judge eyes
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【秘めたる事】
神室町にあるゲームセンター、シャルル。
昼間は子供で賑わうここは、夜には賑やかな灯りも消え暗い空間に変わる。
いつもはスタッフが立つカウンターの後ろにはここを仕切る1人のヤクザが駐在する事務所があった。
「…あっ……ふっ…東…さん…」
彼のタバコの香りが充満したこの空間は、彼に包まれている様で酷く私を酔わせる。
サングラスをかけている為、表情が分かりにくいにも関わらず私の目の前で非常に色っぽい顔をする彼の名を呼んだ。
返事代わりの様にグッと近づいて来た彼の唇に私は噛み付く。
彼に騎乗する形を取る私の動きはより激しさを増し彼の口内に舌を伸ばしながら私は快楽に浸っていた。
彼、松金組組員の東徹と八神探偵事務所の調査員である私、名無しは恋人同士では無い。
八神さん、海藤さんから紹介を受け、彼と関わる内に好きになってしまった。
恋人同士では無いのに定期的に体の関係を持つ私達はセフレなのか恋愛ごっこなのかわからないけど東さんは私の事を大切にしてくれる。
付き合っていないのは彼が私の事を大切に思うが故。
ヤクザと付き合うには相当な覚悟が必要。
もし組同士の抗争があった際私を人質に取られる可能性もある為、危険な目には遭わせられないと言われた。
私がどれだけアタックしても、東さんも私の事が好きであっても彼の彼女にはしてもらえなかった。
恋人と言う型にはまった関係でなくてもこうして会える事、愛しい人とこうやって堪らなく幸せな時間を過ごせる事にはとても満足している。
東さんが私のものである事には変わりないと思っている。
私達の関係は、彼と長年付き合いのある八神さんも海藤さんも知らない。
「名無し……っ…」
「…はぁっ……東さんっもう、だめ……」
彼の限界が近いのと同時に私に一気に押し寄せる快楽に耐えながら彼にしがみついた。
より激しさを増す彼の突き上げる動きを感じた直後、2人同時に果てる。
私は彼の首元へ力なく首を垂れた。
欲望に達した後、私の頬に涙が伝った。
幸せの中に見え隠れする不安。
極道の世界で暮らす彼との埋まらない距離はどうしても私に現実を突きつける。
そんな今更な事を考えてその日初めて彼の前で涙を見せた。
そんな私に気付いた東さんは眉を下げて困った様な表情をした。
「泣くんじゃねぇよ」
そう言って彼の手はそっとそれを拭うのだ。
こんな優しい人が極道なんて本当に似合わないんだから…
東城会が解散でもすれば良いのに。
彼の居場所を奪う様な事を一瞬でも考えてしまった事に後悔しなががら、涙を拭ってくれた手に彼の唇へ誘われた。
*******
「いっそ子供でも出来ちゃえば良いのに…」
私はお酒を入れてくれている東さんの後ろ姿に向かって言った。
「おい、そりゃよくねぇだろ名無し」
そう呟きながら東さんはお酒の入ったグラスを2つ持って真ん中のテーブルに置く。
「俺は良いけどよ…こういうのは女の方が大変なんだろ」
そう言いながら膝を抱えて座る私の隣に彼はゆっくり腰掛けた。
俺は良いけどよって一体どういう意味で言っているのだろう…と正直少し胸をときめかせて彼の方を見る。
「お前だって仕事の段取りがあるし俺だって早めにタバコやめねぇと…」
「もう!東さんどんだけ真面目なの!?」
ほら、やっぱりこういう人なのだ。
組なんて簡単に抜けられるわけないし子供が出来てごく普通の幸せな夫婦の生活なんて夢みたいなものなのに、そんな真面目に考えられたら期待してしまう。
この人は仕様が無いくらい根っからに優しい人で、仕様が無いくらい私はこの人が好き。
「もしそうなったら誰だって真面目に考える話だろーが!!」
真面目なんて言われて照れているのか少し顔を赤くしながら怒り顔の彼が堪らなく愛しくて私は隣でニヤニヤした。
「それ飲んだらさっさと帰るぞ」
私はグラスの中でお酒に浸かる丸氷を見つめ、幸せな時間を噛み締めながら一気に飲み干す。
その後身なりを軽く整えると不自然な乱れが無いかチェックしてもらう為、彼の方へ向いた。
「髪、ボサボサじゃねえか」
東さんの手がそっと近付いて来て私の髪を撫でた。
その時の彼の表情があまりにも穏やかで私は自分の顔が赤くなるのを感じて思わず目を逸らした。
店内の灯りを全て消し、東さんがシャルルの扉の鍵を閉める姿を後ろから眺めて待つ。
「行くか、名無し」
彼の言葉を合図に私は彼の手へ自らのそれをそっと伸ばした。
シャルルの階段を上り外に出るまでの間、東さんと手を繋ぐ。
外に出たら私達は誰に見られても構わない様に手を離し、ただの知り合いのフリをして街を歩く。
夜の神室町を女性一人で歩くのは危険だと、東さんはいつも必ず駅まで送ってくれる。
「東さん…」
私は隣を歩く彼の名前を呼んだ。
「泣いてごめんね」
俯いて発した言葉だったので彼の表情は読み取れない。
「…構わねえよ、別に」
一瞬の沈黙を挟んで返って来た声が酷く優しくて、私の心を大切に包んでくれた様な気がした。
end
神室町にあるゲームセンター、シャルル。
昼間は子供で賑わうここは、夜には賑やかな灯りも消え暗い空間に変わる。
いつもはスタッフが立つカウンターの後ろにはここを仕切る1人のヤクザが駐在する事務所があった。
「…あっ……ふっ…東…さん…」
彼のタバコの香りが充満したこの空間は、彼に包まれている様で酷く私を酔わせる。
サングラスをかけている為、表情が分かりにくいにも関わらず私の目の前で非常に色っぽい顔をする彼の名を呼んだ。
返事代わりの様にグッと近づいて来た彼の唇に私は噛み付く。
彼に騎乗する形を取る私の動きはより激しさを増し彼の口内に舌を伸ばしながら私は快楽に浸っていた。
彼、松金組組員の東徹と八神探偵事務所の調査員である私、名無しは恋人同士では無い。
八神さん、海藤さんから紹介を受け、彼と関わる内に好きになってしまった。
恋人同士では無いのに定期的に体の関係を持つ私達はセフレなのか恋愛ごっこなのかわからないけど東さんは私の事を大切にしてくれる。
付き合っていないのは彼が私の事を大切に思うが故。
ヤクザと付き合うには相当な覚悟が必要。
もし組同士の抗争があった際私を人質に取られる可能性もある為、危険な目には遭わせられないと言われた。
私がどれだけアタックしても、東さんも私の事が好きであっても彼の彼女にはしてもらえなかった。
恋人と言う型にはまった関係でなくてもこうして会える事、愛しい人とこうやって堪らなく幸せな時間を過ごせる事にはとても満足している。
東さんが私のものである事には変わりないと思っている。
私達の関係は、彼と長年付き合いのある八神さんも海藤さんも知らない。
「名無し……っ…」
「…はぁっ……東さんっもう、だめ……」
彼の限界が近いのと同時に私に一気に押し寄せる快楽に耐えながら彼にしがみついた。
より激しさを増す彼の突き上げる動きを感じた直後、2人同時に果てる。
私は彼の首元へ力なく首を垂れた。
欲望に達した後、私の頬に涙が伝った。
幸せの中に見え隠れする不安。
極道の世界で暮らす彼との埋まらない距離はどうしても私に現実を突きつける。
そんな今更な事を考えてその日初めて彼の前で涙を見せた。
そんな私に気付いた東さんは眉を下げて困った様な表情をした。
「泣くんじゃねぇよ」
そう言って彼の手はそっとそれを拭うのだ。
こんな優しい人が極道なんて本当に似合わないんだから…
東城会が解散でもすれば良いのに。
彼の居場所を奪う様な事を一瞬でも考えてしまった事に後悔しなががら、涙を拭ってくれた手に彼の唇へ誘われた。
*******
「いっそ子供でも出来ちゃえば良いのに…」
私はお酒を入れてくれている東さんの後ろ姿に向かって言った。
「おい、そりゃよくねぇだろ名無し」
そう呟きながら東さんはお酒の入ったグラスを2つ持って真ん中のテーブルに置く。
「俺は良いけどよ…こういうのは女の方が大変なんだろ」
そう言いながら膝を抱えて座る私の隣に彼はゆっくり腰掛けた。
俺は良いけどよって一体どういう意味で言っているのだろう…と正直少し胸をときめかせて彼の方を見る。
「お前だって仕事の段取りがあるし俺だって早めにタバコやめねぇと…」
「もう!東さんどんだけ真面目なの!?」
ほら、やっぱりこういう人なのだ。
組なんて簡単に抜けられるわけないし子供が出来てごく普通の幸せな夫婦の生活なんて夢みたいなものなのに、そんな真面目に考えられたら期待してしまう。
この人は仕様が無いくらい根っからに優しい人で、仕様が無いくらい私はこの人が好き。
「もしそうなったら誰だって真面目に考える話だろーが!!」
真面目なんて言われて照れているのか少し顔を赤くしながら怒り顔の彼が堪らなく愛しくて私は隣でニヤニヤした。
「それ飲んだらさっさと帰るぞ」
私はグラスの中でお酒に浸かる丸氷を見つめ、幸せな時間を噛み締めながら一気に飲み干す。
その後身なりを軽く整えると不自然な乱れが無いかチェックしてもらう為、彼の方へ向いた。
「髪、ボサボサじゃねえか」
東さんの手がそっと近付いて来て私の髪を撫でた。
その時の彼の表情があまりにも穏やかで私は自分の顔が赤くなるのを感じて思わず目を逸らした。
店内の灯りを全て消し、東さんがシャルルの扉の鍵を閉める姿を後ろから眺めて待つ。
「行くか、名無し」
彼の言葉を合図に私は彼の手へ自らのそれをそっと伸ばした。
シャルルの階段を上り外に出るまでの間、東さんと手を繋ぐ。
外に出たら私達は誰に見られても構わない様に手を離し、ただの知り合いのフリをして街を歩く。
夜の神室町を女性一人で歩くのは危険だと、東さんはいつも必ず駅まで送ってくれる。
「東さん…」
私は隣を歩く彼の名前を呼んだ。
「泣いてごめんね」
俯いて発した言葉だったので彼の表情は読み取れない。
「…構わねえよ、別に」
一瞬の沈黙を挟んで返って来た声が酷く優しくて、私の心を大切に包んでくれた様な気がした。
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