短編
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正直俺はドルヲタだから、可愛い子はそれなり目にしてきている。
だから、自分の女性への理想顔面偏差値はとても高いと思う。
そんな俺が目を奪われたのが、Dクラスにいる生徒の1人、名無しさんちゃん。
彼女が初めて俺の授業を受けに来た時、こんなデビ可愛い子がいるのかと自分の目を疑った。
触れたら柔らかそうな細い髪、小ぶりな角、薄桃色の唇、授業を聞く時の真剣な表情。
どれもこれも、キラキラと輝いて見えた。
だが教師として贔屓をするわけにもいかないので、極力意識をしないように授業を進行している。
「ムルムル先生」
ある日授業が終わり、金糸雀の様な声で呼ばれ、そこを見ると、名無しさんちゃんがいた。
今君は、俺の名前を呼んだ?
そのふっくらとした薄桃色の唇の間から、俺の名前が零れた?
電撃が体の中を走り回った。
心臓の動きが激しくなる。
「ああ、名無しさんちゃん、どうしたの?」
「先程の授業で1点、聞きたい部分がありまして」
教科書を指しながら、先程の授業での疑問点を問いかけてくる名無しさんちゃん。
真面目なんだな…
授業をしっかりと聞いていたからこその疑問点に感心する。
ふわりと漂う爽やかな香り。
小さな爪のついた細い指の動く様子。
それらに意識を持っていかれつつも、彼女の質問に答えた。
「なるほど…理解できました。ありがとうございました!」
名無しさんちゃんが笑顔で頭を下げて立ち去る様子を、俺は惚けて見ていることしかできなかった。
やばい、これは。
ドッドッと心臓が大きく動き続ける。
俺は今、ギャリーちゃんやくろむちゃんを見た時以上の衝撃を受けているようだ。
あの子はどんなアクドルよりも、キラキラしている。
だが、一般悪魔、しかも生徒!
なら俺は、教師として、彼女が気持ちよく学校生活を過ごせるようにしよう。
あのキラキラした輝きを、濁らせないようにしよう。
それから彼女について調べた。
家族構成、所属師団 、交友関係、休日の過ごし方。
こういう時、想像以上に役に立った自分の家系能力に感謝をした。
SNSを見つけてからは簡単だった。
好きな食べ物や苦手な魔獣、よく行く喫茶店、趣味、特技、エトセトラエトセトラ…
彼女についての情報が何でもでてきた。
ネットリテラシーが薄いのか、自撮り等も上がっており、それらを全て保存する。
あーあ、ネット社会なんだから気を付けなきゃじゃん、名無しさんちゃん。今度の授業で少し話題にしようかな。
数名、彼女によく絡んでいるフォロワーがいた。
そいつらのアカウントを覗くと、彼女のリアルな知り合いではないようだったので、俺の持ってるアカウントを駆使して凍結をさせた。
変な奴を名無しさんちゃんに近付けるわけにはいかないからね。
最近、使ってるシャンプーを名無しさんちゃんと同じにしてみた。
ただ、俺個人の香りも混ざっているため、全く同じ香りとはならなかったが、
彼女とすれ違う時、鼻腔をくすぐるあの香りを自分もまとったら、いつでも一緒にいるような気になった。
それに喜びを感じながら廊下を歩いていると、名無しさんちゃんが俺を呼び止めた。
「ムルムル先生、相談があるんです」
また甘い金糸雀の様な声が俺の鼓膜を刺激した。
その唇から俺の名前が漏れる度に心臓が音を立てて暴れる。
名無しさんちゃんが頬を染めながら俺の目の前にいる。
鑑定色 を使い、様子を見れば、緊張と恋慕の色。
周りを気にしている様子だったので、面談室へと連れて行き、話を聞くことにした。
「何があったの?」
「あの、実は、」
要訳すると、内容は、昨日から付き合ってる男がいて、そいつにもっとアピールをしたいから精神医学的にいい方法はあるか、というものだった。
ゆっくりと紡ぐ声は甘く響いたのに、その内容は暗く重く俺の中に反響した。
付き合っている奴がいる?
あー、昨日SNSに書いてた嬉しかったことってそういうこと?
相手の名前を聞くと、名無しさんちゃんと同じクラスの男子だった。
いや、それはダメだ。解釈違い。
その子は君には相応しくないよ。
なんでそんな不釣り合いの相手にしちゃったのかな。若気の至りってやつ?
まったく、しょうがないなあ。
俺はそれらしいアドバイスを彼女にして分かれたあと、ス魔ホを取り出した。
彼女のSNSアカウントからその男子のアカウントを探す。
あー、やっぱりこいつ全然だめ。君に似合ってない。
付き合ったという投稿と、おそろいにこのアクセサリーがつけたいなんて写真の投稿を見て、奥歯を噛み締める。
君にはこんなシルバーのアクセサリーよりピンクゴールドのが似合うんだ。
趣味や好きな映画や好みの食べ物も全然違う。
もっと君を分かってくれるいい相手がいるはずだよ。
俺がちゃんとしないとな…。
それから、その男子に恋慕の情を抱いている子を鑑定色 で探した。
本当に役に立つなぁ、家系能力。
1人見つけた女の子を口車に乗せてふっかけ、その男子にアピールをさせた。
それは歯車が噛み合ったかのように上手くいき、1週間も経たないうちに彼から名無しさんちゃんへ向けられていた恋心はその女の子の方へ向いていた。
数日後、名無しさんちゃんから悲愴や陰鬱の色が見えたので、先日と同じく面談室へ連れていった。
話を聞けば、ぽろぽろと大粒の涙を流しながら別れた旨を伝えられた。
ほら、だから君には似合わないんだって。
青春の雰囲気にあてられて、すぐに心移りするなんて碌な男じゃない。
ちゃんと君のことを1番に考えて大切にできる男じゃないと…。
名無しさんちゃんの頬にハンカチを当てると、光を反射する宝石のような涙が染み込んでいく。
「ムルムル先生、私、そんなに、魅力ないですか?」
「そんなことないよ!名無しさんちゃんは勤勉で、素直で、俺から見たらとても素敵な子だよ」
君の魅力について語り始めたら止まらなくなってしまうため、極力冷静に言葉を選ぶ。
泣いている姿に心が痛むが、それ以上に俺が頼られているこの状況に気持ちが高揚する。
ひとしきり泣いて、スッキリしたのか名無しさんちゃんは落ち着いた。
ハンカチを洗って返すと言われ悩んだが、涙のレアリティを考えて、断った。
このハンカチは綺麗に保管しなきゃ。
「ありがとうございました。ムルムル先生に頼って良かったです」
「とんでもない。いつでも話してよ」
名無しさんちゃんを見送って、がらんとした面談室で1人佇み。
涙を吸ったハンカチを鼻に当て深呼吸をする。
ひんやりとした感触とほんのりと香るいつものあの香り。
ああ、名無しさんちゃん。
俺が君の生活を守るから、君は安心して過ごしてね。
だから、自分の女性への理想顔面偏差値はとても高いと思う。
そんな俺が目を奪われたのが、Dクラスにいる生徒の1人、名無しさんちゃん。
彼女が初めて俺の授業を受けに来た時、こんなデビ可愛い子がいるのかと自分の目を疑った。
触れたら柔らかそうな細い髪、小ぶりな角、薄桃色の唇、授業を聞く時の真剣な表情。
どれもこれも、キラキラと輝いて見えた。
だが教師として贔屓をするわけにもいかないので、極力意識をしないように授業を進行している。
「ムルムル先生」
ある日授業が終わり、金糸雀の様な声で呼ばれ、そこを見ると、名無しさんちゃんがいた。
今君は、俺の名前を呼んだ?
そのふっくらとした薄桃色の唇の間から、俺の名前が零れた?
電撃が体の中を走り回った。
心臓の動きが激しくなる。
「ああ、名無しさんちゃん、どうしたの?」
「先程の授業で1点、聞きたい部分がありまして」
教科書を指しながら、先程の授業での疑問点を問いかけてくる名無しさんちゃん。
真面目なんだな…
授業をしっかりと聞いていたからこその疑問点に感心する。
ふわりと漂う爽やかな香り。
小さな爪のついた細い指の動く様子。
それらに意識を持っていかれつつも、彼女の質問に答えた。
「なるほど…理解できました。ありがとうございました!」
名無しさんちゃんが笑顔で頭を下げて立ち去る様子を、俺は惚けて見ていることしかできなかった。
やばい、これは。
ドッドッと心臓が大きく動き続ける。
俺は今、ギャリーちゃんやくろむちゃんを見た時以上の衝撃を受けているようだ。
あの子はどんなアクドルよりも、キラキラしている。
だが、一般悪魔、しかも生徒!
なら俺は、教師として、彼女が気持ちよく学校生活を過ごせるようにしよう。
あのキラキラした輝きを、濁らせないようにしよう。
それから彼女について調べた。
家族構成、所属
こういう時、想像以上に役に立った自分の家系能力に感謝をした。
SNSを見つけてからは簡単だった。
好きな食べ物や苦手な魔獣、よく行く喫茶店、趣味、特技、エトセトラエトセトラ…
彼女についての情報が何でもでてきた。
ネットリテラシーが薄いのか、自撮り等も上がっており、それらを全て保存する。
あーあ、ネット社会なんだから気を付けなきゃじゃん、名無しさんちゃん。今度の授業で少し話題にしようかな。
数名、彼女によく絡んでいるフォロワーがいた。
そいつらのアカウントを覗くと、彼女のリアルな知り合いではないようだったので、俺の持ってるアカウントを駆使して凍結をさせた。
変な奴を名無しさんちゃんに近付けるわけにはいかないからね。
最近、使ってるシャンプーを名無しさんちゃんと同じにしてみた。
ただ、俺個人の香りも混ざっているため、全く同じ香りとはならなかったが、
彼女とすれ違う時、鼻腔をくすぐるあの香りを自分もまとったら、いつでも一緒にいるような気になった。
それに喜びを感じながら廊下を歩いていると、名無しさんちゃんが俺を呼び止めた。
「ムルムル先生、相談があるんです」
また甘い金糸雀の様な声が俺の鼓膜を刺激した。
その唇から俺の名前が漏れる度に心臓が音を立てて暴れる。
名無しさんちゃんが頬を染めながら俺の目の前にいる。
周りを気にしている様子だったので、面談室へと連れて行き、話を聞くことにした。
「何があったの?」
「あの、実は、」
要訳すると、内容は、昨日から付き合ってる男がいて、そいつにもっとアピールをしたいから精神医学的にいい方法はあるか、というものだった。
ゆっくりと紡ぐ声は甘く響いたのに、その内容は暗く重く俺の中に反響した。
付き合っている奴がいる?
あー、昨日SNSに書いてた嬉しかったことってそういうこと?
相手の名前を聞くと、名無しさんちゃんと同じクラスの男子だった。
いや、それはダメだ。解釈違い。
その子は君には相応しくないよ。
なんでそんな不釣り合いの相手にしちゃったのかな。若気の至りってやつ?
まったく、しょうがないなあ。
俺はそれらしいアドバイスを彼女にして分かれたあと、ス魔ホを取り出した。
彼女のSNSアカウントからその男子のアカウントを探す。
あー、やっぱりこいつ全然だめ。君に似合ってない。
付き合ったという投稿と、おそろいにこのアクセサリーがつけたいなんて写真の投稿を見て、奥歯を噛み締める。
君にはこんなシルバーのアクセサリーよりピンクゴールドのが似合うんだ。
趣味や好きな映画や好みの食べ物も全然違う。
もっと君を分かってくれるいい相手がいるはずだよ。
俺がちゃんとしないとな…。
それから、その男子に恋慕の情を抱いている子を
本当に役に立つなぁ、家系能力。
1人見つけた女の子を口車に乗せてふっかけ、その男子にアピールをさせた。
それは歯車が噛み合ったかのように上手くいき、1週間も経たないうちに彼から名無しさんちゃんへ向けられていた恋心はその女の子の方へ向いていた。
数日後、名無しさんちゃんから悲愴や陰鬱の色が見えたので、先日と同じく面談室へ連れていった。
話を聞けば、ぽろぽろと大粒の涙を流しながら別れた旨を伝えられた。
ほら、だから君には似合わないんだって。
青春の雰囲気にあてられて、すぐに心移りするなんて碌な男じゃない。
ちゃんと君のことを1番に考えて大切にできる男じゃないと…。
名無しさんちゃんの頬にハンカチを当てると、光を反射する宝石のような涙が染み込んでいく。
「ムルムル先生、私、そんなに、魅力ないですか?」
「そんなことないよ!名無しさんちゃんは勤勉で、素直で、俺から見たらとても素敵な子だよ」
君の魅力について語り始めたら止まらなくなってしまうため、極力冷静に言葉を選ぶ。
泣いている姿に心が痛むが、それ以上に俺が頼られているこの状況に気持ちが高揚する。
ひとしきり泣いて、スッキリしたのか名無しさんちゃんは落ち着いた。
ハンカチを洗って返すと言われ悩んだが、涙のレアリティを考えて、断った。
このハンカチは綺麗に保管しなきゃ。
「ありがとうございました。ムルムル先生に頼って良かったです」
「とんでもない。いつでも話してよ」
名無しさんちゃんを見送って、がらんとした面談室で1人佇み。
涙を吸ったハンカチを鼻に当て深呼吸をする。
ひんやりとした感触とほんのりと香るいつものあの香り。
ああ、名無しさんちゃん。
俺が君の生活を守るから、君は安心して過ごしてね。
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