四匹目・第一章
『────と言うことだ』
「竜也兄は、誘われちまったのか」
『そうなるね。
波長が合うって事かな』
「あの下には地下室か何かあるのか?」
「いや、ない。あの病棟にはない。新しく建て増しした方の病棟にはあるんだ。な、リョーチン」
「うん、そうだ」
『ここからはもう一度私に話させてくれないかな。
竜也さんのいる病棟は、三十年程前に建てられた一番最初の病棟で、十年前、病棟内を綺麗に塗り直した時に病室にする前は研究室。
後、付け足しで、あの部屋は凄く寒かったらしい……というのが、私の知っているあの病棟だ。
すまないが、ここからは情報通から聞いた話を纏めて自分なりに立てた予想だから、頭の隅にでも留め置いてくれ。…あそこには地下がある』
「##NAME3##、あの病棟には地下室は無いんだぜ?」
私をたしなめるように椎名が言った。
『私が言っているのは単純に床下の事だよ。
あくまでも、“地下室”ではないからね。
多分だけど……そこの地下に“埋まっている”という表現の死体がある。
きっとこの病院が出来た当時からので、数はおそらく10±2人。分かりやすく言うなら8~12人』
「なんでそんな詳しく知ってるんだよ…」
『その情報通が“人じゃない”から。っていうか、じいちゃんの力を借りた方が良いかもね』
そう言って、##NAME1##は立ち上がった。
「##NAME3##じゃ駄目なのか?」
『死神は仮にも神様だからね。私でも無理だ』
もし仮説が正しければ、外交問題に発展しかねない。
まぁ……正当防衛になるような状況下だったら、ねぇ?(黒笑)
そうして私達は激しさを増した雨の中、地獄堂へと向かった。