judge eyes
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【coffeetalk】
八神探偵事務所の扉を開けると見慣れたオレンジ色の髪が目に入った。
いつも八神さんが寝ている目の前のソファに横たわるその姿。
周りには誰もいない。八神さんと海藤さんは出かけている様だ。
そう言えば今日は仕事が入ってて2人は出ているはず…とソファで昼寝をしている杉浦くんを起こさない様にそっと依頼と予定表が貼られた掲示板へ移動した。
案の定、把握通りの予定表を見て視線をまた彼が眠るソファへ戻す。
見て良いだろうか…いや、やっぱダメかな…
そんな思考を巡らせながら酷く高鳴る胸。
杉浦くんの寝顔を見たい……バクバクと心臓がうるさいくらいに鳴っている。
何となく罪悪感。
寝ている人を放って事務所を出れるわけもなくかと言ってこのまま掲示板の前でずっと突っ立っておけるわけでもなくとりあえず彼に何かを掛けてあげた方が良いだろうと膝掛けを持って近付いた。
普通に掛ければいいものを何をそんな緊張しているのか私はおかしいんじゃないだろうか…
膝掛けをぎゅっと握りしめ杉浦くんの隣へ立ち、自然と彼の寝顔へ視線が誘導された。
「ぅわぁ……凄く良い…」
ちょっと言葉のチョイスが変な気もするけどこの感想は間違って無いはず。
規則正しい寝息を立てて眠るその顔はやっぱり完璧に整っていて…
「相変わらず綺麗な顔だなー」
思わず溢れる素直な感想。
言葉を発した事により我に返った私は杉浦くんの体にそっと膝掛けを掛けた。
ふと気になった彼の髪。
私は膝をついて目線をソファで寝ている杉浦くんに合わせ、綺麗に染められたふわふわの彼の髪にそっと触れた。
そう言えば、昨夜は遅くまで張り込んでたんだっけ?
ターゲットが宿泊したらしくラブホから出てくるまで彼は朝方まで張り込みを余儀なくされた。
「疲れてるよね…」
いつも優秀に仕事をこなす彼。
同い年の男性に失礼かな?と思いながらこっそり頭を撫でた。
いつからだろう…彼の事が好きなのは。
もしかしたら出会った時からそうなのかもしれない。
この慣れない神室町でAVの強引な勧誘を受けて困り果てる私を彼が助けてくれたあの時から。
歳上の多いここでは皆の弟みたいな彼だけど同い歳の私には頼れる1人の男性でしかない。
ぼーっと考えていると突然手首を掴まれた。
一瞬、心臓が跳ね上がり杉浦くんの顔を見ると目が合った。
杉浦くんが目覚めた。
謝った方が良いだろうか…勝手に髪を触ったんだから。
「名無しちゃんって意外にスケベなんだね。寝込みを襲うなんて」
悪戯な笑顔に見つめられ見る見るうちに自分の顔が赤くなるのを感じた。
「あっえっ…ちがっ……」
驚きと恥ずかしさで呂律が回らない私に何だか堪える様な笑みを浮かべた杉浦くんはソファから立ち上がり、キッチンの方へ歩き出す。
「膝掛け、ありがと」
「うっ……うんっ」
しどろもどろな私の返答を背に彼はコーヒーを用意し始めた。
漂うコーヒーの良い香り。
マグカップを2つ分用意してくれてるのを見ると私の分も淹れてくれるってことかな…とぼんやり考えながら彼の後ろ姿を眺めていた。
さっき掴まれた手首に彼の熱が籠ってる気がして嬉しくもちょっとこそばゆい。
「杉浦くん、張り込み大変だったね。お疲れ様」
「うん。ホントあのおじさんも良い歳してやるよね。宿泊までしてさ」
あのおじさんとはターゲットの事である。
「まぁ、不倫とは言え恋愛に年齢は関係ないんじゃない?」
ターゲットを庇うわけではないがそう思う。
「そんなもんかなぁー。ま、僕は暫く恋愛してないからわかんないけど。はい、どうぞ」
そう言ってコーヒーを持って来てくれた杉浦くんはソファに座る私の隣に来て腰掛けた。
「…そっか……ありがとう」
彼が淹れてくれたコーヒーが入ったマグカップを受け取り両手で握りしめ、ゆらゆらと揺れる茶色い水面を眺めた。
うーん…暫く恋愛してないって事は私は脈なし…?
一口飲んだら私の好みを知った完璧なミルクとコーヒーの配分で少し嬉しくなる。
これだけ私の好みをわかったコーヒーを淹れてくれるのに杉浦くんってば私の事興味ないの?
自惚れかもしれないけど少しくらい恋愛対象に見てくれても良いのになんて我が儘が頭をよぎる。
「名無しちゃん?美味しくない?」
自分の世界に入っている私を杉浦くんが呼び覚ます。
「ううん!美味しいよ。凄く好みに作ってくれてありがとう」
「そっか、良かった!」
優しい笑顔でそう言ってくれる杉浦くんを見て得した気分になる私はかなり彼に惹かれてるんだと思う。
「ふぁ〜……ちょっとまだ眠いかも」
杉浦くんは欠伸をして飲みかけのコーヒーをテーブルに置いた。
「あっごめんね。私が起こしちゃったもんね」
杉浦くんにソファを譲る為、立ち上がろうとした時ぼすっと膝の上に何かが乗った。
考える余裕も無く杉浦くんの頭である事を瞬時に理解する。
「すっ杉浦くんっ!?!?」
「さっき寝込みを襲われたお返し」
突然の膝枕でほぼパニック状態の私にそう言う杉浦くんの顔は向こうを向いているのでよく分からないけど楽しそうに聴こえた。
「ぐっすり眠れないよ?」
「そんな事ないよ」
私の心臓は全く落ち着く気配がないけどいつも頼ってる彼に頼られてる様な気がしてとても嬉しいと思った。
「そうだ… 名無しちゃん。僕、恋愛は暫くしてないって言ったけど、いい子がいるからそろそろ始めても良いかなと思ってるよ」
「えっ…それってどう言う……?」
深掘りしようとしたけどその時には杉浦くんは静かな寝息をたてていた。
意味深な事を言い残し、決して寝心地は良くないであろう私の膝でぐっすり眠りに付く彼のオレンジをまた優しく撫でる。
さっきの言葉の意味って……私にもチャンスがあるって事だったら良いなぁ……
そんな事を考えると口元が緩んで仕方なかった。
穏やかな陽気の中どこからかする猫の声を遠くに聴きながらコーヒーの香りに包まれて膝には愛しい彼の重み…それは酷く幸福な時間に感じた。
end
八神探偵事務所の扉を開けると見慣れたオレンジ色の髪が目に入った。
いつも八神さんが寝ている目の前のソファに横たわるその姿。
周りには誰もいない。八神さんと海藤さんは出かけている様だ。
そう言えば今日は仕事が入ってて2人は出ているはず…とソファで昼寝をしている杉浦くんを起こさない様にそっと依頼と予定表が貼られた掲示板へ移動した。
案の定、把握通りの予定表を見て視線をまた彼が眠るソファへ戻す。
見て良いだろうか…いや、やっぱダメかな…
そんな思考を巡らせながら酷く高鳴る胸。
杉浦くんの寝顔を見たい……バクバクと心臓がうるさいくらいに鳴っている。
何となく罪悪感。
寝ている人を放って事務所を出れるわけもなくかと言ってこのまま掲示板の前でずっと突っ立っておけるわけでもなくとりあえず彼に何かを掛けてあげた方が良いだろうと膝掛けを持って近付いた。
普通に掛ければいいものを何をそんな緊張しているのか私はおかしいんじゃないだろうか…
膝掛けをぎゅっと握りしめ杉浦くんの隣へ立ち、自然と彼の寝顔へ視線が誘導された。
「ぅわぁ……凄く良い…」
ちょっと言葉のチョイスが変な気もするけどこの感想は間違って無いはず。
規則正しい寝息を立てて眠るその顔はやっぱり完璧に整っていて…
「相変わらず綺麗な顔だなー」
思わず溢れる素直な感想。
言葉を発した事により我に返った私は杉浦くんの体にそっと膝掛けを掛けた。
ふと気になった彼の髪。
私は膝をついて目線をソファで寝ている杉浦くんに合わせ、綺麗に染められたふわふわの彼の髪にそっと触れた。
そう言えば、昨夜は遅くまで張り込んでたんだっけ?
ターゲットが宿泊したらしくラブホから出てくるまで彼は朝方まで張り込みを余儀なくされた。
「疲れてるよね…」
いつも優秀に仕事をこなす彼。
同い年の男性に失礼かな?と思いながらこっそり頭を撫でた。
いつからだろう…彼の事が好きなのは。
もしかしたら出会った時からそうなのかもしれない。
この慣れない神室町でAVの強引な勧誘を受けて困り果てる私を彼が助けてくれたあの時から。
歳上の多いここでは皆の弟みたいな彼だけど同い歳の私には頼れる1人の男性でしかない。
ぼーっと考えていると突然手首を掴まれた。
一瞬、心臓が跳ね上がり杉浦くんの顔を見ると目が合った。
杉浦くんが目覚めた。
謝った方が良いだろうか…勝手に髪を触ったんだから。
「名無しちゃんって意外にスケベなんだね。寝込みを襲うなんて」
悪戯な笑顔に見つめられ見る見るうちに自分の顔が赤くなるのを感じた。
「あっえっ…ちがっ……」
驚きと恥ずかしさで呂律が回らない私に何だか堪える様な笑みを浮かべた杉浦くんはソファから立ち上がり、キッチンの方へ歩き出す。
「膝掛け、ありがと」
「うっ……うんっ」
しどろもどろな私の返答を背に彼はコーヒーを用意し始めた。
漂うコーヒーの良い香り。
マグカップを2つ分用意してくれてるのを見ると私の分も淹れてくれるってことかな…とぼんやり考えながら彼の後ろ姿を眺めていた。
さっき掴まれた手首に彼の熱が籠ってる気がして嬉しくもちょっとこそばゆい。
「杉浦くん、張り込み大変だったね。お疲れ様」
「うん。ホントあのおじさんも良い歳してやるよね。宿泊までしてさ」
あのおじさんとはターゲットの事である。
「まぁ、不倫とは言え恋愛に年齢は関係ないんじゃない?」
ターゲットを庇うわけではないがそう思う。
「そんなもんかなぁー。ま、僕は暫く恋愛してないからわかんないけど。はい、どうぞ」
そう言ってコーヒーを持って来てくれた杉浦くんはソファに座る私の隣に来て腰掛けた。
「…そっか……ありがとう」
彼が淹れてくれたコーヒーが入ったマグカップを受け取り両手で握りしめ、ゆらゆらと揺れる茶色い水面を眺めた。
うーん…暫く恋愛してないって事は私は脈なし…?
一口飲んだら私の好みを知った完璧なミルクとコーヒーの配分で少し嬉しくなる。
これだけ私の好みをわかったコーヒーを淹れてくれるのに杉浦くんってば私の事興味ないの?
自惚れかもしれないけど少しくらい恋愛対象に見てくれても良いのになんて我が儘が頭をよぎる。
「名無しちゃん?美味しくない?」
自分の世界に入っている私を杉浦くんが呼び覚ます。
「ううん!美味しいよ。凄く好みに作ってくれてありがとう」
「そっか、良かった!」
優しい笑顔でそう言ってくれる杉浦くんを見て得した気分になる私はかなり彼に惹かれてるんだと思う。
「ふぁ〜……ちょっとまだ眠いかも」
杉浦くんは欠伸をして飲みかけのコーヒーをテーブルに置いた。
「あっごめんね。私が起こしちゃったもんね」
杉浦くんにソファを譲る為、立ち上がろうとした時ぼすっと膝の上に何かが乗った。
考える余裕も無く杉浦くんの頭である事を瞬時に理解する。
「すっ杉浦くんっ!?!?」
「さっき寝込みを襲われたお返し」
突然の膝枕でほぼパニック状態の私にそう言う杉浦くんの顔は向こうを向いているのでよく分からないけど楽しそうに聴こえた。
「ぐっすり眠れないよ?」
「そんな事ないよ」
私の心臓は全く落ち着く気配がないけどいつも頼ってる彼に頼られてる様な気がしてとても嬉しいと思った。
「そうだ… 名無しちゃん。僕、恋愛は暫くしてないって言ったけど、いい子がいるからそろそろ始めても良いかなと思ってるよ」
「えっ…それってどう言う……?」
深掘りしようとしたけどその時には杉浦くんは静かな寝息をたてていた。
意味深な事を言い残し、決して寝心地は良くないであろう私の膝でぐっすり眠りに付く彼のオレンジをまた優しく撫でる。
さっきの言葉の意味って……私にもチャンスがあるって事だったら良いなぁ……
そんな事を考えると口元が緩んで仕方なかった。
穏やかな陽気の中どこからかする猫の声を遠くに聴きながらコーヒーの香りに包まれて膝には愛しい彼の重み…それは酷く幸福な時間に感じた。
end