四匹目・第二章




『椎名』



珍しく、図書室で##NAME3##から声を掛けられた。



「あれ、##NAME3##。どうしたの」



『………その、ハンカチ。駄目にして悪かった』



ああ、駄目になったのか。と中で呟く。
別に気にはしていないが、##NAME3##には気になるらしい。



『それで…ハンカチ、これあげるから』



上着のポケットから取り出した紙袋。
##NAME3##らしい、シンプルで上品なデザインだった。



『じゃ、これで』



そう言って、競歩で逃げた##NAME3##を追おうとしたが、逃げられた。



手の中にある紙袋を覗き込む。



「##NAME3##らしいね…」



シンプルなデザインなのに、気品すらある。
グレーの生地に黒と金で紋章が描かれているデザインは飾り気はないが、椎名も気に入りのシンプルさで人気のあるブランドのロゴだった。


あとそれから、幾つかの和菓子。
茶会に出しても可笑しくないような、和紙にくるまれている兎の形をしたすあま、練切りetcだった。
和菓子は得意分野だと、そういえば以前に語っていたような。



微笑んで、その紙袋を丁寧に仕舞った。



明日、味の感想を言えば、喜んでくれるだろうか。


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