短編
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「やっほー、オリアスくん」
「あ、名無しさんちゃん、こんばんは」
ある夜、電話をかけてきたのは、オンラインゲームで知り合った名無しさんちゃん。
レイドバトルの仲間になったことがきっかけで、同じくらいのレベルだったこともあり、それ以来よくメッセージを送り合っては、2人でモンスターの討伐等に行くようになった。
フレンドになってからは雑談をして年齢が同じことも分かり、さらによく話すようになった。
魔インも交換して、そのゲーム以外のゲームを一緒にしたり、何気ない時に連絡したりして、気の置けない知り合いのようになっていた。
名無しさんちゃんとビデオ通話なんてものもしてみた事もある。
オフの姿を見られるのは気が引けたが、ネット上の知り合いだし、彼女なら見られてもいいかな…なんて、思い切ってビデオをつけた。
名無しさんちゃんは可愛らしい顔立ちをしており、大きなピンで前髪をとめて、The部屋着といった格好をしていた。
画面越しに笑顔で手を振られ、名前を呼ばれた時、胸が大きく高鳴った。
その時、彼女に恋をしてしまった。
それから、通話したり、魔インしたり、毎日何かしら連絡を続けている。
こうした状況だけ並べると、まるで付き合っているかのようだけど、そんなこと、口にしない。
そんな雰囲気も、出さないようにしている。
叶わない夢なら、見ないでいたい。
「〜でね、お客さんが私のデザインを気に入ってくれてね」
「やったじゃん。名無しさんちゃん頑張ってたもんね」
ス魔ホひとつで何時でもこうして連絡が取れる便利な時代だけど、
名無しさんちゃんと話せる夜は、中身の無いお喋りはしたくないなんて自分もいて。
その柔らかそうな髪の毛の感触はどんなだろう。
その細い手の温度は俺より温かいのかな。
俺が本当に君について知りたいのは、そんなことばかり。
それこそ本能に塗れた中身のない興味なのかもしれないけど。
「やっぱりオリアスくんとの話しが1番落ち着くなぁ」
「え、いや、俺もそうだけどさ…何で?」
「ゲームだと出会い厨とかが多くてさあ…オリアスくんそういうのないじゃん?」
つきり、名無しさんちゃんの言葉が、胸に刺さる。
ユビキタス社会なんて名前だけで、画面越しにしか君に会えない。
ワープなんてものができたら、すぐ会いに行くのにな。
そんな思考を抑え込み、震えないように声を出す。
「会いたいなんて、言わないよ」
君が欲しいなんて思わないから、
ただ、俺のこの嘘を見抜いて欲しいだなんて、
そう願いながら呟いた。
「ふふ、そういうところが落ち着くんだよ」
くすくすと笑いそう言う彼女は電話越しでも扇情的だった。
その様は俺の嘘を分かっているんじゃないのかとも思ってしまう。
名無しさんちゃんの手に触れたい。唇に触れたい。
リアルな皮膚の匂いがするまでの距離に近付きたい。
それ以上のことだってしたい。
どれもこれも、何もかも、生身の君とじゃなきゃできないんだ。
ねえ、こう考えることはいけない事かな?
「でもさ、いつかもっと仲良くなったら、オフ会しようね」
「あ、名無しさんちゃん、こんばんは」
ある夜、電話をかけてきたのは、オンラインゲームで知り合った名無しさんちゃん。
レイドバトルの仲間になったことがきっかけで、同じくらいのレベルだったこともあり、それ以来よくメッセージを送り合っては、2人でモンスターの討伐等に行くようになった。
フレンドになってからは雑談をして年齢が同じことも分かり、さらによく話すようになった。
魔インも交換して、そのゲーム以外のゲームを一緒にしたり、何気ない時に連絡したりして、気の置けない知り合いのようになっていた。
名無しさんちゃんとビデオ通話なんてものもしてみた事もある。
オフの姿を見られるのは気が引けたが、ネット上の知り合いだし、彼女なら見られてもいいかな…なんて、思い切ってビデオをつけた。
名無しさんちゃんは可愛らしい顔立ちをしており、大きなピンで前髪をとめて、The部屋着といった格好をしていた。
画面越しに笑顔で手を振られ、名前を呼ばれた時、胸が大きく高鳴った。
その時、彼女に恋をしてしまった。
それから、通話したり、魔インしたり、毎日何かしら連絡を続けている。
こうした状況だけ並べると、まるで付き合っているかのようだけど、そんなこと、口にしない。
そんな雰囲気も、出さないようにしている。
叶わない夢なら、見ないでいたい。
「〜でね、お客さんが私のデザインを気に入ってくれてね」
「やったじゃん。名無しさんちゃん頑張ってたもんね」
ス魔ホひとつで何時でもこうして連絡が取れる便利な時代だけど、
名無しさんちゃんと話せる夜は、中身の無いお喋りはしたくないなんて自分もいて。
その柔らかそうな髪の毛の感触はどんなだろう。
その細い手の温度は俺より温かいのかな。
俺が本当に君について知りたいのは、そんなことばかり。
それこそ本能に塗れた中身のない興味なのかもしれないけど。
「やっぱりオリアスくんとの話しが1番落ち着くなぁ」
「え、いや、俺もそうだけどさ…何で?」
「ゲームだと出会い厨とかが多くてさあ…オリアスくんそういうのないじゃん?」
つきり、名無しさんちゃんの言葉が、胸に刺さる。
ユビキタス社会なんて名前だけで、画面越しにしか君に会えない。
ワープなんてものができたら、すぐ会いに行くのにな。
そんな思考を抑え込み、震えないように声を出す。
「会いたいなんて、言わないよ」
君が欲しいなんて思わないから、
ただ、俺のこの嘘を見抜いて欲しいだなんて、
そう願いながら呟いた。
「ふふ、そういうところが落ち着くんだよ」
くすくすと笑いそう言う彼女は電話越しでも扇情的だった。
その様は俺の嘘を分かっているんじゃないのかとも思ってしまう。
名無しさんちゃんの手に触れたい。唇に触れたい。
リアルな皮膚の匂いがするまでの距離に近付きたい。
それ以上のことだってしたい。
どれもこれも、何もかも、生身の君とじゃなきゃできないんだ。
ねえ、こう考えることはいけない事かな?
「でもさ、いつかもっと仲良くなったら、オフ会しようね」