三匹目
「……そういや“アヤカシ”って何だろう」
椎名のポツリと零した問いにおやじが答えた。
「…アヤカシというのはとある異世界で使われている言葉でな…黒狐や##NAME2##は形すら留められない、堕ちたものを総称しているらしいな」
「……黒狐ってさっき会ったよな」
「うん、おやじは何で知ってるんだろう…」
「ねぇ、黒狐さんはどんな存在なの?」
「……裕介。黒狐と会ったときに何か感じたか」
「……清らかなモノっていうのかな、しっかりした神社に居るときとかと同じ感じ。間違っても“アヤカシ”みたいな悪いモノでは無かった」
「黒狐は……いうなれば半分は神、半分は人じゃからな、神格を持つ半妖…と言うべきか」
「半分は、人間…」
「半分が人間なら、どちらかとしての存在を選ぶモノが多いが…黒狐はその間を選んだ。人でも、妖でもない。守るのに、立場は関係ないとな」
そう言って、おやじは笑った。