2021年御礼企画小説
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『もしも夢主が男体化したら!?』
「ハル、なんかこのキノコ、物凄く美味しそうじゃないですか?」
それはある日の山中訓練の、帰路で起こった出来事だった。
少し前に野営食を食べたばかりだと言うのに、お腹を空かせた同班のサシャが突然道端に生えているとんでも無く怪しげな色と模様をしたキノコを見つけて立ち止まり、涎を垂らしながら地面に這いつくばって言うのに、ハルとアニは顔を引き攣らせて言った。
「え?美味しそうって…大分怪しげだけど…」
「絶対に毒キノコだって。そんな気持ち悪い物、触らないほうが」
ブチッ
「おおっ。なんだか物凄くずっしりとしてますよ!?」
しかし、サシャは何の戸惑いもなくそのキノコを鷲掴み、地面から引き抜き抜くと、それをハルとアニに見せびらかしながら、満面の笑みを浮かべる。
「いや、尚更危険だって!」
ハルがそんなサシャから後退りながら苦い野草でも食べた顔になって言うのに、サシャはムッと頬を膨らませて立ち上がると、ハルの方へと詰め寄る。
「そんなことないですよ!よく見たら美味しそうですって、ホラッ……あっ」
しかしその最中に、サシャは地面に出っ張っていた石に躓き、体のバランスを崩して前のめりに倒れる。そしてサシャが手にしていたキノコが、その勢いでハルの口の中へと押し込まれてしまった。
「ムグ!?」
ハルがそれに驚き口に入れられたキノコをゴクリと飲み下してしまったのを見たアニが青褪めながらハルの両肩を掴んで顔を覗き込んだ。
「ちょっとハル!?今飲み込んだ!?」
「ど、どうしようアニ、のっ、飲んじゃった」
ハルが涙目になって言うのに、アニは焦りながらハルの背中をバシバシと打楽器のように連打する。
「この馬鹿!すぐ吐き出してっ!」
「いででっ!ちょっ、背骨が折れるぅっ?!!」
しかしハルがキノコを吐き出す前に、サンドバックのように打たれている背中が粉々になりそうになっていると、サシャが慌てふためきながらもハッと何かを思い付いたように拳をグッと握りしめ、姿勢を低くして言った。
「わっ、私に任せてください!アニ!」
そしてサシャは助走をつけながら、ハルの腹部に渾身のアッパーを入れた。
「メコッ!」
「グェッ!!」
サシャの拳が腹部にめり込み、ハルは蛙が潰れたような声を上げて、そのまま背中から地面に倒れ込んだ。
ハルは天を仰いで、白目を剥いて気を失っている。
そんなハルを見て、アニは深いため息を吐き出した後、やってしまったと頭を抱えているサシャに向かって声を上げたのだった。
「サシャっ!アンタやりすぎ!」
※
「ハル、朝だよー。そろそろ起きないと、朝ごはん食べられないよ?」
そんなことがあった次の日の朝、微睡の中でクリスタの声がしてハルはむくりとベットから上半身を起こした。なんだか体の節々が筋肉痛になった時のように痛む。
「ああ…ごめんクリスタ。おはよ」
ハルは目に掛かった前髪が煩わしくなって、片手で掻き上げながら言うと、そんなハルの顔を見て、クリスタは怪訝そうに首を傾げた。
「なんか。雰囲気変わった?ハル…?」
「え?」
ハルはクリスタの言葉に、同じように首を傾げる。
「突然何言って…あれ?」
しかし、自分の身体の違和感に気づいて、ハルは自身の喉に触れた。なんだかいつもより声が低いような気がするのと、手の形がやけに骨張って見えるような…
「…ん、あ、あれ?」
ハルは動揺しながら自分の体を彼方此方見下ろすと、ハルはふと胸元を見て息を呑み、いつもある筈の胸の膨らみを確かめるようにして触れて、青褪めた。
「っな、ない…」
「!?」
愕然として言ったハルの言葉に、クリスタは「嘘…」と唖然としながら両目を見開いて、ハルのボタンシャツの寝巻きの前を開け放った。
「ちょっ、クリスタ!?」
それに驚いたハルは半ば悲鳴のような声を上げたが、クリスタは目の前に広がった光景に、女子寮の隅々まで響き渡るような絶叫を上げたのだった。
「ハルがっ、ハルが男の子になっているぅ!?!?」
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