなまきちゃんに、お母さんはもう、堪忍袋の緒が切れてしまったのか、まるで目を三角にしたかのように怒ります。
「あぁ!そう!じゃあいいわ!もう虫歯になっても知らないから!おやすみ!」
そう言うと、お母さんはさっさと寝てしまいました。まきちゃんも、お母さんが何も言わなくなったのですっかり寝てしまいました。おやおや。まきちゃんは歯を磨かずに寝てしまったようですね。今日のまきちゃんを思い出してみましょう。
「いただきまーす!おやつ楽しみ!」
こちらはお昼のまきちゃん。給食を食べ終わっておやつの時間です。今日のおやつはチョコレート。まだ年端も行かないまきちゃんでも食べられる、砂糖とミルクをたっぷり使ったとっても甘いミルクチョコレートです。
「んむんむ、甘ーい!おいしーい!」
まきちゃんがチョコレートを口に運ぶたび、あまーくて、お砂糖たっぷりのチョコレートが歯にベタベタとくっついて行きます。そのまま、うがいも歯磨きもせずにまきちゃんは遊びに戻ってしまいました。
「お母さんただいまー!」
「お帰りまき。今日はドーナッツよ。」
こちら、三時のまきちゃんです。お母さんからおやつをもらいます。今日のおやつは、砂糖がたっぷりかかったドーナッツ。とっても美味しそうですね。
「やったぁー!いただきます!ふむふむ。おいしい!さすがママ!」
まきちゃんがドーナッツをかじるたび、歯にはこれでもかと言うくらい乗った砂糖や生地が張り付いて行きます。歯は元の真っ白な見た目を汚され、砂糖がつき、チョコレートが貼り付けられ、ドーナッツの生地でベタベタになって……そう、とても美味しそうな見た目になりました。今すぐにでもかじりつきたいくらい!
……失礼しました。それでは今に戻りましょう。そんな状態のまま睡眠を迎えてしまったまきちゃん。宿主が寝てしまえばもうお口の中は……
__私たちのセカイ
私は飛び起きて、白い……いえ、汚れまみれの歯の表面をコツコツと音を鳴らしながら歩きます。私にはわかりますよ。歯が震えているのが。私からの攻撃を恐れ、ガタガタと震えているのが!安心してください。最終的には皆仲良く穴だらけですから。私は一番奥にある歯に目処を着けました。コツコツを音を響かせ、その歯に立ちます。知らぬ間に口元が三日月型に歪んでいたのでしょうか、歯の震えが先程よりも強くなっています。私は歯についたドーナッツやチョコレートをペロリ、ペロリとなめとります。長い舌を這いずらせ、なめとります。そのとなり、そのとなりと舐めとり、全て舐めとったら、再び奥の歯に立ちます。私は手から歯垢を産み出します。これは私達虫歯菌よりも下位の雑菌達の宝庫です。もちろん雑菌達も歯を虫歯にします。私はその産み出した歯垢を、奥歯に擦り付けます。歯面も、歯間も、裏も、根本も、たっぷりと歯垢を擦り付けます。私は歯垢の中に潜り込み、つるはしを産み出します。酸を自動で産み出し、歯を腐らせながら削ることができる虫歯菌の道具です。私は思い切りつるはしを振り上げます。
ガキン
先程までエナメル質だったそれは、欠片となって朽ち果てました。もう一度、もう一度、振り上げます。歯面はじゅくじゅくと茶色く腐り、穴を開けます。
おやおや、絶賛イヤ期中のまきちゃんは、今日もイヤと叫んでいます。一体何がイヤなのでしょう?
「まき……ちゃんと歯磨きしないと虫歯になるわよ?」
お母さんも困ってしまっていますね。そう、まきちゃんは、歯磨きがイヤなのです。イヤイヤ期の子供は何を言ってもイヤ!と反応する所がありますからね。厄介なものです。
「いーや!歯磨きしない!いやなのー!!やだー!歯磨きやだー!」
床に転がってジタバタと駄々をこねるまきちゃん。そんなまきちゃんに、お母さんはもう、堪忍袋の緒が切れてしまったのか、まるで目を三角にしたかのように怒ります。
「あぁ!そう!じゃあいいわ!もう虫歯になっても知らないから!おやすみ!」
そう言うと、お母さんはさっさと寝てしまいました。まきちゃんも、お母さんが何も言わなくなったのですっかり寝てしまいました。おやおや。まきちゃんは歯を磨かずに寝てしまったようですね。今日のまきちゃんを思い出してみましょう。
「いただきまーす!おやつ楽しみ!」
こちらはお昼のまきちゃん。給食を食べ終わっておやつの時間です。今日のおやつはチョコレート。まだ年端も行かないまきちゃんでも食べられる、砂糖とミルクをたっぷり使ったとっても甘いミルクチョコレートです。
「んむんむ、甘ーい!おいしーい!」
まきちゃんがチョコレートを口に運ぶたび、あまーくて、お砂糖たっぷりのチョコレートが歯にベタベタとくっついて行きます。そのまま、うがいも歯磨きもせずにまきちゃんは遊びに戻ってしまいました。
「お母さんただいまー!」
「お帰りまき。今日はドーナッツよ。」
こちら、三時のまきちゃんです。お母さんからおやつをもらいます。今日のおやつは、砂糖がたっぷりかかったドーナッツ。とっても美味しそうですね。
「やったぁー!いただきます!ふむふむ。おいしい!さすがママ!」
まきちゃんがドーナッツをかじるたび、歯にはこれでもかと言うくらい乗った砂糖や生地が張り付いて行きます。歯は元の真っ白な見た目を汚され、砂糖がつき、チョコレートが貼り付けられ、ドーナッツの生地でベタベタになって……そう、とても美味しそうな見た目になりました。今すぐにでもかじりつきたいくらい!
……失礼しました。それでは今に戻りましょう。そんな状態のまま睡眠を迎えてしまったまきちゃん。宿主が寝てしまえばもうお口の中は……
__私たちのセカイ
私は飛び起きて、白い……いえ、汚れまみれの歯の表面をコツコツと音を鳴らしながら歩きます。私にはわかりますよ。歯が震えているのが。私からの攻撃を恐れ、ガタガタと震えているのが!安心してください。最終的には皆仲良く穴だらけですから。私は一番奥にある歯に目処を着けました。コツコツを音を響かせ、その歯に立ちます。知らぬ間に口元が三日月型に歪んでいたのでしょうか、歯の震えが先程よりも強くなっています。私は歯についたドーナッツやチョコレートをペロリ、ペロリとなめとります。長い舌を這いずらせ、なめとります。そのとなり、そのとなりと舐めとり、全て舐めとったら、再び奥の歯に立ちます。私は手から歯垢を産み出します。これは私達虫歯菌よりも下位の雑菌達の宝庫です。もちろん雑菌達も歯を虫歯にします。私はその産み出した歯垢を、奥歯に擦り付けます。歯面も、歯間も、裏も、根本も、たっぷりと歯垢を擦り付けます。私は歯垢の中に潜り込み、つるはしを産み出します。酸を自動で産み出し、歯を腐らせながら削ることができる虫歯菌の道具です。私は思い切りつるはしを振り上げます。
ガキン
先程までエナメル質だったそれは、欠片となって朽ち果てました。もう一度、もう一度、振り上げます。歯面はじゅくじゅくと茶色く腐り、穴を開けます。
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