アイノカタチ
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クリスさんが行方不明になってから半年。
彼は無事に見つかった。
誰の事も覚えていなかったけれど生きていた事にただただホッとする私達だった。
クリスさんが見つかって喜ぶ暇も無くピアーズは次の任務へ出かける。
クリスさんの記憶を取り戻す為にも必要だと上の判断によるものだった。
ピアーズは見送る私にキスをしてお腹に触れる。
クリスさんを探すこの半年の間に大分大きくなったお腹を優しく撫でながら彼は言う。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
いつもの様に見送った。
そう、いつもの様に。
まさかあんな悲劇が訪れるとは思いもしない。
7月1日
海の上で見つかったクリスさんは独りぼっち。
いつも彼の傍にいた夫の姿は無かった。
まさか自分の夫がB.O.Wになるなんて。
あのピアーズが化け物になる姿なんて想像もできなかった。
遺体も帰って来ない…BSAAではよくある事。
彼はどれだけ苦しくて痛くて孤独で寂しかっただろう。
そう考えると胸が締め付けられた。
けれど、彼はB.O.Wになっても己の使命と強い正義感を胸に戦い抜いたと目の前でそう教えてくれたクリスさんはその後言った。
「すまない。上司として部下を守れなかった」
悲しみに打ちひしがれ、日々の生活もままならなかった私だったけど、もうやめよう。
「クリスさん、ありがとうございました。あなたがいたから夫は信念を貫き通せました。きっと幸せなはずです」
私は自らのお腹に手を当てる。
「この子が産まれてきたら英雄として彼の話をします。それもクリスさんが帰って来てくれたから話せる事です」
クリスさんは涙を流した。
ピアーズ、あなたは愛されてるね。
そんな人と結婚出来て私は幸せ。
掌のクリスさんから渡されたピアーズの血が付いたBSAAのエンブレムを見つめてそう心の中で話しかけた。
*******
「ほーらお父さんだぞー」
クリスさんが娘を抱き上げる。
大きくて優しい包容力のあるお父さん…まさにそんな感じ。
「ちょっと兄さん、冗談やめてよ!」
そんな彼を静止したのはクレアさん。
「この子はピアーズ君の顔が良い遺伝子が入った美人さんなのよ!父親がこんなんじゃ将来ショックよ」
クリスさんも中々にイケメンだと思うけどなぁと思いながら溺愛する妹の言葉にショックを受けるクリスさんを見て笑った。
あ、一応言っておくけど私はクリスさんと再婚したわけではない。
でもクリスさんはまるで父親みたいに娘を可愛がってくれている。
「兄さんはピアーズ君の分も働いて世界を救って生き抜く!父親は私が引き受けるから!」
「クレアさん…そんな…嬉しいです…」
クレアさんの男前発言に惚れてしまいそう…。
「名無し、この子のパパは私達兄妹の平穏と世界を救った英雄。兄さんは彼がいないときっと死んでた。私達はピアーズ君に何か返したいの」
クレアさんは私の手を握ってその美しい顔で私をじっと見つめる。
「子育て、仕事、全部1人でするのは大変だから…いつでも私達が傍にいる事を忘れないで」
私はクレアさんに抱きついた。
「クレアさん、クリスさん、ありがとうございます…私、幸せです」
クレアさんは私を優しく抱きしめ返してくれた。
私は涙を拭いながらふと気付く何か違和感。
このかおりは…………
「…っ!?」
嫌な予感がしてクリスさんを見た。
クリスさんはうわーー!!と大声を上げていた。
その腕の中にはおむつからうんちが漏れたがスッキリした顔をしている我が娘。
クリスさんはバタバタ。クレアさんも兄さん落とさないでよ!なんて言いながらあたふた。
3人で慌てて処理をする。
ピアーズ 、私とこの子にはこんなに頼もしい家族がいるから大丈夫。
安心して私達を見守っててね。
愛してる。
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