パルクール青年と青い日常を
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女性探偵である先輩の下で助手として働く毎日。
依頼は些細な事だったけれど依頼主に感謝される事にたまらなく喜びを覚え、私にはこの仕事が合ってるんだと実感し始めた頃だった。
「名無しちゃん、私結婚するから事務所たたもうと思うの」
そう先輩は嬉しそうに言った。
---パルクール青年と青い日常を---
「八神さん!お弁当買ってきました」
私は作りたてでホカホカのお弁当を八神さんに早く早くと差し出す。
「ぉお、名無しありがとうな」
八神さんはフワッと笑った。
その笑顔、何だか得した気分になれる。
さすが抱かれたい探偵No. 1の顔面だ。
アドデック9の事件を解決してから八神さんの知名度は昔に戻った様に爆上がりし、マスコミには抱かれたい探偵No. 1なんて取り上げられている。
「海藤さんにデザート買ってもらいました!凄く嬉しい!」
その笑顔が見たくて一緒にお昼ご飯の買い出しに行ってくれた海藤さんが奢ってくれたデザートを自慢げに見せた。
「やっぱ女の子の喜ぶ顔はたまんねーよなぁ」
「海藤さん!頂きますね!」
海藤さんは私をめちゃくちゃ甘やかしてくれる。
そう、私がここへ来てから1番良くしてくれるのは彼だ。
私は女性探偵の下で助手をしていた。
私の雇い主である先輩は美人で賢くてかっこよくて尊敬していた。
先輩はある日結婚するって事で仕事を一時辞める事になった。
先輩の結婚は心から嬉しく、大好きな人の結婚ってこんなに幸せな気持ちにしてくれるんだと思った。
だがしかし私の職場は無くなり、私は職を失う事になると言う事でもある。
「名無しちゃん、あなたがこの事務所を継いでくれても良いのよ?」
先輩はとんでもない事を言い出す。
私はまだまだ見習いでとてもじゃ無いけど自分で事務所を構えるなんて無理な話だった。
そんな私を察してか先輩は友人の真冬さんに八神さんの事務所で雇ってくれないか頼み込んでもらい私は命拾いする事になる。
八神さんと微妙な関係を築く真冬さんは私の恩人だ。
そんなこんなで私は今、八神さんの所で下っ端として働かせてもらっている。
「ただいまー」
入り口のドアを開けるオレンジの頭が目に入る。
「杉浦くん。おかえりなさい!どれ食べる?」
ちょっとした調査に出ていた杉浦くんが帰ってきた。
私は海藤さんと買ってきた色々なお弁当をテーブルに並べてジャジャーンと両手でキラキラさせた。
「わっ!!良いね!もうお腹すいたよー」
「好きなのどうぞ」
彼は何となく癒しだ。
初めて会った時はイケメン過ぎて目が飛び出しそうだった。
こんなに整った顔がこの世に存在するなんて私は知らなかった。
ちなみに杉浦くんは偽名だけれど皆そう呼ぶからそれが定着して私もそう呼んでいる。
そして彼もアドデック9の件以降、仕事が激増した八神さんを助ける為にここにいる。
「いただきまーす!!」
皆で両手を合わせてしっかり挨拶してから各々好きなお弁当を食べた。
「皆、食べながらで良いから聞いてくれ」
八神さんがそう言って私達を見回す。
「啓光学院って知ってるか?」
「あのお金持ちの私立高校ですか?」
神室町の外にある裕福な家庭の子が多く通う立派な学園で私には耳馴染みがある。
私のこっちで出来た友人も何人か卒業していたっけ…
「ぁあ、そこから依頼が来ている」
「金持ち学校から何の様だ?」
海藤さんがご飯をかき込みながら八神さんに問う。
「それが思ったより物騒でさ…学院内の女生徒が何人か襲われているらしい」
「……襲われてるって?」
「性的暴行…て感じらしい」
杉浦くんの問いに八神さんは言いにくそうに口を開いた。
「学校的にも公にはしたくないらしい。学院のブランドがあるからな。何たって啓光学院だから」
絶句。学院内でそんな事が起こるなんて…女性として許せない。
「そこでだ。杉浦、名無しの2人で学生に扮して潜入してくれ。数日間学生として過ごして中を探るんだ」
え……八神さん何て?
「あ、いや、私達もう20代後半ですし!ちょっと無理が…」
どう見ても高校生には扮せれない。絶対無理だ。
「名無しちゃん、試しに制服着てみたら良いんじゃない?可愛いと思うよ」
杉浦くんがそうニコッと微笑みかけてきた。彼は面白そうだと言って乗り気らしい。
「制服は学校から支給されてる。試しに着てみるか?」
八神さんはヒラリとそれを広げて見せた。
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