短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼氏のダリくんは
かっこよくて、
紳士的で、
いつも笑顔で、
優しくて、
頭が回って、
楽しいことが大好きで。
私の彼氏は完璧なんじゃないかと思うくらいの悪魔だ。
比べて私は
可愛げなくて
ヒト見知りで、
嫉妬しいで。
なんで彼はこんな私と付き合ってくれてるのかってくらい、粗末な悪魔だ。
こんな自分、大嫌い。
ダリくんは昔からとてもモテていた。
可愛い女の子からの告白や、美人な女性からの誘惑をよく受けていたのを見ていた。
それでも私を選んでくれたが、いつもいつも不安が心の中にあった。
悪魔学校の教師になってから、不安が更に増した。
だって、あの悪魔学校だよ?
エリート中のエリートじゃん。
教師統括になってからは、どこから噂を聞いたのか、付き合っていることを知らない元同級生から、ダリくんの連絡先を教えてくれという連絡がちょくちょくと来た。
もちろんそんな連絡無視をしたのだが。
ダリくんのことを信じていないわけではないのだが、不安で不安で仕方ないのだ。
私よりも素敵な子たちの魅力に気付いて、そちらに行ってしまうかもしれない。
自分に自信がなくて、そんな不安が胸の中にどんどんどんどん溜まっていってしまうのだ。
「ついに、やっちゃった…」
その不安のせいなのだろう。
彼へのプレゼントに、盗聴器なんて仕込んでしまったのは。
お揃いのキーホルダーなんて言って、彼の趣味でもないものを渡して身につけさせてしまった。
そのキーホルダーに仕込んだ盗聴器…いくら付き合っていても許されることでは無いのは分かっている。
頭を抱え、自責の念に苛まれ、やめようとも思った。
が、それ以上に不安が勝り、意を決して、震える手を抑え、スイッチを押す。
小さなノイズの後、イヤホンから生活音が聞こえてくる。
仕事をしているのだろうか、ペンが紙を走る音。
たまに出る、ダリくんの唸り声。
胸が高鳴ると共に、異常な安心感を覚えた。
「あ、名無しさんちゃんに魔インしよ」
そんなダリくんの呟きの後、彼から魔インが届いた。
いつもしている、おやすみの魔イン。
ああ、本当にダリくんの音を聞いているんだ。
じわじわと実感し、口角が上がってしまった。
それから、私の生活の一部に、ダリくんの生活音を聞くというものが加わった。
仕事が終わってから、通話が終わってから、逢瀬が終わってから…
一人でいる時のほとんどを聞いていると言っても過言ではなかった。
彼への罪悪感がなかったわけではない。
だが、音を聞いている間の、じわじわと不安の溶けていくような感覚が頭を刺激し、私の行動を継続させた。
そんなことを続けて数日、ダリくんと繁華街でお出かけをしていると、元同級生と出会った。
その子は私たちが一緒にいることに驚いており、ダリくんが付き合っていることを伝えると、更に目を見開いていた。
ああ、私は付き合うに見合わない様なやつなのか。
最近は感じなかった、暗い不安がまた、胸の中を渦巻いた。
私から離れてしまうのではないか。
今も、私以外の子のことを考えているのではないか。
どうしよう、不安で泣いてしまいそうだ。
でも、折角のダリくんとのお出かけなのだから、笑わないと…
私は必死で不安を隠しながら、お出かけを楽しんだ。
それから悩んで悩んで、思いついた。
音声だけでなく、ちゃんと部屋の中も見れれば、不安なんてなくなるのかなって。
思いついてからの行動は早かった。
盗撮用の小さなカメラを入手して、ダリくんの部屋に遊びに来た時、こっそりと…
昔、プレゼントとして渡した、黒いそのぬいぐるみの縫い目を緩めて、カメラを仕込んだ。
またしても罪悪感が胸をかすめるが、それ以上の不安感が私を動かした。
「ん?そのぬいぐるみがなんかあった?」
カメラを仕込み終わったタイミングで、ダリくんが戻ってきて声をかけられた。
「あ、ううん!ずっと置いてくれてるの、嬉しいなって」
「名無しさんちゃんからのプレゼントだからね、当たり前だよ」
にこり、人当たりのいい笑顔で話すダリくん。
彼に疑われないように、それ以降はぬいぐるみに意識を向けないようにした。
私への愛を口にしてくれて、行動にも示してくれていて…大切な彼に対して、
どうしてこんなに不安なんだろう。
自己嫌悪で目の前が真っ暗になりそうだ。
早く、早くこのモヤモヤを消したい。
そんなことを考えながらいつもより早足で帰宅をした。
イヤホンをつけ、カメラを起動させると、画面には先程まで私のいた、ダリくんの部屋が映っている。
いつも聞いている生活音とともに、視覚からの情報も加わったおかげなんだろう。
じゅわじゅわと、また不安が溶けていった。
不安が消え、蕩けた頭で、ダリくんへ帰宅の旨を魔インする。
ピロン、とダリくんのス魔ホが鳴り、彼はそれを確認する。
スっと目を細めてス魔ホを見ているダリくん。
普段見れないような表情が見れて、特別な感覚に陥る。
なんだか落ち着いた気持ちで、キッチンへ向かい、温かい魔茶を準備する。
「おかえり、名無しさんちゃん」
突如耳元で聞こえてきた言葉に驚き、慌てて画面を注視すると
画面越しに、私のあげたキーホルダーを口元に持っていき、微笑んでいるダリくんと目が合った。
かっこよくて、
紳士的で、
いつも笑顔で、
優しくて、
頭が回って、
楽しいことが大好きで。
私の彼氏は完璧なんじゃないかと思うくらいの悪魔だ。
比べて私は
可愛げなくて
ヒト見知りで、
嫉妬しいで。
なんで彼はこんな私と付き合ってくれてるのかってくらい、粗末な悪魔だ。
こんな自分、大嫌い。
ダリくんは昔からとてもモテていた。
可愛い女の子からの告白や、美人な女性からの誘惑をよく受けていたのを見ていた。
それでも私を選んでくれたが、いつもいつも不安が心の中にあった。
悪魔学校の教師になってから、不安が更に増した。
だって、あの悪魔学校だよ?
エリート中のエリートじゃん。
教師統括になってからは、どこから噂を聞いたのか、付き合っていることを知らない元同級生から、ダリくんの連絡先を教えてくれという連絡がちょくちょくと来た。
もちろんそんな連絡無視をしたのだが。
ダリくんのことを信じていないわけではないのだが、不安で不安で仕方ないのだ。
私よりも素敵な子たちの魅力に気付いて、そちらに行ってしまうかもしれない。
自分に自信がなくて、そんな不安が胸の中にどんどんどんどん溜まっていってしまうのだ。
「ついに、やっちゃった…」
その不安のせいなのだろう。
彼へのプレゼントに、盗聴器なんて仕込んでしまったのは。
お揃いのキーホルダーなんて言って、彼の趣味でもないものを渡して身につけさせてしまった。
そのキーホルダーに仕込んだ盗聴器…いくら付き合っていても許されることでは無いのは分かっている。
頭を抱え、自責の念に苛まれ、やめようとも思った。
が、それ以上に不安が勝り、意を決して、震える手を抑え、スイッチを押す。
小さなノイズの後、イヤホンから生活音が聞こえてくる。
仕事をしているのだろうか、ペンが紙を走る音。
たまに出る、ダリくんの唸り声。
胸が高鳴ると共に、異常な安心感を覚えた。
「あ、名無しさんちゃんに魔インしよ」
そんなダリくんの呟きの後、彼から魔インが届いた。
いつもしている、おやすみの魔イン。
ああ、本当にダリくんの音を聞いているんだ。
じわじわと実感し、口角が上がってしまった。
それから、私の生活の一部に、ダリくんの生活音を聞くというものが加わった。
仕事が終わってから、通話が終わってから、逢瀬が終わってから…
一人でいる時のほとんどを聞いていると言っても過言ではなかった。
彼への罪悪感がなかったわけではない。
だが、音を聞いている間の、じわじわと不安の溶けていくような感覚が頭を刺激し、私の行動を継続させた。
そんなことを続けて数日、ダリくんと繁華街でお出かけをしていると、元同級生と出会った。
その子は私たちが一緒にいることに驚いており、ダリくんが付き合っていることを伝えると、更に目を見開いていた。
ああ、私は付き合うに見合わない様なやつなのか。
最近は感じなかった、暗い不安がまた、胸の中を渦巻いた。
私から離れてしまうのではないか。
今も、私以外の子のことを考えているのではないか。
どうしよう、不安で泣いてしまいそうだ。
でも、折角のダリくんとのお出かけなのだから、笑わないと…
私は必死で不安を隠しながら、お出かけを楽しんだ。
それから悩んで悩んで、思いついた。
音声だけでなく、ちゃんと部屋の中も見れれば、不安なんてなくなるのかなって。
思いついてからの行動は早かった。
盗撮用の小さなカメラを入手して、ダリくんの部屋に遊びに来た時、こっそりと…
昔、プレゼントとして渡した、黒いそのぬいぐるみの縫い目を緩めて、カメラを仕込んだ。
またしても罪悪感が胸をかすめるが、それ以上の不安感が私を動かした。
「ん?そのぬいぐるみがなんかあった?」
カメラを仕込み終わったタイミングで、ダリくんが戻ってきて声をかけられた。
「あ、ううん!ずっと置いてくれてるの、嬉しいなって」
「名無しさんちゃんからのプレゼントだからね、当たり前だよ」
にこり、人当たりのいい笑顔で話すダリくん。
彼に疑われないように、それ以降はぬいぐるみに意識を向けないようにした。
私への愛を口にしてくれて、行動にも示してくれていて…大切な彼に対して、
どうしてこんなに不安なんだろう。
自己嫌悪で目の前が真っ暗になりそうだ。
早く、早くこのモヤモヤを消したい。
そんなことを考えながらいつもより早足で帰宅をした。
イヤホンをつけ、カメラを起動させると、画面には先程まで私のいた、ダリくんの部屋が映っている。
いつも聞いている生活音とともに、視覚からの情報も加わったおかげなんだろう。
じゅわじゅわと、また不安が溶けていった。
不安が消え、蕩けた頭で、ダリくんへ帰宅の旨を魔インする。
ピロン、とダリくんのス魔ホが鳴り、彼はそれを確認する。
スっと目を細めてス魔ホを見ているダリくん。
普段見れないような表情が見れて、特別な感覚に陥る。
なんだか落ち着いた気持ちで、キッチンへ向かい、温かい魔茶を準備する。
「おかえり、名無しさんちゃん」
突如耳元で聞こえてきた言葉に驚き、慌てて画面を注視すると
画面越しに、私のあげたキーホルダーを口元に持っていき、微笑んでいるダリくんと目が合った。