第四十四話
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「ライナー、今の君は何だ」
ベルトルトは調査兵団が迫ってくる光景を目の当たりにして、日没を待っては居られないと行動を移そうとしているライナーに、今一度問い掛けると、「安心しろ戦士だ」とライナーは口早に答え、肩を掴むベルトルトの腕を軽く払った。
それにベルトルトは不安げに顔を顰めて、体の修復を終えようとしているユミルに視線を向けながら言った。
「戦士としてユミルを信用するというのは……あいつは、マルセルを食った奴じゃないか」
「ああ、だからこそ、ユミルの立場は明白だ。上手に立ち回って自分だけは生きたいと思っただろう。クリスタとハル…二人に出会うまでわな?」
ライナーが自分の首元に揺れるお守りを握りしめるのを見て、ベルトルトは「…そうか」と小さく呟き、ゆっくりと一度瞬きをしてから、再びライナーの顔を見た。
「俺達の守りたいものと、あいつの守りたいものは一緒だ。クリスタを連れて行く理由も、ハルを連れて行く理由も、俺達にはちゃんとあるだろう?もし座標がエレンに無ければ、俺達の任務はまだ終わらない。そんな時にクリスタが居れば、今よりずっと探しやすくなるはずだ」
すると、再び先程よりもこちらに近づいた場所で、信煙弾が撃ち上げられた。
「近いな…」
ライナーが顔を厳しく顰めるのに、ベルトルトは肩を落とし、沈んだ面持ちになって言う。
「もう、終わりにしよう。今度此処に来る時は、アニとクリスタとそれを持って故郷に帰ろう。そしてもう、二度と此処には来ない」
それにライナーは「ああ」と頷く。
「それで任務は全てお終いだ。…ただ、お前は故郷に帰ったらアニに思いを伝えろ」
「ええ?!」
ライナーからの思いがけない言葉に、ベルトルトは上擦った声を上げ赤面するのに、ライナーはベルトルトの肩をバシッと叩いた。
「見過ぎだ!俺じゃなくたって分かるくらいなっ」
「いや、僕は」
「先の短い殺人鬼同士だろ。こんなの俺たち以外に誰が理解し合えるっていうんだ」
ライナーは慌てふためいているベルトルトにそう言い残すと、胸元のホルダーから操作装置を取り出して立体起動を取り、エレン達がいる巨大樹の枝へと降り立った。
「っ何だよライナー、まだ夜になってねぇぞ?」
傍に降り立ち自身の元へと歩み寄って来るライナーに、エレンが訝しげに問い掛ける。ライナーは落ち着いた様子で、それでもエレンに対して威圧するように瞳を鋭くして、ホルダーに操作装置をしまい込みがら言った。
「いいや、もう出発だ。エレン、無駄な抵抗はするなよ」
それに、エレンは敢えてライナーに隙を作ろうと、怖気付いたフリをして見せる。
「…なぁ、乱暴な真似はよしてくれよ、俺はこんな状態なんだぞ。なあ、頼むよ…っ」
そしてエレンは、一瞬油断を見せたライナーに飛び掛かった。
手の無い腕で何度もライナーの顔面を馬乗りになって殴り付ける。しかし、上手く体に力が入らなかった。ライナーは殴られながらも上半身を起こし、エレンの首を肘の内側に挟んで締め上げ、背後に回る。それでも暴れるエレンだったが、ライナーの強靭な力を振り解く力は、今のエレンには無かった。
そんな中、ベルトルトは気を失っているハルを背中に紐で巻き付け、落ちないように固定すると、二人の攻防を眺めていたユミルの傍に降り立つ。
「おい、何でもう行くんだよ」
ベルトルトはユミルの問いに応えることはなかったが、ユミルの傍に片膝を付き、逆にあることを問い掛けた。
「ユミル、君は人間に戻る時、誰を食ったか覚えているか?」
ベルトルトは怒りも悲しみも見せず、静かに問い掛けた。
「いいや…覚えてないが…ちょうど五年前ってことは…お前らの仲間だったのか」
ユミルはベルトルトの顔を見て問い返したが、ベルトルトは何も言わずただユミルを見つめ返していた。しかし否定をしないということは、肯定しているのだとユミルは察し、視線を落として言った。
「そうか、すまないな。覚えてすらいなくて…」
ベルトルトはライナーに首を絞められ、意識を落とされようとしているエレンに目を向けながら言った。
「覚えてないのは仕方がない。僕らの時もそうだった…エレンも覚えてなさそうだし」
「そういうものなのか」
ユミルはぽつりと呟いてベルトルトに目を向けた。
「私を恨んでいるか?」
その問いに、ベルトルトはどう答えるか、少し言い淀む。「どうだろ、よく…分からない」と。
「君も人なんか食べたくなったんだろうし……一体どれだけ壁の外を彷徨っていたんだ?」
「60年くらいだ…ずっと終わらない悪夢を見ているようだったよ…」
ユミルとベルトルトの会話を、エレンは遠のく意識の中でぼんやりと聞いていた。
ずっと終わらない悪夢を見ていたようだったと口にしたユミルの声が、薄れていく思考の中に鈴が鳴るように寂しげに響くのを感じながら、エレンは意識を手放したのだった。
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暴れるエレンを何とか気絶させ、背中にベルトルト同様エレンの体を紐で縛りつけたライナーと、背に縛りつけたハルとユミルを背中に捕まらせたベルトルトは、調査兵団から逃れるべく立体機動に入った。
しかし、ライナー達が動き出したことで、大樹の下で集まっていた巨人達もご丁寧に後を追い駆けてくる。
「とりあえず、巨人がいねぇところを目指すぞ!奴等から出来るだけ離れるんだ。俺の巨人は足が遅ぇからな、囲まれでもすればお前等まで守ってやれねぇぞ」
「だから何で夜まで待てなかったんだよ!」
ユミルは突然出発を決めたライナーに抗議するよう声を上げたが、背後からドンと何かが撃ち上げられる音を耳にして、ベルトルトの背中にしがみつきながら、背後を振り返った。
すると、こちらを追いかけてくる巨人達の背後に、緑色の信煙弾が撃ち上がっているのが見えた。
「(信煙弾!?…っ調査兵団が助けに来てるのか?!)」
「大量の馬を壁の外に運ばねぇと、索敵陣形は組めない。そんな判断、すぐには出来ないと思ったんだがな。エルヴィン団長が居るのかもしれん、相手にするには手強いぞ。…くそっ、もうあんなところまで、エレンが暴れてくれたおかげだな」
ライナーは背中で気を失っているエレンを見やりながら舌を打つようにして言う。
ユミルはあの信煙弾が撃ち上げられている下で、何故かクリスタの存在を感じていた。調査兵団が追い駆けて来ているというだけで、あの中にクリスタが居るという確証はない。
しかし、不思議と、あの中にクリスタは居るんだと、自分でも不思議なくらいに確信出来たのだ。
「まさか、アイツっ…いや、居る…!…っライナー!クリスタだ!クリスタが其処まで来てる!連れ去るなら今だ!」
「ああ!?何で分かるんだ!?見えたわけじゃねぇんだろ?」
ライナーはユミルを振り返り怪訝顔で問い返したが、ユミルは確信した表情でベルトルトの背中からライナーに訴えた。
「いや絶対に居る…アイツはバカで度を超えたお人好しだ!私を助けに来るんだよっ!!」
「もしそうだとしても今は無理だ!別の機会にする!」
しかしライナーは首を横に振って、ユミルに背中を向ける。
「はあ!?」
「今は成功する可能性が低いだろうっ、どうやってあの中からクリスタを連れ去るんだ!?機会を待て!」
その言葉に、ユミルはぎりっと奥歯を噛み締めた。
そんな機会など、もうやって来ない。それを一番に理解しているライナー達がそれを口にするのかと、激しい反感が湧いた。
「機会を待つだと?!そりゃ、私がお前らの戦士に食われた後か…?駄目だ信用できない!!」
「信じろ!クリスタは本当に俺達にも必要なんだ!」
信じろと言うライナーはユミルに背を向けたままで、ユミルはライナーの背中により一層声を張り上げた。
「じゃあ今やれよ!?今それを証明して見せろ!!私は今じゃなきゃ嫌だ、今あいつに会いたいの…っ、このままじゃ二度とっあいつに会えないんだろ!?」
ユミルは分かっていた。
例えライナー達に協力して、此処から出て行ったとしても、自分の命は決して助からないということを––––
「無理だ…すまないユミル」
ユミルはしがみついているベルトルトが、腹の底から絞り出すような声で言ったのに、視線をライナーの背からベルトルトの口元に向けた。
「今は僕等だけでもだけでも逃げ切れるか分からない状況なんだ」
「約束する!クリスタだけはこの争いから救い出すと…俺達が必ず!だから今は耐えてくれ!それがクリスタの為でもあるんだ!分かってくれユミル!」
クリスタの為。
そう言われて、ユミルは唇を噛むように、自分の感情を押し込むようにして呟いた。
「本当にクリスタの為なんだな…?」
「ああっ!そうだ!!」
ライナーがユミルを振り返って頷くのに、ユミルは重々しく頷く。
「分かった…」
「ありがとう…ユミル」
無理やり自分を納得させるように頷いたユミルに、ベルトルトが安堵を滲ませた声音で、静かに礼を言った。
そんな「ありがとう」なんてのは、クソ喰らえだ。
ユミルはそう思いながら、ふと顔の横にある、ベルトルトに身体を紐で括り付けられているハルの顔を見た。
相変わらず青白い顔をして眠ったままのハルは、ウトガルド城の屋上から飛び降り、私が巨人化した時、巨人に捕まりかけていたハルを助けた時も、手の中で死人のように真っ青な顔をしていたのを思い出す。
それでも、巨人化した私の顔を見て、ハルは少しだけ驚いた顔をしたけれど、すぐに笑って見せたんだ。
地獄のような状況下でも、相変わらずのハルに、思わず「馬鹿だな」と口にすると、ハルは言った。
否、正確には、声はしなかったんだけど…
ただ、手を伸ばして、巨人化した私の頬にそっと指先で触れて、いつもと変わらない、優しい笑顔で、声は無くても口だけを動かして言ったんだ。
『君もね、ユミル』って…
その言葉は、私にハルと初めて出会った時のことを思い出させた。
私にとってハル・グランバルドという人間は、典型的な偽善を纏った、紛い物の人間のように見えていた。
本当の自分を隠して、誰かに良く思われようと、必死に己を取り繕っている人間に見えていた。…だから、通過儀礼の時、サシャの巻き添えを食っても、それでもサシャの傍から離れず、世話を焼くのも、ただの偽善で自己満足でしか無いんだと…
それでも、ハルの偽善は、ただの張りぼてではなく、とても悲しく、そして優しく、血と肉で作られた心臓、生きているものなんだと気付かされるまでに、そう時間は必要なかった。
仲間が傷つけば、困っていれば、迷うことなく手を差し伸べる。どんなに自分が傷ついても、仲間のことは絶対に傷つけない。
自分が守ると決めたものは、何が何でも守りぬく。決して口だけではなく、行動し、そして何度も成し遂げてみせる。
まるで絵に描いたような、正義の味方だった。
そして、昔の自分と同じ…必死に、この残酷な世界で生きて行くために、自分自身に嘘を吐き続けている人間だったんだ。
「(まただよ、クリスタ…ハル。此処まで来て、また私は自分に嘘をつかなきゃならねぇのか)」
私は眠るハルの頬に触れながら、下唇を噛み締めた。
自分に両親なんてものが居た記憶はない。ちゃんとした家があった記憶もない。親に捨てられた孤児達が集まった廃れた廃墟で、私達は人様のものを奪い、毎日食い繋いで行くのに必死の生活を送っていた。
ある日の事だった–––その廃墟に突然、急に知らない大人が数人現れた。
何も分からぬまま、私は彼等に腕を引かれて、廃墟から連れ出された。
彼等は私に、「新しい人生を始めるんだ」と言った。
そして、新しい名前も与えられた。
元々、自分に正しい名前なんてものは、なかったけれど……その時、与えられた名前が、「ユミル」という今の私の名前だった。
そしてその日、私は初めて自分に嘘を吐いた。
これは仕方の無いことなんだって…必死に言い聞かせた。
それから、私は多くの人間から崇められる存在となった。
正直、悪い気分ではなかった。
冷えてない飯も、地べたじゃない寝床もそうだけど、何より、初めて誰かに必要とされて、初めて誰かの役に立てているっていうことが、私には何よりも大事だったんだ。……でも、その時間も、長く続くことはなかった…そんなのは紛い物の幸せで、全部作り話だったんだってことを、ずっと忘れていたんだって、それが奪われる瞬間に、思い出したんだ。
『ユミル』という名前を、名乗るべき人間ではないということも、皆に嘘を吐き続けていたんだということも…
そしてその秘密が暴かれた時、私を崇め続けていた信者達の身に危険が迫った。
だから、私は心を決めて口を開いた。
「私がユミル、王家の血を継ぐ存在だ」と…
そう言い張ることで、信者達を守れると思った。彼等は騙されていただけで、自分が彼等を誑かしていたのだと、そう主張することで皆が助かるならと……
しかし、そうはならなかった。
私達は、私達よりもずっと多くの人間達から石を投げられ、罰せられ、挙句…『楽園』送りにされることになった。
知らない地の高台の上から見下ろせたのは、何処までも続いているような砂地だった。其処で順番に、信者達が注射を打たれ、砂地へと蹴り落とされた。
信者達は次々と砂地の上で巨人の姿に変貌して行き、その順番はやがて私にもやって来た。
体に得体の知れない液体を注射器で打ち込まれ、背中を容赦無く蹴り飛ばされて、私は高台から砂地に真っ逆さまに落ちて行ったが、私が砂地に体を打ち付けられる衝撃を感じる瞬間は永遠に訪れなかった。
その代わりに、稲妻のような激しい電流が全身を駆け巡って、ただ長い悪夢のような、果てしない時間の中を、只管に彷徨うことになった。
私は永遠の時の中で、思ったんだ。
これは罰なんだ。誰かの言いなりになって多くの人を騙した罰じゃない。人の役に立てているのだと自分に言い聞かせ、自分に嘘を吐き続けたことへの罰なんだって。
私はその罰を受け入れ、暗い闇の中を走って走って、走り続けた。闇の中に時折瞬く星のような灯は、私には酷く眩しくて、怖くて、私は暗い方へ、暗い方へと走り、やがて走り疲れて眠りについた。
でも、その眠りも、ある時突然終わりを迎えた。
暗闇が失せ、空を見上げたら、其処には億千の星が瞬いていた。
其処には『自由』が広がっていたんだ。
仮に運命ってやつがあるなら、その気紛れさに笑うしかなかった。でもその時、私は誓ったんだ。もう嘘を吐くのは終わりだ、もう二度と自分に嘘を吐かない。自分に正直に生きようって––––
それから私は、壁まで辿り着き、其処で生きるために金品を借りて回っていた。しかし、それが悪いことだとは思わなかった。何故なら私にとってそれが、唯一の生きる術だったからだ。
そうやって生活をしている中、内地のとある教会である話を偶然耳にした。…物騒な話だ、妾の子が偉いとこの跡取りになっちまった。いっそのこと殺しちまえば全て解決すると話は運んだが、せめて名を偽って慎ましく生きれば見逃してやろうと。そうやって訓練兵に追いやられた、少女が居るって話だ。
私はその少女が、やけに気がかりだった。自分と何処か似ていると、そう感じていたからかもしれない…
私はその少女に会うために、訓練兵団に入団することを決めた。
理由はそれだけでは無く、三食飯が食べられ決まった寝床だって手に入るし、給料も与えられるなら、悪くはないと思えたのも、少なからず動機には含まれていただろう。
其処で、私は出会ったんだ。
私にはすぐに分かった。
その少女が誰なのか、そして…クリスタが、いや、ヒストリアも、私と同じで自分に嘘を吐いて、必死に何かを言い聞かせようとしてる奴なんだって…
そして、ハルもそれは、同じなんだって…
この世界で生きていくために、罪の意識に苛まれながらも、必死に自分を抱きしめて、息をしようと空に手を伸ばし生きようと足掻いているんだって–––
ユミルは眠っているハルの頭を撫でる。柔らかな黒髪が、指の間を擦り抜ける感覚が心地良かった。
「(でもな、クリスタ…だからって分かってくれとは言わない。ただ、最後にもう一度だけ、自分に正直にならせてくれ)」
ユミルは意を決して、口を開いた。
「悪いな…この地形じゃ、私が一番強い」
ユミルはいつもよりも低い声でそう言うと、ベルトルトの顔の半面を手で覆い隠した。
「うわぁぁああっ!?」
視界が悪くなり、距離感が掴めなくなって大きくバランスを崩したベルトルトは声を上げた。上手く立体機動が出来なくなり地面に体を打ち付けてしまいそうになるぎりぎりで体制を整えることに成功したが、ベルトルトの顔には冷や汗が滲んでいた。
「よせっ、ユミル…落ちるぞ!!」
ベルトルとは青ざめた顔で訴えるが、ユミルは口端を上げてニヤリと笑った。
「私は別にいいよ、巨人になれば。お前らの巨人より非力だろうが、木を伝って素早く動ける。お前からエレンを奪って調査兵団の元へ行くことも、多分出来る。お前らが今クリスタを連れて行かないのなら、此処で戦ってお前らの邪魔をする」
その言葉に、ライナーとベルトルトは一旦巨大樹の幹に留まり、ユミルを再び説得しようと試みる。
「何を言ってる!?じゃあクリスタはどうなる!?それでは助けられないぞ!?」
ライナーは焦った口調で訴えてくるが、ユミルは首を縦に振った。
「ああ、いいよ。クリスタの未来を奪うことになっても、私は生きて、あいつに会いたいんだ!私は本当に糞みてぇな人間だからな!?お前らになら…分かるだろっ!?この気持ちがっ…!!こんな人間だと知っても、優しく笑ってくれるんだぜ、あいつも–––ハルもっ!!」
そう言い放ったユミルの目には、涙が浮かんでいた。
ユミルの言葉に、ベルトルトとライナーは言葉を詰まらせる。
どんなに罪深い人間でも、見放さず受け入れてくるその優しさに救われる気持ちも、掛け替えのない大切なものと感じる思いも、手放したくないと願ってしまうことも……ライナーもベルトルトも、痛い程に理解することが出来てしまったからだ。
「怒らないでくれよ。ちゃんと考えがあるんだ。私も戦うから…!今より逃げやすくなるからさ…っ!!それともっ、此処で殺し合うか!?私が正気か確かめてくれよ!!?」
第四十四話
正直に、生きる
ユミルが血迷っていないか、確かめる必要など、ベルトルとライナーの二人には必要のない事だった。
恐らく、今のユミルの気持ちを一番に理解することが出来るのは、この世界でベルトルトとライナーの他に、存在して居なかったからだ。
完